熊本の山奥にある「サイハテ村」に行ってきた「ツラい気持ちなら、その日は何もしなかったりする」生き方を見つけた
この世の果てには何があるのだろうか。そんな少年の妄想が現実になったような村がある。名前は「エコビレッジ サイハテ」。ネットを探ると「ヒッピー」「宗教」「大麻」といったただごとではないワードが続々と出てくる、謎過ぎる。そんなサイハテ村に、ライター&編集者の詠シルバー祐真が向かった。
目次
日本にヒッピーコミュニティがある?
その村のことを知ったのは偶然だった。海外在住のライターさんと、アメリカで増えているコンドミニアムホテルの話題になったとき、「L.A.近郊のスラブシティ(Slab City)や日本の熊本県サイハテ村には、共同生活の場(街)として、ヒッピーコミュニティが現存している」と教えてもらったのだ。
髪が長くて、自然が大好きな、たまにマリファナなんか吸っている人たち。そんなイメージの「ヒッピー」だが、日本にヒッピーコミュニティがある? 衝撃の事実だ。改めてネットでサイハテ村について調べると、なんと公式サイトがある。
しかもちょうど筆者が熊本を訪れる11月に10周年のフェスティバルがあるそうだ。
さっそく、サイトの問い合わせフォームから連絡を取り、熊本県宇城市にある“サイハテの地”へと訪問のアポイントを取りつけた。
東京から5時間、いよいよサイハテ村へ
仕事終わりの週末。11月13日。JR鹿児島本線から三角線へと乗り継ぎ、終着の三角駅へ。そこからタクシーで15分ほど、舗装されていない山道を登った先にあるのがサイハテ村だ。東京からだと飛行機を使って約5時間の長旅になる。
村には門や入村チェックもなく、すんなり入ることができた。タクシーから降りて、村の中を散策させてもらうと、一軒家や集会場のような小屋、テントまである。薪の山や何か野菜を作っている畑もあって、これは確かに村だ……。村全体で約1万坪もあるらしく、しかも山の山頂付近にある。とにかく眺望がいい、そして寒い。
お祭りのシーズンと聞いていたが、そこまで盛り上がってない。聞けば、「この日は祭りの中日(なかび)でちょうど人が少ないのだ」とか。
しかし、オーガニックな屋台があったり、大音量で音楽が流れて、大人や子供たちが踊っていたりと、コミューンっぽさはかなり感じられる。踊るだけでなく、歌ったり、飛び跳ねたり、お酒を飲んだり、他人の目線を気にすることなく、皆が思い思いに好きなことをしている。自由だ。ちなみに、かかっていた曲は大滝詠一やTHE BLUE HEARTSなど懐メロだった。
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