なぜ囲碁将棋の冠番組が地方局でつづくのか? 担当Dが考える「つづく番組の共通項」

2022.12.23


「番組の色」が明確である

ZEKKEI NETA CLUB 第2弾 囲碁将棋
支笏湖でSUPの講習を受ける囲碁将棋。ちなみに、SUPのPはぺるとものPではないとのこと

自分がいち視聴者のときはまったく気づいていなかったことが、会社内での人事異動が番組に影響するという点だ。弊社では年に2度、大きな人事異動がある。

制作部でバラエティを作っていた人が営業マンになることも、記者がAP(アシスタントプロデューサー)になることも珍しくはない。また、人事異動によって空いた穴を埋めるため、玉突き式に部署内で担当番組が変わることもある。

どの会社においてもいえることだとは思うが、会社全体の方針に沿って社員は動かされていく。弊社に当てはめると、数年前までは「局員はプロデューサー業務に務め、制作は制作会社に任せる」という方向性だったらしいのだが、その結果プロデューサーばかりが増え、ディレクターが育たず、近年は若手ディレクターを育てる方向に転換したという。

制作部門だけでなく、会社の方向として営業に力を入れていこうとなれば営業部に重きを置いた人事配属になるし、報道に力を入れていく流れになれば、報道に人員が投入される。ひとつの番組をつづけるために、人事が大きく変わることはほぼないと言っていい。

大きい番組なら話は別だが、深夜のミニ枠くらいであれば、人事異動によって番組が終わることも、ない話ではないと思う。だからこそ、人事異動がある前提で、人の変化があっても終わらない番組作りをしなくてはならないと感じた。

具体的には、「人が変わっても、番組の色が変わらない」ことを重視しなければならない。「番組の色」とは、出演者や雰囲気、コンセプトといった番組を構成する要素や全体像。番組の色さえ変わらなければ、人が変わっても番組はつづけられるし、逆に番組の色がなければ、何をやっているのかわからなくてつづけにくい番組になってしまうと思う。

実際に『ZEKKEI NETA CLUB』も、人事異動によって第1弾と第2弾でスタッフは変わっている。しかし、番組のテイストは変わっていないと思う。そして、その理由は会議なのではないかと思っている。第1弾と第2弾でプロデューサーが変わったのだが、新しいプロデューサーが週一で会議の場を設けてくれたことで、スタッフ間で感覚の共有をすることができた。

番組の色といわれ、具体的に「これです!」と言うことはまだうまくできないのだが、少なくともスタッフ間で、「なんかいいかも」「なんか違うかも」という言語化できない感情を週一の会議で確認し合うだけでも、番組カラーのようなものができてくるのではないかと思う。第2弾制作陣は、人事異動で営業部門から来たり、報道部門から来たりと、さまざまな部署から集まった人たちで構成されたからこそ、コミュニケーションを多く取り、結果として番組の色が見えやすくなったのではないかと思っている。

運とタイミング、それらを逃さない「準備」

ZEKKEI NETA CLUB 第2弾 囲碁将棋
SUPから落ちて救出されている根建太一。ガイドさんのドライスーツは豚キムチカラー

番組が売れるかどうかも、人事異動によるスタッフの移り変わりも、すべてはタイミングにある。「結局は運です」といったら元も子もないかもしれないが、運の占める割合は大きい。

実際に『ZEKKEI NETA CLUB』も、たまたま会社全体が若手ディレクターを育てていこうという流れにあったことや、人事異動で制作局の局長がお笑い好きだったこと、局の開局50周年特番も絶景番組だったことなど、いいタイミングが重なり、制作することができた。以前、会社の先輩にこう言われたことがある。

「結局、運が回ってきたときにどう対応できるかだから」

たしかに運が占める影響は大きいけれど、運が回ってきたときに何も準備していなかったら意味がない。タイミングは大事だけれど、それ以上にタイミングが回ってきたときの準備を怠らないでいたい。

好きなことをつづけるために、考えることをやめない

ZEKKEI NETA CLUB 第2弾 囲碁将棋
筆者が所持しているお笑い関連本

今までさんざん理論派テレビマン風に語ってきたが、結局のところ、私はただのお笑いオタクである。オタクの行動力はすごい。なんやかんやで推しの番組を作るところまで辿り着いた。

「囲碁将棋はめちゃくちゃおもしろいんだぞ!」という気持ちと、「いちローカル局でもおもしろい番組を作るんだぞ!」という気持ちと、「番組をつづけていって、いずれはママタルトやTCクラクションを呼ぶんだぞ!」という、会社の利益なんて考えてない不純な動機で、番組をつづけていきたいと思っている。

実のところ、自分が何かする動機なんて「好き」だけでいいと思っているし、「お笑い番組をやりたい」がすべてのエネルギーになっている。でも、それだけではつづけていけないから、理論をつける。好きなことをつづけるために、考えることはやめないでいたい。喜。


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ふたつぎ

1996年生まれ。青山学院大学のお笑いサークル「ナショグル」に所属し、『M-1』などにもエントリー。卒業論文は『ゴッドタン』(テレビ東京)などを題材にした「お笑い番組から考えるテレビ番組のデザイン」で、佐久間宣行がツイッターで「嬉しかったし、何より面白かったです!」とコメントするなど話題となった。現..

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