なぜ囲碁将棋の冠番組が地方局でつづくのか? 担当Dが考える「つづく番組の共通項」
12月27日(火)から北海道文化放送(UHB)で放送されるお笑い番組『ZEKKEI NETA CLUB』。東京を代表する実力派漫才師「囲碁将棋」が北海道の大自然を舞台に漫才を披露するバラエティ番組の第2弾だ。
なぜ囲碁将棋が北海道で「絶景番組」?地方局で「お笑い番組」を作る難しさ
もともと今年の2月末に4週連続の15分番組として放送された、ほとんど単発企画だったこの番組が、なぜ第2弾を放送できることになったのか。同番組ディレクターのふたつぎが、単発で終わらない番組の共通項とその重要性について、自らの体験を踏まえて考える。
「つづく番組の共通項」を考える
第1弾の放送直後からずっと、第2弾のことは考えていた。「番組をつづけたい」という気持ちはディレクター誰もが抱いている気持ちではないだろうか。ましてや、自分が企画した番組であればなおさら。
しかし、テレビ局で働くひとりの社員である以上、やりたい番組だけを優先することはできない。会社で働いていると常々、自分のやりたいことと、会社から求められていることのバランスを考えさせられるが、ひとりのディレクターがやりたいという気持ちだけでつづく番組はないと、なんとなく気づいていた。
番組をつづけるためには、自分がやりたいというだけでなく、会社にとっても意味のあるものを作らなくてはならない。それがどれだけ小さくても。知識がなくて考えられる範囲が狭くても。
今回は、第2弾放送までの間で気づいた「つづく番組の共通項」について考えたい。
「売れる番組」である
第1弾の企画立案の際、番組内容を書いた企画書だけなく、収支回収スキームを書いた「番組計画書」の提出も求められた。番組の中身さえおもしろければいいと思っていた私は当初、「なんでディレクターが収支のことを考えなきゃいけないんですか!」と先輩に愚痴を漏らすこともあったが、会社員である以上、会社にとってプラスになることを考えなくてはならない。
「番組計画書」にはひとまず「グッズ収益」や「イベント収益」など、本当にできるかはわからないけれど比較的実現できそうな収入プランを書き、その収入源以下になるように、実際にはほとんど不可能なレベルに低く見積もった制作費を書いた。
ありがたいことに第1弾の放送後、自社サイトでの配信再生回数がよかったり、TVerやGyaO!などで配信が決まったり、目に見えるかたちで結果が出たことで、社内でも少し注目してもらうことができた。
実際のところ、第2弾の企画書を出した時点で収支の回収はできていなかった。ところが、番組の放送を観てくれた営業部の先輩方が企画書を書いて代理店にアプローチをかけてくれたり、道内支社の先輩方が地方自治体に営業をかけてくれたりしたのだ。そのおかげで、第1弾、第2弾を合わせた制作費を賄うことができそうである。営業経験のない私は、先輩方には感謝してもし切れない。
基本的に民放のテレビ番組は、スポンサーがいなくては成り立たないビジネスモデルだ。番組をつづけていくためには、目に見えるかたちでの結果(視聴率や配信の再生回数)と、お金がなければつづけていくことはできない。
お金の面だと、第2弾で大きかったことは、地方自治体にも売り込みを行ったことだと思う。セールスの草案はプロデューサーが考えてくれたのだが、今回の番組は北海道の絶景をテーマにしているため、メーカーなどの一般企業だけでなく、北海道の地方自治体とも相性がよいのではないかと道内支社にセールスシートを送った結果、いくつかの自治体がスポンサーについてくれた。
つづく番組というのは、売れる番組でなくてはならない。そして、ただやみくもに売るのではなく、その売り先を考えることも必要なのだと考えさせられた。