ヤリモクと真剣交際することは可能? マッチングアプリ中毒の女芸人・小出真保の実体験

2022.11.29
小出真保

文=小出真保 編集=梅山織愛


近頃、出会いの手段のひとつとして一般的となったマッチングアプリ。しかし、興味はあってもなかなか踏み出せずにいる人や、インストールしたもののうまく使いこなせていない人はまだまだ多いだろう。そこで、お笑い芸人でありながら「マッチングアプリジャーナリスト」としても活動する小出真保がマッチングアプリのすべてを伝授!

今回は筆者がマッチングアプリで実際に出会った体の関係だけを求めるカジュアル男たちを紹介。彼らと真剣交際を行うことはできるか。

カジュアル男たちの実態

どうも! 皆さんお久しぶりです!

最近デートした男性に「緊張します。僕、今日マッチングアプリで会うの初めてなんです! まほさんは? なんだか妙にこなれていますね」と、ついに言われてしまいました。まさか「あなたは116人目です」とは言えませんでした。

マッチングアプリを極めてしまったマッチングアプリジャーナリストとものまね芸人の二刀流、小出真保です。

極めたとはいえ、ある特定のジャンルの男性たちが多数在籍しているとあるアプリには挫折中。それはどんなジャンルかというと……婚活女子の敵「カジュアルな関係目的」が8割在籍するアプリ。

そもそも「カジュアルな関係」って知っていますか? 私はマッチングアプリをやるまでこんな言葉は一切知りませんでした。カジュアルファッションなら知ってるけど、友達みたいなノリってこと?と思ってましたが、非常に下品な言い方をすると「ヤリモク」ということ。マッチングして口説き、ホテルに行くことを主な目的としています。

このカジュアルな関係目的の人たちが多いマッチングアプリTinderを久しぶりに開いてみました。すると、むわん……と漂ってきます。これだ、思い出したこの空気。性欲ダダ漏れ。真のオス。

世の中にはこんなにもセックスしたい人がいるんだと思うと、人間はそのために生きている気がしてくる。セックスを目的とする男たち、通称・カジュアル男は、高速で右スワイプしています。Tinderをやる男性の指の動きのものまねをしてみました。

このようにプロフィールを見ずに、ひたすら右スワイプをするのがカジュアル男たちなのです。なので、女性はこんなにもたくさんマッチングしてメッセージがどんどんきます。

小出真保

マッチングしてからメッセージが届くまでの時間、2秒。

彼らのメッセージの流れはビックリするくらいほぼ全員一緒なんです。まずは「遊べる人ですかー?」「こちらは、わりきりですが、大丈夫ですかー?」と確認。“わりきり”とは割り切って会いましょう、つまり、彼女にしたり恋愛するということではなく“体目的ですよ”ということ。

彼らからは「家、もしかして近いかも笑」「仕事で忙しくて癒されたい笑」「カラオケとか好きですか?笑」「今日、ひま笑」「イチャイチャしたい笑」と、ひたすら「笑」をつけてくメッセージが来る。何がそんなにおもしろいんだろう。

そして「てか、LINEにしません?笑」。ここでだいたいの女性はやりとりを終了すると思います。しかし、私はLINEを交換していました。ジャーナリストですからね。

数日やりとりがつづくと「今、何してるー?」というLINEが定期的に来るようになる。以前「今、何してるー?」事件がありました。ある日、LINEが16件溜まっており、開くとカジュアル男たちからの

「今、何してるー?」
「今、何してる?」
「何してる?」
「まほちゃん、何してるー?」
「今、何してるの?」

というメッセージで埋めつくされていました。なんだかとてもビッチになった気分でした。しばらく経ってから「ずっと寝てたからLINE返すの遅れました」と、送ると「笑笑笑笑笑笑笑笑笑」と返信がきました。「笑」が多過ぎて、もはや会話ではありません。

本当に彼らはフットワークが軽い。そしてマメ。こんな男性たちが世界にたくさんいると思うと恐ろしく感じるはずなのですが……なんだか魅力的にも感じてしまうんです。なぜだろう。考えました。それはシンプルに遺伝子の強さを感じるというのはあるなと。

私は一時、ものすごく彼らにハマってしまっていました。結婚したいはずなのに、気づけばTinderばかり開く日々。そのときはマッチングアプリを1日18時間やっていましたが、ほとんどがTinder。

彼らの魅力は、女性に慣れていて扱いがうまいこと、褒め上手、高学歴高収入高身長、グイグイいけるくらいだからルックスにも自信がある。そして実際イケメン。6割小栗旬、6割成田凌くらい。

根が非モテの3軍で自己肯定感が低い私みたいな人種は、そんな人たちから「かわいい」「タイプ」なんて口説かれるとなんだかモテてる気がしてしまって、どんどん中毒性を感じてしまうんですね。危ない傾向だとわかっていてもハマってしまいました。また、私は昭和生まれなもので3高に弱いのかもしれません。

ヤリモクに本気で恋をさせるには?

