風といっしょに来る匂い(ランジャタイ国崎)


『今日だね。』

マツクラさんからメール。

『年に一度、金木犀が街全体を包み込む日がある』

マツクラさんとこの話になった時は、

大いに盛り上がった。

自分と同じことを思っている人がいたのだ。

そして、変な約束をした。

どちらともなく、

その金木犀の日が「今日」だと感じたら、

お互いメールをしようと。

年に一度の、それだけの挨拶。

マツクラさんも、金木犀の匂いでいろいろ思い出したりするのだろうか?

今度聞いてみよう。

息を吸う。

金木犀の香り。

笑顔になる。

『今日ですね!』

僕も同じですと、メールを返した。

金木犀の匂いがする。

幼稚園からする。

小学校のベランダからする。

食パンにジャムを塗って、なっちゃんで乾杯する。

自転車のペダルを漕ぐ。

金髪のおねいさんが、タバコを吸って、ハーイ。

下り坂にまかせて、足をはなす。

シャーと、海老坂を走っていく。

金木犀の。匂いがする。

今年も来たぜタージマハール。

思い出したぜタージマハール。

元気してたかタージマハール。

そうかそうか

それじゃまたな、タージマハール。

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