松本人志が『キングオブコント』の審査員席に座るということの意味

松本人志

文=ラリー遠田 編集=鈴木 梢


2008年に始まった『キングオブコント』。14回目の開催となる今年は、「即席ユニットの参戦可能」「松本人志以外の審査員変更」というふたつの注目ポイントがある。ところが、即席ユニットは全組敗退。三冠を狙う霜降り明星も敗退した。決勝の前に大きな波乱の展開を見せている。

果たして『キングオブコント2021』はどうなるのか。決勝戦を目前に控えた今、お笑い評論家のラリー遠田が改めて『キングオブコント』について考える。

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『キングオブコント2021』には、ふたつの見どころがある

コントの大会『キングオブコント』とはそもそもなんなのかを考える際には、お笑い賞レースを兄弟構成に当てはめるとわかりやすい。

『M-1グランプリ』を「みんなの人気者の頼れる長男」、『R-1グランプリ』を「気ままで自由奔放な次男」だとしたら、『キングオブコント』は「優柔不断で甘えん坊の三男」といったところだろう。

3つの大会のうち、最も遅くに始まった『キングオブコント』は、とにかく頼りなかった。審査システムや決勝のルールはコロコロ変わるし、決勝進出者シークレット制度などの新しい試みが物議を醸したこともある。

長男の『M-1グランプリ』があまりにも偉大過ぎるために、何かにつけて比較され、叩かれてしまうのは少々気の毒だ。システムがコロコロ変わるのは、常に大会をよりいいものにしようとする貪欲さの裏返しでもあるからだ。

そんな「悩める末っ子」の『キングオブコント』が、今年もやってくれた。今大会の最大の売りは「即席ユニットも参戦可能」という新ルールである。これまでの大会では、正式なコンビやトリオでの出場しか認められていなかった。このルール改正が行われたことで、多くの即席ユニットが予選に加わることになった。

間寛平と村上ショージの「ヤギとひつじ」、チョコレートプラネットとシソンヌの「チョコンヌ」など、有名芸人がユニットを組んで参加するケースも相次いでいた。蓋を開けてみると、即席ユニットのファイナリストはいなかった。でも、予選からの話題作りにはじゅうぶんな効果を発揮した。

もうひとつの見どころは、決勝の審査員が変更されることだ。松本人志、さまぁ〜ず、バナナマンという審査員5人による審査方式を改めて、松本以外の4人を入れ替えることが発表された。そのメンバーは明かされていないため、あの人がいい、この人がいい、とお笑いファンの間ではさまざまな推測や期待の声が飛び交っている。

個人的には、この4人が誰であるかということにはそこまで興味はない。なぜなら、大方の予想の範囲内に落ち着くだろうと思うからだ。審査員を当日まで秘密にしておく以上、視聴者にある程度の期待を持たせることになる。その期待に応えられるのは誰なのかと考えると、必然的にその顔ぶれは絞られてくる。

審査員の4人が変わるということよりも、松本だけが変わらないという点に注目したい。松本が引きつづき審査員席に座るということが、この大会にとっては決定的に重要なのだ。

「松本人志が審査員席に座る」ということの意味


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ラリー遠田

(らりー・とおだ)1979年、愛知県名古屋市生まれ。東京大学文学部卒業。テレビ番組制作会社勤務を経て、作家・ライター、お笑い評論家に。テレビ・お笑いに関する取材、執筆、イベント主催など多岐にわたる活動を行っている。『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わ..