ディグ界の幻影旅団「lightmellowbu」が発見したブックオフというサンクチュアリ

2020.2.16

知識の蓄積とアーカイブを無化させるレコードディグのブルーオーシャン

そんなlightmellowbuが掘っている音楽がどんなものかを知るために、彼らが作ったミックスをいくつか取り上げたい。

まずはbu員のINDGMSK aka 台車による「シティポップがんばるぞ」。ここでは、先日ライムスター宇多丸のTBSラジオ番組『アフター6ジャンクション』にbu長のハタとbu員の柴崎祐二が出演した際、「アンセム」として紹介された久野かおり「Adam & Eve 1989」も聴くことができる。

そのINDGMSKと、同じくbu員のthaithefishが選曲した「Looking for the Melted Crystal 〜Why Now? City Pop 90s〜」。全24曲、CDにオマージュを捧げたコンピレーション形式で90年代シティポップを紹介している。

そして、現在のところbu名義で発表された唯一のミックスである「lightmellowbu MIX 1: BOSSA NOVA」。メロウネスを湛えた90sボサノバを堪能できる。

さきほどブックオフディグについて「勘を頼りに」と書いたのは、やはりそこには一種のギャンブル性が伴うからだ。それは、bu員の一部が「(良いCDを)引く/引き当てる」といった言い回しを使うことからもわかる。

たとえば、参加ミュージシャンや作編曲者が裏ジャケットに記載されているなら音楽性を想像することもできるが、ジャケットやCD背の面構えだけから聴くに値する曲が収められている盤かどうかを判断(あるいは賭けを)しなければならない場面が多々ある。

ある程度のジャンル分けがなされ、知識の蓄積とアーカイブがある従来のレコードディグと異なる困難性が、ここにはあるのだ(その意味でも競合者が「まだ」少なく、値付けに曖昧さがあり、掘り尽くされていないブックオフは、「町のレコード屋」が失われつつある今、サンクチュアリである)。

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