『M-1グランプリ2022』で決勝に初進出してほしいと思ったコンビ10組

2022.11.20
M-1グランプリ2022ロゴ

文=かんそう 編集=鈴木 梢
(C)M-1グランプリ事務局


現在『M-1グランプリ2022』の予選3回戦のネタ動画がYouTubeで公開されており、次々とやってくる「お笑い無限ループ」にヨダレが止まらない日々を過ごしていました。そして先日、ようやく全299組の視聴を終えたので、その中でも決勝戦に「初進出」してほしいと思ったコンビ10組を紹介します。


阿佐ヶ谷姉妹

2007年結成、ASH&Dコーポレーション所属。渡辺江里子と木村美穂のコンビ。冒頭の「皆さんおもしろいわねぇ」から会場の空気を支配し、「細かすぎて伝わらないモノマネ選手権」で“いる人”に代表される、ふたりの醸し出す言い知れぬ怖さと、妙齢女性の持つコミカルさの両方を漫才に落とし込んでいて、自分たちの手札を全部出し切った上ですべてが完璧にまとまっていて震えた。

男性ブランコ

2011年結成、吉本興業所属。浦井のりひろと平井まさあきのコンビ。「浦井っぽいほうが平井、平井っぽいほうが浦井」でおなじみのふたりだが、一切場の空気に呑まれることなく飄々と自分たちのペースで漫才をするその姿は達人のオーラすら感じられた。間の取り方がもはや神業の域で、観客がフッと力を抜いた瞬間に急所を狙ってくるかのごとく挿し込んでくる斜め上からのボケと、完璧なタイミングで繰り出されるツッコミ、王道のコント漫才でもまだここまでおもしろいネタができるのかと、感動すら覚えた。

ヨネダ2000

2020年結成、吉本興業所属。誠と愛のコンビ。極めてマンガ的なキテレツ設定でありながら、圧倒的な空間描写能力で「非現実の映像」を観客全員に同期させる漫才というより、もはや『呪術廻戦』の「領域展開」に近い。個人的に「観る前の期待値と観たあとの満足感」の差が最も激しいコンビで、毎回ヨネダ2000のネタを観てからはワクチンの副反応が治まった翌日のように絶好調になる。

金属バット

2007年結成、吉本興業所属。小林圭輔と友保隼平のコンビ。こんなにも「話している内容」と「話している人間」が合致している漫才師も珍しく、この世には金属バットの漫才を観ることでしか摂取できない快楽がある。「台本」を意識せずここまでナチュラルに「しゃべり」のように聴けるのは本当にすごい。3回戦で披露したネタも、適当に決めたように見えて緻密に計算されていて最後の最後まで余すことなく楽しめる「作品」としての美しさもあって完璧。

くらげ

2018年結成、吉本興業所属。杉昇と渡辺翔太のコンビ。毎年フォーマットを変えつつも、どんどんおもしろくなっていて、どのネタを観ても構成がとんでもなくうまく、観客に種明かしを提示するタイミングが絶妙。『チャンスの時間』などで観る渡辺翔太のビジュアルと中身が完全に合致したキャラクターのおもしろさも相まって、どこからでも爆発的に売れる可能性があると思う。

ヤーレンズ

2011年結成、ケイダッシュステージ所属。出井隼之介と楢原真樹のコンビ。

毎年おもしろいのだが、今年は特にすごい。飄々としているのにどのコンビよりも洗練されていて、ボケ、ツッコミ、マイム、セリフ、展開すべてに無駄がなく、突拍子もないと思っていたくだりが最後につながって爆発する気持ちよさは唯一無二。フラッと出てきて、とんでもない高得点をかっさらってる画が簡単に想像できる。

ダイヤモンド

2017年結成、吉本興業所属。野澤輸出と小野竜輔のコンビ。ネタの発想力は間違いなく全芸人でもトップクラスで、毎回どんな漫才をしてくれるのかワクワクするし、その期待を軽々と超えてくるのがすごい。ふたりとも声質が抜群に聴き取りやすいのもうれしい。

チェリー大作戦

2016年結成、吉本興業所属。鎌田キテレツと宗安のコンビ。「設定に入るときの場面転換」を活かし時空を超えるというのは新し過ぎて度肝を抜かれた。確実に「漫才」という形でしかできないネタなのだが、そのブッ飛び具合に対してふたりのキャラが1ミリも負けてないのがすごい。淡々とボケつづける鎌田キテレツと、不条理に振り回されるのが似合う宗安、誰もがまねしたくなるシステムの完成度でありながら「このふたりがやるから一番おもしろい」がすでに確立されていると思った。

ハイツ友の会

2018年結成、吉本興業所属。西野と清水香奈芽のコンビ。「対象を共感と偏見でボコボコにする」ということにおいて、2019年チャンピオンのミルクボーイにも劣らぬ殺傷力を持つヤバいコンビ。京都弁からくる独特のテンポと、心の隅に引っかかっている違和感を突いてくるワードセンスがえげつない中毒性を生み出していて最高だった。

カゲヤマ

2008年結成、吉本興業所属。益田康平とタバやん。のコンビ。そこそこの歳をしたおじさんが、兄妹になって抱き合ったり怒鳴り合ったりしている時点で反則的におもしろい。本人たちも言うように、体調の悪い日に観たら確実にトラウマになる破壊力を秘めている。

ほかにも、黒帯、軍艦、シンクロニシティ、カラタチ、空前メテオ、カベポスター、ヘンダーソン、オッパショ石、10億円、例えば炎、キュウ、人間横丁、軟水、ワールドヲーター、ドンデコルテ、Hi TEENS、西村が好きだった。全組の準決勝進出は叶わなかったものの、全員死ぬほど売れてほしい。


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