オンラインお見合いとリアルお見合い
いつもの通り、メールのやりとりで先方の状況や条件などを確認したあと、今回から初めて「オンライン(Zoom)でのお見合い」を挟んでみることにした。
これが、とてもよかった。
まず、猫の普段どおりの様子を見てもらうことができる。場所が変わったり、知らない人が家に来たりすると、とたんに警戒してしまうのが、猫だ。オンラインであれば、猫に負担を掛けることなく、家での様子(暴れっぷりも含めて)を知ってもらえる。
人間側にもメリットしかなかった。これまで顔もわからなければ、これから猫を飼う場所の様子もわからなかったのが、双方映像で確認できるので、平たくいうと「安心できる」のだ。おたがい。顔が見えるコミュニケーションは、案外大事。
コロナ禍で一般的になったオンラインミーティングのしくみ、猫の譲渡にもとても有効だと思った。
顔を見ながらだと、話も早い。その週の週末に実際「ぶん」と会ってもらうことになった。場所は動物病院。
案の定、「ぶん」はケージの隅で他人事みたいに縮こまっていたけれど、普段の様子はZoomで見てもらっているから大丈夫。実際に触れてもらって、子猫の抗えないかわいさを目の当たりにしてもらう。
「かわいいですね」と、少しおっかなびっくりな手つきでなでながら、まぶしそうに「ぶん」を見る里親さんの表情こそがまぶしかった。微笑ましくて、多幸感のある空間だった。当の「ぶん」を除いては。
そして、その場で譲渡が決まる。もう名前も考えてくれていて「ぶん」は晴れて「寅」という名前になることになった。
あんなに「ぶん」という名前がしっくりきていたのに「寅」と聞いた瞬間、「似合う!」と思ったのが、我ながら不思議だ。
〈仮の名を呼びなれた頃もらい手が決まって猫の名だけが残る〉

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