解散してからの私は「小泉みゆき」から「薄幸」と芸名を変えてピン芸人となり、薄幸の宣材写真を撮って貰った。
ちなみにこの時やっていたネタは、いろんな有名人の名前が書かれた紙が入っているモノマネボックスを引いて、出た人のモノマネをするけど、全て工藤静香。
最後だけ工藤公康。
という、頼むから勘弁して欲しいネタを主にしていた。
ピン芸なんてよく分かんないけど、とにかく思いついたやりたい事をしていた。
その時の宣材写真。
ちょっと。嘘つき過ぎ。
演技派女子アナコントとかしそう。
こいつをオーディションに呼んだのに、やるネタ、工藤静香からの工藤公康。
オーディション審査員の方も、パニックになった事だろう。
もちろん何のテレビにも引っかかる事もなく、2年のピン芸人生活。
半ばどうでもよくなっていた時に声をかけられ、組んだのが、今のコンビ。
納言。
まだ衣装も決まっていない状態で事務所に挨拶に行って、とりあえず撮った写真で、初めは活動していた。
新婚さんいらっしゃいじゃん。絶対に。
あんま盛り上がらなかった、いらっしゃいの夫婦じゃん。
事務所の誰からもいらっしゃいされていない状況だったけど、本当に運が良く、納言を組んでから2年前後で、テレビにも出られる様になってから撮った写真を、今現在でも使っている。
やっとだ。
やっと芸事だけで食える様になった時の写真。
笑顔が過ぎてて、何て言うか、芸人としては、私っぽくはないんだよな。
でも多分、今までの宣材写真の中で、一番幸せな顔をしている気がする。
芸人という好きな仕事で、生活出来る様になり始めた頃の写真。
この時の私は、幸せじゃない訳がない。
お笑いだけで生活出来るのが当たり前だと思って17歳で飛び込んだこの世界。
でも、現状はそうではなくて。
苦しかった。
自分の甘さに、めちゃくちゃムカついた。
大好きな同期や、尊敬する先輩が辞めていくのを、何人も目の当たりにした。
やだなーと。見たくないなーと。
そう思った。
私が辞める姿を誰かに見られるのか。
やだなー、見られたくないなー。
そんな風に思った時もあった。
でも、ようやく、バイトもせずに芸人という好きな仕事だけで、飯が食える様になり始めたのが、この時。
幸せそうだ。本当に。
だから、嫌いではない。
最近撮り直した宣材写真は、まだ見ていない。
今は、芸人としての仕事を沢山させてもらっている毎日。
リアルな自分は、最上級に幸せ。
でも、芸人としては、~っぽくありたい。
両方の私っぽい、本当の私がちゃんと見える宣材写真だったら嬉しいよなあ。
連載「納言・薄幸の酔いどれコラム」は、毎月1回の更新予定です。
関連記事
-
-
サバ番出演、K-POPへの憧れ、両親へのプレゼン…それぞれの道を歩んだ5人が、新ガールズグループ・UN1CONになるまで
UN1CON「A.R.T.」:PR