喫煙所で中川家・礼二さんから貰った麻布ディス
煙草は味が好きだったり、リフレッシュやリラックス出来るから好きなのもあるけど、何より喫煙所コミュニティが大好き。
若手芸人が沢山集まるネタ番組の収録なんかでは、喫煙所に行けば、誰かしらの喫煙者芸人が居て、そこで煙草を吸いながら喋るのが息抜きになったりする。
ただそういう時、いくらなんでも“岡野陽一”という男は喫煙所に居過ぎる。
基本的に先輩には、楽屋挨拶に行くのが常識だけど、陽一さんと一緒の収録で陽一さんの楽屋に挨拶に行った試しが無い。
あ、勘違いしないで欲しい。
別に、ヤニカスギャンブルクズ口ひげ野郎だからと言って、陽一さんをなめているから挨拶に行かないとかでは、全く無い。
陽一さんが、喫煙所にしか居ないからだ。
“喫煙所によく居るな~”レベルじゃなくて、彼は喫煙所にしか居ないのだ。
私はテレビ局に入ったらすぐ一発目の喫煙所に行く。
この時点でもう既に陽一さんは居る。
そこで軽く挨拶を済ませる。
2度目の喫煙所、やっぱり陽一さんは居る。
3度目、4度目、5度目、6度目。
もちろん絶対、陽一さんは居る。
7度目の喫煙所。
喫煙所でお馴染みの陽一さんは、喫煙所に座りながら言う。
「お帰り!」
もう住人と化してた。
ここ、テレビ局の喫煙所を、家とした様だ。
帰宅した私へ挨拶をしてくれる陽一さん。
7度目の訪問辺りからは、同居人とみなしてくれるみたいだ。
喫煙所には、そんな珍しい住人が居る事も学べたし、普段あまり喋れない人とも、喫煙所で会うと喋りやすくなったりする。それが嬉しい。
少しずつテレビにも出始めた頃の、ラジオ局での事。
たまたま別番組で来ていた、中川家・礼二さんと喫煙所でお会いした。
「大塚、何やったっけ?」
この少し前に、とある番組で私達のネタを見てくれていた礼二さんが、山手線の大塚駅の事を聞いて来た。
「大塚の救急車全然急がねえ、ですね」
私が答える。
「ハハハ! 道な! 大塚周辺のあの通り、あそこはー、、」
なんか、救急車が急がない理由を、すっごい説明してくれた。
そこから、何問か礼二さんが街の事を聞いてきては私が答え、礼二さんはその理由を説明してくれるという、奇妙な時間を過ごした。
「駒込は?」
「駒込は電柱以外見るもん無え、ですね」
その流れで、◯◯は見るもん無えシリーズにハマってるという話をした。
更に、麻布とか高級なイメージがある所は行った事もあんまり無いし難しいと言うと
「麻布これどう?」
まさかの礼二さんが切り出す。
「麻布は、志村けん以外見るもん無えな」
それか〜と付け足し、礼二さんが続ける。
「麻布は、志村けん以外おもろいもん無えな」
何十分も無い喫煙所の出来事だけど、礼二さんから貰った麻布ディスは、楽屋でご挨拶しただけでは絶対に聞けなかった。
礼二さんに言った
「志村さんの前で、その麻布ディス絶対やります!」
という私の願望は叶える事が出来なかったけど。
そんな喫煙所での思い出が沢山あるから、これからも沢山の思い出を喫煙所で作りたいから、私は煙草をやめられない。
あと、最近は麻布にも行く事もあるけど、志村さん以外にも見るもんあるわ。
志村さん以上おもろいもんは、もちろん無いけどね。
連載「納言・薄幸の酔いどれコラム」は、毎月1回の更新予定です。
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