どう考えても「真剣交際」には発展しなそうな彼ら……。彼らは婚活女子からしたら敵だし、複数女性にいくため彼女にはしてくれない。それなのに数回関係を持ったら、ハマってしまって抜け出せない女性もいる。

私は「彼らはどうしたら、本気で人を愛するんだろう」と思いました。そこで彼らの生態を調べるために、あえてカジュアル男たちを狙うことにしました。彼らに本気で恋をさせ、真剣交際からの結婚までいくにはどうしたらいいのか?という実験をしようと。結論を言うと正直、追わせるのは簡単。だけど、やはり真剣交際は難しい。

だいたい彼らはご飯のあと、ホテルに誘ってくるのですが「すみませんが、彼女にはしないので。彼女は作らないので」というオーラを出してくる。中には「本命がいる」という人も。

ここで私は「あの、こっちもですけど」という同じオーラ返しをしました。「こっちも彼氏いりませんし、ほかにも男性はたくさんいます♪それにあなたよりももっと楽しいことが毎日あります♪」と自分を律する。「自律」している女はかっこいいから。

そうすると「あれ……俺、こんなにモテるのに、こいつ俺に夢中にならないぞ? なんなんだ?」と、軽く動揺し「ほかの女とはちょっと違う」と気になってくる。この恋愛マニュアル本のようなやり方で彼らは私を追ってきたのです。

LINEに20人ほどの女性の名前がズラーっとあるような高学歴高収入で、見た目6割小栗旬、6割成田凌な男も週に3回は「今、何してるー?」「会いたい」「まほを優先したい、ほかの女の子は切る」と言ってくるようになりました。

ここまでは簡単だと思う。けれど、いざ、こっちが夢中になったり、ハマったりすると潮が引くように連絡が来なくなる。難しい。手強い。これでは真剣交際に至らない。私は、真剣に向き合ってみたくなりました。やはり本気でぶつからないと人はわかり合えない。

彼らはなぜ簡単に「好き」と言うのか

本気でぶつかってみたその彼は、6割妻夫木聡くん。イケメンだったなぁ……。彼はいつも「好き」と世界一心を込めずに私に伝えてきていました。「好きー」「好き好き好きー」と、無感情で。なので、こう言ってみたんですよね。「なんで好きという大切な言葉、簡単に使うの?」と。

すると「別にこれはカジュアルな好きであって、そんな深い意味ないから、流しなよ」と返してきました。出た。またカジュアルか。私は思わず説教してしまったんですね。「虚しくないの? そんなふうに適当に人と接していたらいつか、あれ?好きってなんだろう?って感じて、自分がどんな人間かもわからなくなって、孤独になると思う」と。

すると6割妻夫木聡くん「……そうだよね……」と、めちゃくちゃ切なげな表情に切り替わりました。ああ、寂しそうだったな……。そんな姿にキュンキュンしてしまったのですが……。結局、彼とは真剣交際に発展しませんでした。カジュアル男性たちの闇は深かったです。10年くらいかけたらいけるのかもしれませんが……。自分自身も、彼らと本気で向き合うほどの覚悟はありませんでした。

実験結果「追ってはくるけど、やっぱり交際には至らない。そして、自分自身も本気では向き合えなかった」。

レベル別カジュアル男たちの闇

女性を口説きまくりたい、遊びたいという生命力がある彼らですが、やはり闇も感じます。そこで私が実際に会った闇を感じるカジュアル男たちをレベル別で紹介していきますね!♪

