トレンドの鍵は「フォーマット」にあり。2020年から2021年で変化したコロナ禍Z世代カルチャー

2021.8.11
長田麻衣3

文=長田麻衣 編集=鈴木 梢


2021年も折り返し地点。コロナ禍による生活の制限や変化は、依然としてつづいています。SHIBUYA109 lab.で毎月実施しているZ世代を対象としたインタビュー調査では、世の中の変化に戸惑いつつも順応し、自分なりの楽しみ方を見つけてSNSで共有することで、さまざまなトレンドを生み出している様子が窺えます。

SNSを中心にコミュニケーションを行う彼らのトレンドは、非常に短サイクルで、そのスピードはさらに加速しています。人気のSNSアカウントやインフルエンサーは、半年もするとニューフェイスが台頭し始めますし、音楽やダンス、写真の撮り方や写真フィルターは少しずつアレンジが加えられアップデートされていきます。

今回は、コロナ禍のZ世代のトレンドと、そこから見えてくる彼らの特徴について解説します。

<POINT>
・フォーマットを制する者がトレンドを制す——“再現”することでコミュニケーションを生み出す
・コロナ禍により爆誕“おうちカフェ”、最新トレンドは「テーマを決めた空間アレンジ」
・顔じゃなくて雰囲気を“盛る” 最新インスタ映えトレンド 一番伝えたいのは「ウチらのノリ」


フォーマットを制する者がトレンドを制す——“再現”することでコミュニケーションを生み出す

Z世代のトレンドは細分化・多様化していますが、そんななかでもZ世代が共通認識として知っているマストレンドの多くは、TikTokとインスタグラムを中心に生み出されています。

「トレンド」というものは今も昔も真似したくなる要素があり、多くの人が取り入れることで成り立つもの。しかし、これまでは「トレンドに乗ること=トレンドのモノを購入すること」でしたが、今の若者は「トレンドの体験をSNSで共有すること」がトレンドに参加することを意味します。

今の若者にとってトレンドは「モノ」ではなく「体験」を指しており、その「体験」を再現するために必要な「モノ」を消費しているのです。

SNSではインフルエンサーや音楽、ダンスだけでなく、お菓子やカフェなど、さまざまなカテゴリにおけるトレンドが日々共有されていますが、これらのすべてに共通する点として「フォーマット」があり、再現しやすさが担保されていることが挙げられます。

上半期にトレンドになったインフルエンサーを例に見てみましょう。

【マツダ家の日常】
Mr.都市伝説の関暁夫さんの口癖である「いやヤバいでしょって話だよね」から始まる動画が話題になり、真似する人が急増し、トレンドになりました。

【えまぽち】
「素人ラッパーえまぽち登場!」で始まるフリースタイルラップが話題になったことがきっかけで、TikTokではフリースタイルラップがトレンドになりました。コラボ機能を活用してラップバトルをリレー形式でつないでいく人が現れ、さらに多くの人に拡散していったことも影響しています。

【修一朗】
「僕は東京の大学生!」から始まるVlog形式の動画が話題になり、修一朗君を真似て、「ぼく/わたしは○○」といった自己紹介から始まる投稿が急増しました。

彼らのように、真似しやすいフォーマットを作り、投稿をつづけることで、「再現してみよう!」という若者が少しずつ増えていき、トレンドとして波及していくのです。フォーマットを再現することで、「それ知ってる!」などの二次的なコミュニケーションのきっかけが生まれていくこともポイントで、若者が気分を共有したり、共感を生み出すためのコミュニケーションツールとしても機能しています。

コロナ禍により爆誕“おうちカフェ”、最新トレンドは「テーマを決めた空間アレンジ」

おうち時間が増えたことにより、自宅でカフェドリンクやフードを楽しむ「#おうちカフェ」がトレンドになりました。昨年のSHIBUYA109 lab.トレンド大賞2020の「おうちカフェ部門」では、ダルゴナコーヒー(韓国で話題となったコーヒードリンク)やいちごあめなどがランクインしておりましたが、今年のおうちカフェは更にレベルアップしています。

おうちカフェの写真
2020年に流行したダルゴナコーヒー(左)やいちごあめ(右)

今年のおうちカフェトレンドは、ドリンクやスイーツを作るのではなく、“空間”をアレンジすることに重きが置かれていることが特徴です。

【おうち居酒屋・おうち縁日】

おうち縁日の写真
おうち縁日の写真(左)@seri..0623 (右)@riiiino____

外出自粛により居酒屋や飲食店に行けないことから、自宅でお店の内装を再現しています。食べ物だけでなく、壁にメニュー表を飾ったり、グラスに推しの名前を書いた透明テープを貼りつけた「推しグラス」を用意したりなど、居酒屋の雰囲気を表現するための小道具作りにも力が入っています。 最近は季節性を表現するため「おうち縁日」も楽しまれています。

【渡韓ごっこ】

渡韓ごっこの写真
渡韓ごっこの様子を写した写真

韓国に旅行をしているイメージで、韓国フードのテイクアウトメニューを持ち寄り楽しんでいます。自宅だけでなく、都内の格安で内装がおしゃれなホテルに宿泊するケースも多く見られ、海外に行けないなかでも、旅行気分を味わうための工夫が見られます。

これらのトレンドは、ドリンクやスイーツ、フードそのものよりも空間の雰囲気やニュアンスが重視されていることから、雰囲気を再現するために必要な要素をSNSに投稿されている写真や動画で確認しています。 遠出ができない今、移動時間に代えて空間を作り上げる過程が楽しまれています。

“顔”じゃなくて“雰囲気”を盛る。一番伝えたいのは「ウチらのノリ」


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長田麻衣

(おさだ・まい)株式会社SHIBUYA109エンタテイメント マーケティング戦略部 エキスパート SHIBUYA109 lab.所長。総合マーケティング会社にて、主に化粧品・食品・玩具メーカーの商品開発・ブランディング・ターゲット設定のための調査やPRサポートを経て、2017年に株式会社SHIBUY..

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