非効率だからこそ受け止められたメッセージ
趣味の時間にすら効率が求められるようになった昨今。正解への最短ルートを求めるのは必然なのかもしれない。しかしそれを求めるがゆえに起こっている分断もあると思う。
たとえばホームレスの人や生活保護利用者の命を軽視する言語道断な差別発言をしたメンタリストのDaiGoの件も、自分にとっての快適さばかりを追い求めた結果ではないだろうか。自分の置かれた環境や想像力の欠如はさておき、個人の意見だからとヘイトをばらまく行為には、一切の擁護、賛同の余地はない。
さらに世の中には、彼の言う「がんばっている」「役に立つ」という“ごもっとも”っぽい皮を被った他人の主観的評価基準で判断されることが、まだまだ色濃く存在していると思う。と、同時にその自分勝手なものさしは、私の中にも間違いなく存在している。実際に『Sonny Boy』を視聴中の私は、はやとがつけていたノートの能力ランクやエースの超能力を「サバイバル生活で役に立つか」という視点で観ている自分に気がつき、はっとした。
もし『Sonny Boy』がしっかりとした説明のあるアニメだったら、こんなふうに自分の内面をじっくりと振り返り、間違いに気づけなかったかもしれない。そう思うと考察を必要とする、正解への道のりが遠回りな作品に触れることも人生において必要だと改めて感じた。
そして何よりこの作品のメッセージを受け止められたのはきっと、この遠回りの時間があったからだ。そのメッセージは、銀杏BOYZが歌うSonny Boyの主題歌「少年少女」の「ここにいてもいいから」という歌詞に集約されると思っている。
私はとっくに少年少女と言える年齢ではない。ただこの歌詞を聴いて、何かと不安で自分にも自信がなかった思春期のころだけでなく、今の自分も救われた気がしている。だから夢中になっているのだろう。
といいつつこれから先の展開が読めないので、今後ガラッと受け止め方が変わるかもしれない。そこも含めて『Sonny Boy』はおもしろいのだと思う。
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