“顔”じゃなくて“雰囲気”を盛る。一番伝えたいのは「ウチらのノリ」
空間の雰囲気やニュアンスが重視されているのは、自撮り写真の撮り方のトレンドにも現れています。
自撮りや友達との写真をインスタグラムに投稿することは当たり前になっていますが、これまでの多くはSNOWなどの顔が盛れるアプリやプリなどで撮影された「顔が盛れた写真」が主流となっていました。現在は、写真に写っている人物の完成度よりも、写真全体の雰囲気・ニュアンス・世界観が重視されています。
Z世代を対象としたインタビューでも「友達との仲のよい雰囲気が伝わる写真にするために、あえてポーズは決めずに不意な瞬間を撮影する」「フィルターやスタンプで顔を隠したほうがテンションとかノリが伝わる」という声も聞かれており、自分たちの顔が写真に写ることをマストと考えていない様子が窺えます。 実際に、iPhoneの機能で自分の顔に似せた絵文字が作れる「ミー絵文字」で顔を隠したり、顔の原形を留めない写真フィルターを使ったりと、顔が見えていない写真が増えています。そういった写真から、Z世代はその場のノリを共有し、共感しているのです。
インスタグラムで「#目隠し加工」で検索すると、さまざまな手段で顔を隠した加工方法が紹介されており、複数の画像・動画加工アプリを駆使して作り上げている様子もうかがえます。
友達と会うなど思うような行動ができず、オフラインでの外出が制限される状況がつづいている今、SNSはコミュニケーションを生み出す糸口としての役割がさらに大きくなっています。
特別なことをせずとも、おうちの中やスマホの中で「再現できる“体験”」が、Z世代の今年のトレンドの中心となっており、モノではなくコトに重きを置く彼らが大事にしていることが、より無形化し感覚的になっているように感じます。
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