「これがパーマなのかどうかもわからない。寝て起きたらこうなった」
昌磨君といえば、これまで残してきた名言(迷言?)の数々でも知られている。平昌オリンピックで、銀メダルが決まったあとのインタビューで「このあと表彰式があるんですか?」 と記者に聞き返したシーンを覚えている人も多いのではないだろうか。会見などメディアの前でも彼は、とても素直で自然体だ。いつも自分の気持ちを包み隠さず話してくれる。飾らない彼が話す言葉は、不思議と胸にすとんと落ちてくるのだ。
だからこそ、みんなを笑顔にするような名言が出てくるのだろう。プロゲーマー並みの腕前のゲームについて、「スケートより好き」と言っちゃうところもいい。過去には、そんな名言を集めた日めくりカレンダーも発売されたほどだ。
ついでに言うと、個人的に一番好きなのは髪型について聞かれたときの「これがパーマなのかどうかもわからない。(美容院で)寝て起きたらこうなった」発言。最高に“しょーま節”を感じるので大好きです。
持てるものを出し切れば世界トップを争える
昌磨君は小柄だが、氷上に立つと驚くほど大きく見える。力強いスケーティングとエネルギッシュな演技が特徴的だ。それから、彼はジャンプを失敗しても悲愴感を感じさせない。転んでも体勢を崩しても、まだ諦めていないことが伝わってくるから。もちろん昌磨君が血の滲むような練習をして、完璧な演技を追い求めていることはわかっている。けれど、彼にかかれば失敗すらもスケートを完成させるための表現のように思えてくるのだ。だからこそ、ノーミスで終えたときの高揚感が半端ない。そして、何度も演技を見たくなる。そんな不思議な魅力が昌磨君にはある。
北京でも勝負をかける今シーズンのフリースケーティングの演目は「ボレロ」。ポップアレンジされた曲調が、ダイナミックな昌磨君の滑りに見事にマッチしている。さらに同プログラムは、4種類の4回転ジャンプを計5本入れるという自己最高難度の演技構成となっている。高難度の4回転ループから始まり、次々と4回転ジャンプに挑む姿には世界トップクラスの風格が漂う。また、ジャンプだけでなく後半のステップシークエンスにもぜひ注目してみてほしい。体全体から放たれる情熱的なステップとターンに、思わず手拍子をしたくなるはずだ。
前述の山田満知子氏は、北京オリンピックでの昌磨君について「昌磨はやることをやればいいんですよ」と語っていた。これ以上なく心強い言葉ではないだろうか? 持てるものを出し切れば、世界トップを争えるところにまできた。スケートでもインタビューでも最高の“しょーま節”を発揮して、世界中の観客を笑顔にしてくれることを期待している。
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