Aマッソ加納、同居する相方・村上に抱いた不満と不安「こんなやつと天下取れんのか?」

2021.10.21
Aマッソ加納、同居する相方・村上に抱いた不満と不安「こんなやつと天下取れんのか?」

文=加納愛子(Aマッソ) 撮影=いわなびとん


2020年、初めて決勝進出を果たした『女芸人No.1決定戦 THE W』で、映像を使ったネタを披露し、インパクトを残したAマッソ。現在では、YouTube、テレビ、雑誌連載など活躍の幅をさらに広げている。さらに、ふたりそろって結婚していたことが判明し話題を呼んでいるが、上京した当時はコンビで同居していた。

加納愛子がネタを書き、村上愛がバイトで生活費を稼ぐ。そんな生活をしていた2016年に、加納が『クイック・ジャパン』に寄稿したコラムを掲載する。

※この記事は『クイック・ジャパン』vol.129に掲載のコラムを転載したものです。

悔しいけど、少しだけうらやましい。

Aマッソ
加納(Aマッソインタビューより)

朝10時に起きる。こたつを挟んだ向こう側で相方の村上がアホ面で眠っている。何をそんなに疲れることがあるのか。上京のタイミングで同居をはじめてかれこれ6年。

いつも私より先に寝るが、起こしてくれたことは一度もない。それだけ寝るなら、舞台やラジオでおもしろかった夢の話でもしてくれたらいいけど、ずっとストックはゼロ。今すぐ家を出ないとこいつバイト遅刻やろうなぁ、と思いつつ、なんとなく癪なので起こさない。死ぬほど怒られてエピソードのひとつでも作ってこいバーカ。

家を出て近所の喫茶店まで歩く。すごく天気が良い。すごく天気が良い日はEaglesを聴く。理由は、オカンがそうしたから。恥ずかしいけど音楽は詳しくない上、あまり聴く習慣がない。雨の日は漫画や小説を読む。

今月は井上ひさしさんの『モッキンポット師の後始末』名前おもろすぎ。それだけで惹かれる。トップハム・ハット卿とか。どうやって思いつくんやろう。

でもいざ読んでみるとモッキンポット師は関西弁。びっくり。最高。くもりの日も相変わらず読書。晴れの日はジョギングしたあと読書。でも、すごく晴れの日はEagles。アホのひとつ覚え。知ってる曲は一向に増えない。ミゾレの日にすることは、いま考え中。

しばらくネタを書いてから、近くの定食屋で安いうどんを3分で食べる。安いうどんはすぐに器からなくなるから不思議やなぁ。15時に単独ライブの打ち合わせのため、後輩作家二人と会う。

企画の話は進むものの、タイトル決めがいつも難航。「ぶっちゃけ何でもええけどなぁ」「“納得の寒中水泳“ってどうですかね!」「ええわけないやろ」「なんでもいいって言ったじゃないですか!」「うるさい!喫茶店やぞ!」結局決まらず来週に持ち越し。

「あ、旅行のお土産ですどうぞ!」「ありがとう。中身何?」「アメリカンクラッカーです!」「何で?」 「何で、とは?」そのままお土産を突き返すやりとりをしながら店を出る。

19時からのライブのネタ合わせのため、バイト終わりの村上と合流。この日3度目の喫茶店で、もうおなかチャポチャポ。「今日さぁ、バイト遅刻ギリギリやったわぁ~」。

Aマッソ・村上
村上(Aマッソインタビューより)

いや間に合ったんかい、と心の中で舌打ちする。で、ほらまた今日も前の席で一緒にネタを考えてるフリしてる。難しい顔するのだけは得意やな。そいえば、ふとした時に襲われる、コイツ誰やっけ、の波。誰やお前。眠ぅ~やないでほんま。いっぱい寝たやろ。こんなやつと天下取れんのか?

私ははやく売れて高いお寿司が食べたいのに。あれ、そういえばこいつ。ウニ食べれんのかな?「ウニ好き?」「あー好んでは食べへんなぁ」「へぇ。きゅうり刺さってても?」「誰に?」「……私に」「じゃあ好き」。なんやこの会話。そいや、小学校の時もまともに会話でけへんやつが横におったな。……こいつやんけ。まだおったんか。

急いで劇場のある新宿へ。週の半分以上は歌舞伎町を歩くのに、未だに気持ちはおのぼりさんでキョロキョロしてしまう。眠らない街を歩く村上は、安定してあくびばっかりしてる。

ブレないところが、悔しいけどこういう時は少しだけうらやましい。

ライブを終えて22時、同期芸人と銭湯へ。たいていこの時間は空いているので、ゆったりとして過ごしやすい。湯船に浸かりながら会話はおおかた愚痴と噂話。そして10分に1回「売れてぇ~!」とぼやく。

終電間際に解散して、いつものファミレスへ。ここは店員のお姉さんが優しくて笑顔を絶やさないのでお気に入り。夜勤お疲れさまです。幸せになってください。

うつらうつらしながら、ネタを書いたり動画を観たり。家を出ている間見れない番組をチェック。相変わらずTVはおもしろい。あいつ家でTV観てるかなぁ。観てないやろなぁ。帰って寝顔見るの嫌やなぁ。

3時頃帰宅、就寝。


『クイック・ジャパン』vol.164の表紙・巻頭特集はAマッソ

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  • 『イルカも泳ぐわい。』

    『イルカも泳ぐわい。』加納愛子

    定価:1,540円(税込み)
    著:加納愛子

    関連リンク

  • Aマッソ第8回単独ライブ『ずいぶんじゃねぇか、なぁスニッツ!』

    配信情報
    日時:11月3日(水・祝)18:00~
    ※アーカイブは11月10日(水)23:59まで視聴可能
    料金:2,500円

    関連リンク

  • 『AマッソのMBSヤングタウン』

    MBSラジオ(AM1179 FM90.6)
    放送日時:毎週木曜22:00~


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