笑い飯・西田が『座王』などで戦いつづける理由(てれびのスキマ)

笑い飯

文=てれびのスキマ 編集=高橋千里
トップ画像=笑い飯インタビューより


テレビっ子のライター“てれびのスキマ“が、昨日観た番組を記録する連載「きのうのテレビ」。バラエティやドキュメントの中で起こった名場面、名言、貴重な会話の数々を書き留めます。2020年から毎日欠かさず更新中。


『あちこちオードリー』

ゲストは、ほとんど同期だがちゃんとしゃべったことはほぼないという笑い飯。話したいことがたくさんあったのだろうと思わせる、印象的な話が連発のトークだった。

中でも印象的だったのは、Wボケという斬新なスタイルだったからオーディションなどでダメ出しされなかったかと聞かれたときの答え。

ある大会で落選した際、自分たち的には手応えがあったため、審査員(『新婚さんいらっしゃい!』を作ったくらいの時期のプロデューサーだという)に「なんでウチらおもしろいのに落ちるんですか?」と笑い飯と千鳥で聞きに行ったそう。

するとその審査員は「自分らがオモロいと思ってんねやろ? いっぺんオモロないネタも作ってみいや」と助言したという。「なんかこの人、天才っぽいな」と哲夫は思い、それを心がけたころからオーディションに合格し始めたと。笑い飯がまわりとチューニングが合った瞬間ということなのだろう。

『M-1』で『鳥人』をやる際、西田は最初、拒否したそう。全部「汚い」ボケだったため「ボケを変えない限りイヤだ」と。それに対し、哲夫は「文句なしでウケるかたちに変えていった」という。結果、紳助が「100点」。

もちろんうれしかった一方で、2本目が『チンポジ』だということもあり「こんだけ立派にされるとヤバい」と思っていた、と西田。それでも哲夫は「2本同じようなネタのほうが優勝できる風潮あるけど、『チンポジ』はそれを乗り越えられると思ってた」と回想する。

ほかにも、2004年の『M-1』で4分の制限時間に対して6分半もやり、袖で「番組潰す気か!」とスタッフにブチギレられ、翌年から制限時間が厳しくなる、いわば「笑い飯ルール」ができたという話も。

また、オードリーのキャラ漫才は「気に食わなかった」「吉本の若手だったら、たぶんコーナーとかでキャラを剥がしにかかる」が、それが準優勝したことで『M-1』でもキャラ漫才が「アリ」という風潮になったのではないかというエピソードなど、「以前、以後」の話が興味深い。

現在、西田は『座王』でも「鬼」として後輩たちと混ざって戦いつづけている。その理由に痺れた。「千鳥とか麒麟とかが『おもしろいことするからアイツ呼ぼうぜ』に入ってないのが嫌。ああいう場所で見せとかんとな」。

『テレビ千鳥』

「面白キャラは裏こそ本当は表なんじゃ!!」と題して、名物企画「面白キャラを作ろう!!」シリーズのキャラができるまでを実際の映像を観ながら解説するという禁断企画。「裏側にこそドラマがある」と。ノブ「NSCとかでやるやつ(笑)」。

最初は大悟による「未来キャッチャー歩」。「ヤバいぞ、真っ白やぞ」と言いながら目についた金色の全身タイツを手に取り、とりあえず着てみる大悟。「履いたときにピッタリ感があったからよかった。ゆるかったらたぶん着てない」と回想。「このときはまだ『未来』も『キャッチャー』も思いついてない」と。

実際、次に手に取ったのはボクシンググローブ。これを手に取ったことで「スポーツ」だという頭になったそう。この段階では名前を「左ジャブ○○」にしようと考えていたという。

サングラスを決め、最終スタンバイに入ろうというところで、キャッチャーミットを発見。土壇場でボクサーからキャッチャーに変えた。

完成まで6分10秒。「ワシ、たぶん1色っぽいのにしたい」と大悟。確かに「イニガ」も肌色、「屁吸い鳥プー」も緑。

その「屁吸い鳥プー」は、大悟にとっては「大スベリキャラ」。その致命的欠点は、クチバシをくわえた状態のためしゃべれないこと。このクチバシはじょうろの先っぽ。実は、最初は細いほうをキセルっぽくくわえていたのを、土壇場でクチバシにした。土壇場で変えた成功例と失敗例が興味深い。

笑い飯・西田の「柔道アムラー」は「女性も笑える面白変態キャラ」というテーマだったため、最初は裸になり、長い髪を下ろした上で赤ちゃん人形を胸に抱く。「息子が生まれたばっかりの時期やった」「女性に人気ってことで女性の立場になって」と。その瞬間、「コーヒー母乳バリスタ」というキャラ名が脳裏に出てきたそう。

しかし、見た目が「面白」より「怖い」と感じ、変更。柔道着を羽織り、小指で紅を引く。最後に、履いていた下着をTバック状にして見えなくして、5分58秒で完成。

使ったアイテムは柔道着、口紅、ローファーの3点のみ。「単体でおもしろいものは使ってない」と野田クリスタルが指摘。大悟「おもしろアイテムを取ったやつはけっこう失敗してる」。


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  • 【連載】きのうのテレビ(てれびのスキマ)

    毎夜ライフワークとしてテレビを観つづけ、テレビに関する著書やコラムを多数執筆する、てれびのスキマによる連載。昨日観た番組とそこで得た気づき、今日観たい番組などを毎日更新で綴る、2021年のテレビ鑑賞記録。

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1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。

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