『劇場版 呪術廻戦』原作<0巻>を読むベストタイミングは「なるだけ早く」


ミゲル、ラルゥ、今後の鍵を握りそうな人物も登場

明るく典型的ないいヤツである虎杖と対照的に、乙骨は暗い過去を持ついわゆる陰キャ。だが、「自分の中に化け物を飼っている」という共通点を持っている。虎杖は「呪いの王」と呼ばれる両面宿儺(りょうめんすくな)で、乙骨は「呪いの女王」と呼ばれる事故死した同級生・祈本里香(おりもと・りか)、通称・里香ちゃんだ。凶悪な呪いを背負っているため、呪術界の上層部から秘匿死刑が決められている。

明るい性格や「宿儺の指を集める」という点で虎杖が本編の主人公に向いていると思うが、人気を集めそうなのは乙骨だ。頼りないところがありながら、時折見せる優しさと強さは、そりゃあ人気が出るだろうなという感じ。ブッ飛んだ虎杖に比べて、感情移入がしやすく短い期間で心を掴んでくるキャラクターだ。

舞台は、本編の1年前になる。たびたび話題に上がる12月24日に新宿・京都で行われた呪霊テロ・百鬼夜行がメインだ。五条悟(ごじょう・さとる)、禪院真希(ぜんいん・まき)、狗巻棘(いぬまき・とげ)、パンダなど呪術師側はおなじみのメンバーだし、敵も本編でラスボスクラスの夏油傑(げとう・すぐる)。ほかにも、知っているキャラクターが顔だけチラっと出ていたりして、すでに読んでいるという人も、再読すると新たな発見があるかもしれない。

注目したいのは、敵として五条の前に立ちはだかったアフリカ出身の呪術師ミゲルが、本編では意味ありげに乙骨とふたりで扉絵で登場していることだ。アニメのオープニングでも乙骨といる姿がチラ見せされているため、今後間違いなく深く関わってくるはずだ。また、ハートのニップレスをつけたオネエ口調の呪術師・ラルゥも、特級呪術師の九十九由基(つくも・ゆき)と手を組んでいることが0巻で明らかになっている。

『呪術廻戦』<0巻>芥見下々/集英社
『呪術廻戦』<0巻>芥見下々/集英社

本編含め屈指の名シーンも

いろいろなつながりを説明したが、0巻は乙骨と里香ちゃんのための物語だ。乙骨に取り憑く里香ちゃんは、他の呪霊と同様に完全なるバケモノ。言葉も満足に話せないのに、次第にかわいく見えてくるから不思議だ。

乙骨のことが好きでたまらない里香ちゃんは、乙骨の身に危険が迫ると自動的に現れる。乙骨をイジメた同級生4人に重傷を負わせ、乙骨は呪術高専に転入することとなった。しかし、それでも乙骨は「呪いをかけたのは僕のほうかもしれない」と過去を振り返る。死ぬ前に軽々しく結婚する約束をしてしまったことで、里香を現世に留まらせてしまったということだ。乙骨は、里香を成仏させることを決める。

この思いが、ラストの夏油傑とのバトルであふれ出る。芥見下々も「連載するつもりはなかった」と語るだけあって短編としてまとまりがよく、いまだに本編を含めて最高のシーンと上げる人も少なくない。というか、僕がそうかもしれない。

上記では本編を楽しむためにも読むべきと書いたが、単体でもじゅうぶんに魅力的な一冊だ。

『劇場版 呪術廻戦 0』予告|12月24日(金)公開/主題歌:King Gnu 「一途」

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