・闇レベル☆☆☆★★

彼らはカジュアル目的とはいえ、とにかく明るくポジティブな印象ですし、嫌がることはしません。会話もまぁ楽しいし、優しいのです。

彼なんてまさに、明るいカジュアルですね。「LAひで」(仮名)。

小出真保

彼は真冬にタンクトップで登場しました。

アメリカ憧れがすごくて「俺、LAいたからさー」を5分に1回言っていました。

「俺、LAいたからさー、細かいこと気にしないんだよねぇー」
「俺、LAいたからさー、EDMしか聞かないんだよねー」

「LAいたことはじゅうぶんわかったよ」と言いたくなりました。実際に、どのくらいLAにいたのかを聞いたところ「1カ月」とのことでした。

・闇レベル☆☆★★★

プロフィールがヤバ過ぎる人がいました。

4回戦できる人
ドMな人
探究心ある人
開拓されるのが好きな人

小出真保

ちょっと目にサイコパス感が漂っていましたが実際に会ってみると、イケメンで高学歴、大手企業勤務、女性に慣れていました。しかし私があるセリフを言ったことで、彼は狂い出してしまいました。

「これだけスペック高かったら、いい遺伝子を持ってるね」このセリフを言ったあと、何度も「いい遺伝子持ってるね」と言わされました。どうやら、彼はそれで承認欲求を満たし、性的興奮を覚えるようなのです。会わなくなったあとも、何度もLINEで「俺の遺伝子くらえよ」と送ってくるのでした……。

・闇レベル☆★★★★

プロフィール写真が「筋肉写真」「首から下だけのスーツ姿」の人は、かなりのレベル。

彼らは顔バレが怖いので顔写真はNGと言います。理由のほとんどは「既婚者」だから。プロフィールには「わりきりで。同じ状況の人だとうれしいかも。満足させます、中イキさせます」と、ハッキリ過ぎるほど書いてあります。「私は既婚者は無理」と断ると「妻のことは愛してるけど、これはまた別」なんて言うんです。恐ろしい。

あるとき「僕、今、興奮しています」と、マッチングしていきなり鏡の前にいる自撮りの写真が送られてきました。スーツ姿の普通のサラリーマンに見えましたが、「わかりますか? 僕、興奮してるんですよ」「あなたのことを考えていたら興奮してきて」「僕、大きいから、まほさんびっくりしちゃうかも」と激しくなっていき、は?何?と、あっけにとられていると突然、「見てください、ほら」と言って送られてきた写真はなんと股間の写真。

「あなたのこと考えていたら股間がこうなりました」と。私の友達も何人か被害にあっています。これはもう通報レベルです。

・闇レベル★★★★★

ルックスがいい、ハイスペック、性格も問題ない。正直、こういう人たちが一番難しいと思う。なぜなら、何を話しても響かないから。「好きなこと」「趣味」「将来の目標」何を話しても、ひとつも覚えてくれない。モンスターに近い。

彼らはひたすら「まぁ、体の相性って大事だよね」と言う。この言葉を何度も言って、ホテルに連れて行くという目的を達成しようとしか考えてない。それ以外のことはしないし、言わない。私は気になって「本気で人を愛したことある?」と質問してみました。

答えは「まぁあるっちゃあるけど……体の相性って大事じゃない?」あぁ。これしか返ってこないんだよなぁ。しかも、やっぱり切ない表情を見せる。それに惹かれてしまうんです……。

カジュアル男たちは需要があるのか?

そもそもカジュアルな関係って需要あるのか? 女性たちの中にも求めている人はいるのか気になってしまい、全然マッチングしない男芸人の「岩ちゃん」のプロフィールをカジュアル目的に変えてみる、という実験をしてみました。

小出真保
小出真保

すると、なんとマッチング率が上がったのです。ノーマル写真とプロフィールでは一切マッチングせず、したとしても業者ばかりだったのに、ちゃんとマッチングしメッセージも来るようになったのです。

結局、女性も筋肉やオスの魅力に惹かれるということだと思いました。これは、人間の本能なのだろうか。

カジュアルな関係を目的にマッチングアプリをするのは自由ですし、私は浮気や不倫は嫌ですがそういうことをする人たちがいることも理解はしています。みんな何かしら寂しさを感じるから心の隙間を埋めたいんだなと思うのです。

でも、ヤリモクだからって真剣交際にはいたらないとは言い切れない。男女って何が起こるかわからないんだから。

みんな結局は真実の愛を探したいんだと思う。私もそう。マッチングアプリは深い世界。やめられません♪本当にいいものですね。

では、またお会いしましょう。さようなら、さようなら、さようなら。

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