「強がり」と「弱さ」が実はつながっている――ドラマ『心の傷を癒すということ』から考える

2020.2.10


「強がり」と「弱さ」が実はつながっている

そんな中、和隆は避難所である少年と出会う。少年もまた、震災で心に傷を負っていて、そのことを直接口にはしないが、段ボールにペットボトルなどを乗せ、それを揺らして遊ぶ“地震ごっこ”をしたりと、どこかで強がり、またSOSを出しているような行動を見せていた。

その後、和隆は少年との会話で、「こんなつらいことがあった、こんな悲しい気持ちになった、そういうこと、話したかったら遠慮せずに話してほしいねん」というと、少年は「おじいちゃんに、男のくせにそんなに弱いんかって笑われる」と答える。「弱いってええことやで、弱いからほかの人の弱いとこがわかって助け合える」「おじいちゃんにもそう言うといて」というも、少年に伝えたおじいちゃんが行方不明のまま見つかっていないのがせつない。

少年は、和隆とのやりとりを経て「ずっと揺れとお気がすんねん」と自分の不安をやっと口にするのだった。

少年だけではない。当時は誰もが不安やストレスを抱えていた。ある日、和隆の妻も「神戸の人は罰が当たったんや」と言われる経験をしていた。それを聞いた和隆は「それ言うた人、きっと怖いんやと思うわ」「私らは、何もしてないから大丈夫、そう思わな、こわーてしょうがないんやろな」と捉えるのだ。

このセリフからもわかるとおり、第2話では、「強がり」と「弱さ」が実はつながっていることを描いていたと思う。この「強がり」と「弱さ」は、和隆の在日韓国人一世の父親(石橋凌)にも当てはまる。震災の時期と同じくして、父が一代で起こした会社の経営は傾く。それでもなお、息子たちに弱い姿を見せたくないと「強がり」を言って息子にとって常に大きな存在であろうとしていた父親が、どんな風に「弱さ」を受け入れていくかが第3話では描かれていた。


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西森路代

(にしもり・みちよ)1972年、愛媛県生まれ。ライター。大学卒業後、地元テレビ局に勤務の後、30歳で上京。派遣社員、編集プロダクション勤務、ラジオディレクターを経てフリーランスに。香港、台湾、韓国と日本のエンターテイメントについて、女性の消費活動について主に執筆している。

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