「kiina」こと氷川きよしが歌う「歌は我が命」 『紅白』で見せた“あなた”のために歌う覚悟

2022.1.3
「kiina」こと氷川きよしが歌う「歌は我が命」

※トップ画像=シングル『Happy!/森を抜けて』より
文=原田イチボ@HEW 編集=森田真規


2021年12月31日、22年連続出場となった『NHK紅白歌合戦』で故・美空ひばりの名曲「歌は我が命」を歌った氷川きよし。「私のそのままの心の叫びを歌わせていただきました」と、その歌に秘めた想いを明かした。

12月に開催されたコンサートを観て「あれからkiina(近年の氷川の愛称)のことばかり考える日々」になってしまったというエンタメライターの原田イチボ氏が、『紅白』での氷川きよしのパフォーマンスに迫る。

【関連】氷川きよしから「kiina」へ。そこに込められた譲れない想い「どんな区分も関係ない。ありのままに生きればいい」


「歌は我が命」にkiinaはkiinaの生き様を鮮やかに乗せた

それほど『NHK紅白歌合戦』に興味のない人生を過ごしてきましたが、今年は生放送のスタートと同時にテレビをつけました。なぜなら『氷川きよしスペシャルコンサート2021 ~きよしこの夜 Vol.21~』に行ってから、氷川きよしに夢中だから。kiinaの歌声で年を締め括りたい。その熱い気持ちが私を動かす。

2020年末の紅白では、男女という性別で区切る紅白のルールに対するメッセージなのか、白い衣装、赤い衣装、ゴールドの衣装と早着替えを披露したkiina。だからこそ2021年末の『第72回NHK紅白歌合戦』でも華やかな衣装に期待していたのですが、紅白の放送直前に出演した『土曜スタジオパーク大みそかスペシャル』で「(衣装は)歌に合わせて大人しめ。大切なのは歌です」とコメントしていました。

ド派手衣装を封印してまでkiinaが紅白で披露したのは、故・美空ひばりさんの名曲「歌は我が命」でした。美空ひばりといえば、壮絶な闘病生活を過ごしながらも死の直前まで歌いつづけた不世出のスター。そんな彼女の魂が込められた一曲を歌い継ぐとは、さすがのkiinaも強いプレッシャーを感じたことでしょう。しかし、私はkiinaが最初のワンフレーズを歌った時点で思ったのです。「これはkiinaの曲だ」と。

もちろん、美空ひばりの功績を軽んじているわけではありません。ただ、kiinaの「歌は我が命」には、こちらはこちらで、美空ひばりが同楽曲に込めたものと負けず劣らず切実な感情があった。同じ歌を歌いながら、kiinaはkiinaの生き様を鮮やかに歌声に乗せてみせました。

kiinaの特技は「歌、人を愛すること」

世間が求める“氷川きよし”のキャラクターをめぐる苦悩。近年は自分らしさを重視して活動するようになってきたものの、ジェンダーレスなファッションなどを嘲笑する声も多く、「氷川きよし」でツイート検索をかけると心ない言葉がサジェストされてくる場合もある。

それでもkiinaは歌いつづける。kiinaの歌を待っている“あなた”がいるから。

過去にあるアーティストに取材したとき、その人は「“100人の観客対私”ではなく、“ひとりの観客対私”を100人分やるつもりでライブしたい」と語っていた。kiinaの「あなた! あなた!」という呼びかけで、その言葉を思い出しました。紅白の大舞台での「私は“あなた”のために歌います」という力強い宣言。「特技:歌、人を愛すること」という公式プロフィールに嘘偽りなし。愛のパワーに底がなく、もはや精神がセーラームーン……。氷川きよしって、『劇場版 美少女戦士セーラームーンR』なのでは?(錯乱)

kiinaは1月1日にインスタグラムを更新し、「『歌は我が命』は私のそのままの心の叫びを歌わせていただきました」と前日の紅白を振り返っていました。歌に生き、歌に死ぬことを宣言した曲を「私のそのままの心の叫び」と言えるkiinaの胆力に改めて舌を巻きつつ、その愛の修羅道とでもいうべき活動の軌跡を追っていきたい所存です。とりあえず『氷川きよしコンサートツアー2022』のチケットは購入済みです。


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原田イチボ@HEW

(はらだ・いちぼ)1990年生まれ。編集プロダクション「HEW」所属のライター。アイドル、プロレス、BL、銭湯サウナが好き。HEW

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