芸人がお笑いを辞める時「辞めないで」とは言わないで。|納言・薄幸の酔いどれコラム#5


芸人にとって「お笑いを辞める」ということ

“コンビ解散”

応援しているコンビが解散するのは、ファンの人たちはもちろん悲しいと思うし、芸人の私も知っているコンビが解散するのは、物凄く悲しい。
その人たちが、お笑いを辞めるとなると、もっと悲しい。

でも、私が20歳位の時に、当時30代後半の先輩に言われた事がある。
「◯◯さん、お笑い辞めるらしいよ。でも芸人を辞めるのも才能だと思う。楽しいから売れないままズルズル続けちゃうんだよな」
その先輩も何年か後にお笑いを辞めてしまったけど、引き止めるのは違う事を教えて貰ったから笑顔で見送った。

「辞めないで」というのは簡単だけど、お笑いを辞めるという決断をするのは相当難しい。
売れるのは一握りだという事は、芸人全員分かっている。
違う職業に就くなら、若いうちにお笑いを辞めた方が良いのも分かっている。
でも、好きな事だし、夢だし、ウケた時のあの快感がたまらないから、中々お笑いって辞められない。

だから、22歳でスパッとお笑いを辞めた川口は、めちゃくちゃカッコいいと思う。

相方から友達に戻った川口とは、今ではサシで飲みに行く程仲が良い。
お笑いを辞めた川口は今、めちゃくちゃバク転の練習をしている。
アラサーで、めちゃくちゃバク転の練習をしている。なんてカッコいいんだ。

今はコロナ禍で難しいかもしれないけど、ファンの人達には、応援している芸人のライブに、少しでも多く足を運んで欲しい。
きっと、急に解散やお笑いを辞めるとなった時“もっとライブに行っていたら良かった”と思うはず。

もちろん売れるのが一番だけど、もし応援している芸人がお笑いを辞めるとなった時は「辞めないで」じゃなくて、新しい道を応援してあげて欲しい。
一番辛いのは、辞める道を選んだ芸人だと思うから。

私は、お笑いを頑張る事を辞めた相方と、これからもお笑いを頑張ります。

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