ラバーガールはなぜTikTokで大バズリしているのか

2022.5.4
ラバーガール

文=かんそう 編集=鈴木 梢


個人的に今年一番「来る」と思っている芸人がラバーガールだ。

『エンタの神様』(日本テレビ)、『爆笑オンエアバトル』(NHK)といったネタ番組で、常に抜群のおもしろさを誇っていた「次世代の新ドローム」ことラバーガール。そんなラバーガールが今やほぼ女子高生のアイコンになっているのをご存じだろうか。

彼らが開設したTikTokアカウントは大バズリをかましており、開始3カ月あまりでフォロワー数30万人を突破、アップされたショートネタ動画も軒並み100万回再生超えと、もはや若者の話題はラバーガールか地球グミかの二択状態といえるかもしれない。


ラバーガールが兼ね備えるスピードとパワー

なぜここまでラバーガールがバズっているのか。タカアンドトシがMCを務める北海道のローカル番組『ジンギス談!』(HBCテレビ)に出演した際、飛永翼はラバーガールのコントの魅力を「ネタが始まってから1ボケ目までのスピード」と評していた。

『爆笑レッドカーペット』(フジテレビ)などの1分ネタ番組が全盛だった2000年代初頭は、いかに短い時間で視聴者の心を掴むかが重要視されており、ラバーガール自身もそれに対応しようと一発目のボケまでの初速を早くしつづけていたという。そしてその結果、1分よりも遥かに短い「数秒」でのおもしろさを求められるTikTokのフォーマットが見事に合致したのだ。

タカ曰く、その速さはむしろ「漫才のようなコント」。一見脱力系でひょうひょうとした雰囲気のふたりだが、その中身は蜂のように鋭い。まさにモハメド・アリのような芸人なのだと改めて感じた。

そんなラバーガールの掴みの中でも「最速」だと豪語するのが「職務質問」。自身のYouTubeチャンネルのShortsにも投稿されているのだが、「ごめーん、ちょっといいかなあ?」「ごめーん、また今度ねえ」フリからオチまで一瞬ですべてが完結する完璧な10秒、もはや美しいとすら思うほどの完成度を誇っている。

そしてラバーガールは「速い」だけではない、スピードと同時に圧倒的な「パワー」も兼ね備えている。いくら初速が速くても中身が伴っていなければ多くの若者の心を掴むことはできない。前述したショート動画との相性からわかるとおり、ラバーガールのコントはどこを切り取ってもおもしろく、それまでの流れや伏線など文脈を踏まえなくても老若男女がわかるキャッチーさがある。

ラバーガールのコントをフルで観る醍醐味


この記事の画像(全2枚)


この記事が掲載されているカテゴリ

Written by

かんそう

1989年生まれ。ブログ「kansou」でお笑い、音楽、ドラマなど様々な「感想」を書いている。

CONTRIBUTOR

QJWeb今月の執筆陣

酔いどれ燻し銀コラムが話題

お笑い芸人

薄幸(納言)

「金借り」哲学を説くピン芸人

お笑い芸人

岡野陽一

“ラジオ変態”の女子高生

タレント・女優

奥森皐月

ドイツ公共テレビプロデューサー

翻訳・通訳・よろず物書き業

マライ・メントライン

毎日更新「きのうのテレビ」

テレビっ子ライター

てれびのスキマ

7ORDER/FLATLAND

アーティスト・モデル

森⽥美勇⼈

ケモノバカ一代

ライター・書評家

豊崎由美

VTuber記事を連載中

道民ライター

たまごまご

ホフディランのボーカルであり、カレーマニア

ミュージシャン

小宮山雄飛

俳優の魅力に迫る「告白的男優論」

ライター、ノベライザー、映画批評家

相田冬二

お笑い・音楽・ドラマの「感想」連載

ブロガー

かんそう

若手コント職人

お笑い芸人

加賀 翔(かが屋)

『キングオブコント2021』ファイナリスト

お笑い芸人

林田洋平(ザ・マミィ)

2023年に解散予定

"楽器を持たないパンクバンド"

セントチヒロ・チッチ(BiSH)

ドラマやバラエティでも活躍する“げんじぶ”メンバー

ボーカルダンスグループ

長野凌大(原因は自分にある。)

「お笑いクイズランド」連載中

お笑い芸人

仲嶺 巧(三日月マンハッタン)

“永遠に中学生”エビ中メンバー

アイドル

中山莉子(私立恵比寿中学)
ふっとう茶☆そそぐ子ちゃん(ランジャタイ国崎和也)
竹中夏海
でか美ちゃん
藤津亮太

QJWebはほぼ毎日更新
新着・人気記事をお知らせします。