『M-1グランプリ2022』決勝直前に予習しておきたい9組の魅力

2022.12.16
『M-1グランプリ2022』ファイナリスト

文=かんそう 編集=鈴木 梢


ABCテレビ・テレビ朝日で12月18日(日)夜6時34分より放送される『M-1グランプリ2022』の決勝戦。カルチャーブログ『kansou』などで執筆を行うかんそうが、今年のファイナリストの魅力について語る。


癖まみれの『M-1グランプリ2022』ファイナリスト9組

『M-1グランプリ2022』の決勝戦がいよいよ間近に迫ってきた。ファイナリストの名前を改めて見てもめちゃくちゃなメンバーがそろってしまった。

真空ジェシカ、ダイヤモンド、ヨネダ2000、男性ブランコ、さや香、ウエストランド、キュウ、カベポスター、ロングコートダディ。

マヂカルラブリーがラジオで「そのあたりを歩いてる人つかまえて『(ファイナリスト9組の中で)誰か知ってる人いますか?』って言ったらいないんじゃないかなって思う」「『新宿バティオス』のいいときのライブ」と話していたように、確かに知名度は高くはないし、派手さもない。しかし、予選を見た人間ならこのメンバ―に納得しないはずがない猛者ばかり。『ワンピース』でたとえるなら政府の諜報機関「CP9」のような雰囲気すらある。

「K-PRO主催のM-1」「M-1グランプリ魔界編」と言われた昨年以上に優勝予想が不可能、おそらくDJ KOOですら今回の3連単は当てられないカオスな大会になるだろう。そんな癖まみれのファイナリスト9組の魅力を少しでも紹介したい。

真空ジェシカ

真空ジェシカ(左:ガク、右:川北茂澄)
真空ジェシカ(左:ガク、右:川北茂澄)

若手芸人の中でも大喜利力は間違いなくトップクラスで、広くウケるくだりだけをやれば軽く高得点が取れるはずなのに「オトナ帝国の逆襲のメガネの奴です」「講師の木野まことです」など、何がなんでも「刺さる人間にだけ刺さるボケ」を無理やり入れてくるところがクレイジーの極みで最高。


ダイヤモンド

ダイヤモンド(左:野澤輸出、右:小野竜輔)
ダイヤモンド(左:野澤輸出、右:小野竜輔)

あらゆる角度からまったく予想外のネタを放り込んでくるアメーバ芸人。ボケもツッコミも、ネタを観るまでどっちがやるのかすらわからない、こんなにいい緊張感はパチンコを打っているときか、ダイヤモンドの漫才を観ているときにしか味わえない。「漫才って自由なんだ」と改めて思わせてくれる。

ヨネダ2000

ヨネダ2000(左:誠、右:愛)
ヨネダ2000(左:誠、右:愛)

開始1分の「なんだこれ(ドン引き)」から終盤1分の「なんだこれ(呼吸困難)」の差が激し過ぎて、ヨネダ2000の漫才を観た直後は毎回、脳が引きちぎれるような感覚になってしまう。そして一度ツボにハマってしまうと、次からは誠が言葉を発し、愛が動いているだけで笑ってしまう身体になるので、国はなんらかの法律でヨネダ2000のネタを規制したほうがいい。

男性ブランコ

男性ブランコ(左:浦井のりひろ、右:平井まさあき)
男性ブランコ(左:浦井のりひろ、右:平井まさあき)

老夫婦のような雰囲気からは想像できないほど、鋭いネタで客を刺しにくるお笑いアサシン。全ボケ全ツッコミに一切の無駄がなく、外見、言葉、表情、そのどれもが完璧にネタと合致している気持ちよさは唯一無二。いずれ「古典」と呼ばれるような大名作漫才を作る気がする。

さや香

さや香(左:新山、右:石井)
さや香(左:新山、右:石井)

「しゃべくり」ど真ん中をいくさや香の漫才は、個人的にはもはや格闘技を観ているような感覚に近い。全力で互いの顔面を殴り合うようなガチンコっぷりは内容関係なく、圧倒的に「爽快」。誰もが「こうなりたい」と思う漫才師の姿がさや香なのかもしれない。

ウエストランド

ウエストランド(左:井口浩之、右:河本太)
ウエストランド(左:井口浩之、右:河本太)

徹頭徹尾「悪口」だけに特化した時代逆行コンビ。『M-1グランプリ2020』のあと、ウエストランドのネタを観たCreepy NutsのDJ松永がラジオで「(井口の言葉は)魂乗っかり過ぎてた。マジでブルース。ブルースかつヒップホップ」と言っていたように、リズムに乗ったときの気持ちよさはもはや「音楽」。

どれだけ毒づいても嫌な気持ちにならないのは、事務所の大先輩でもある爆笑問題と同じく「悪口言うけど実際にケンカしたらたぶん強くない」というチャーミングさによるものなのかもしれない。インドゾウに立ち向かうハムスターだと思って観てほしい。

キュウ

キュウ(左:ぴろ、右:清水誠)
キュウ(左:ぴろ、右:清水誠)

ぴろの独特な雰囲気から繰り出されるローテンションなボケと、己の命を削っているかような清水の全力ツッコミのギャップの中毒性。「沈黙」の使い方が異常にうまく、スローペース過ぎる序盤の「大丈夫かこれ……?」という疑念から、散りばめられた仕掛けに気づいたときの爆発力は快感以外の何物でもない。霜降り明星せいやが言った「キュウの右の人、カービィのスカーフィみたいな顔しとる」で一生笑える。

カベポスター

カベポスター(左:永見大吾、右:浜田順平)
カベポスター(左:永見大吾、右:浜田順平)

ネタのおもしろさは言わずもがな、「聴きやすさ」は個人的に随一のコンビで、わざとらしく声を張るのでもなく、誰もが心地いいと感じる絶妙なボリュームと速度でネタを提供してくれる。「24時間カベポスター漫才CD」があったら絶対に欲しい。

ロングコートダディ

ロングコートダディ(左:堂前透、右:兎)
ロングコートダディ(左:堂前透、右:兎)

「コント師にしかできない漫才」を体現しているコンビで、『M-1グランプリ2021』で披露した漫才では数多の「肉うどん難民」が誕生したように、ロングコートダディのネタを観た全員に「同じ画」が思い浮かんでしまう異次元の表現力は、おもしろさと同時に恐ろしさすらある。ネタだけではふたりの人間性がまったく見えてこないのも怖おもしろい。

いい意味で「観たあとに脳のどこかがおかしくなる」であろう『M-1グランプリ2022』。当日は体調を万全に整えて、最高のコンディションで放送に臨みたい……。


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