『藤井風のオールナイトニッポン』からわかる彼の音楽の魅力と、音楽以外の魅力

2022.4.7
藤井風

※トップ画像=セカンドアルバム『LOVE ALL SERVE ALL』より
文=かんそう 編集=鈴木 梢


3月30日、『藤井風のオールナイトニッポン』(ニッポン放送)が放送された。これまで過去3回『藤井風のオールナイトニッポン0(ZERO)』を担当し、満を持して昇格。昨年『NHK紅白歌合戦』に出場したことで存在を知った人は多いかもしれないが、彼は類稀なる音楽の才能だけでなく、非常に魅力的な人間性も持ち合わせた人物である。今回は先日の『オールナイトニッポン』の内容を振り返りながら、彼の魅力について考える。


藤井風の凄まじい基本情報

「藤井風」を知らない人に、彼の特徴のほんの一部をお伝えすると、

  • 齢24歳のシンガーソングライター
  • 岡山県の人口約1万人の里庄町出身
  • 身長181cmで4人兄弟の末っ子
  • 3歳からピアノを習い、ジャズ・クラシック・ポップス・歌謡曲・演歌など、あらゆる音楽を聴いて育つ
  • 絶対音感を身につけるための教育を受け、習得
  • 一度覚えた曲は忘れず、ピアノで弾くことができる
  • 12歳からピアノカバー動画をYouTubeにアップ
  • ベジタリアン(ヴィーガン)
  • 口癖は「なにぃ?」「言うてますけどmore…」
  • DJ松永に「(才能に)絶望する」と言わしめる
  • デビュー2年目で『NHK紅白歌合戦』出場

……という、そのへんのマンガの主人公よりも情報量の多い男、それが藤井風。令和最注目アーティストである彼が過去3回の『オールナイトニッポン0(ZERO)』単発放送を経て、『オールナイトニッポン』に降臨した。

番組が始まるアズスーンアズで披露されたのは、マイケル・ジャクソンの名曲「Heal the World」。混沌を極める現代だからこそ改めてこの曲が心に響く。藤井風のカバーには、洋・邦問わず原曲に対する圧倒的なリスペクトと愛がある。丁寧に、真摯に弾き語られたその音色と声はまさに「癒やしの権化」、開始数分で耳が幸せに包まれた。

発売されたばかりのニューアルバムのタイトル『LOVE ALL SERVE ALL』にちなんで、今回の番組のコンセプトは「LOVE ALL SERVE ALL THANK ALL」。感謝の気持ちを多くの人に届けたいという藤井風の想いが詰まっている。藤井風が営む喫茶店に一風変わった客たちが訪れドタバタ会話劇を繰り広げるラジオドラマ「喫茶Kaze物語」、リスナーに代わり藤井風が感謝の気持ちを伝える「LOVE ALL SERVE ALL THANK ALL 風のありがとう」とコーナーがつづく。

藤井風が持つギャップ

音楽以外の藤井風に触れるたびにいつも思う。「ギャップなにぃ?」と。超絶技巧のピアノと五感を刺激する唯一無二の歌声、見る者を圧倒する孤高の雰囲気を醸し出しながらも、しゃべる姿は等身大そのもの。フワちゃんのクレイジーさに恐怖し、リスナーにペットボトルのペコペコをイジられ「ウー! マンボ!」と叫び、マネージャーの声を「ちんすこうボイス」と表現する、1ミリも飾ることのない24歳の青年・藤井風がそこにはいた。

「風のありがとう」でリスナーと電話をつないでしゃべる藤井風は、誰よりも一番緊張していたのではないだろうか。特に18歳の女子高生との電話のくだりで、彼女が披露した落語『寿限無』に面食らってしまったのか、突然問題を出されるも1ミリも聞いておらず、「えっ? なっ、なっ、おぅ、俺、今、質問されました? えっえっ、なんてなんて? ちょ待って、いま、かんっ、いき、かってて、かんっ、な、な、えっ、寿限無くんがなにぃ……?」としどろもどろになる藤井風はあまりにも「素」だった。

しかし番組中盤、『オールナイトニッポン』歴代パーソナリティの曲を弾き語る「オールナイトニッポンメドレー」では、そのユルさが嘘のように一瞬でニッポン放送のブースをコンサート会場へと変貌させた。しっとりと撫でるような歌声で一気に曲の世界観に引き込まれた松任谷由実「卒業写真」、グルーヴ感あふれる演奏で卒業の「寂しさ」よりも「ワクワク」を感じさせた斉藤由貴「卒業」、ジャジーなアレンジで恋のときめきを見事に表現したaiko「桜の時」、美しい旋律と歌声で楽曲のよさを120%引き出したYOASOBI「群青」。

女性パーソナリティのみで構成された今回のセットリストは原曲よりもキーは低く歌われていたのだが、むしろキーを下げることでそこに「色気」が生まれ曲の艶が何倍にも増していた。特に「群青」のサビ前「Ah……」は藤井風の声の魅力がすべて凝縮された最高の「Ah……」だった。藤井風のアルバムの初回盤には、いつも洋楽のカバーアルバムが収録されるのだが、いつか邦楽のカバーアルバムも聴いてみたいと改めて思った。

さらに番組のラストには、藤井風自身の卒業ソングでもある「旅路」を弾き語り。原曲は「聴くお麩」と評される優しさの塊のようなバラードなのだが、今回の披露では2番に入った瞬間に疾走感が増し、未来に向かい駆け出していくような力強さを持つまったく別次元の「旅路」へと進化していた。身体に優しく栄養満点まさに「聴く大豆ミート」、一瞬で腸内環境が改善された(大豆ミートは最近の藤井風のマイブーム)。

藤井風という人間の魅力が詰まった豆乳よりも濃厚な2時間。この才能がこれからどこまで行くのか、想像もつかない。ちなみにこの番組中、藤井風が「なにぃ?」と言った回数は「35回」だった(独自調べ)。


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かんそう

1989年生まれ。ブログ「kansou」でお笑い、音楽、ドラマなど様々な「感想」を書いている。