星野源の嘘のなさを『あちこちオードリー』で改めて感じた

2021.7.14

星野源と『あちこちオードリー』の親和性

「ずっと主軸をやってきた人間というよりかは、主軸じゃないんだなっていうのを自覚している人間で。自分が思っているものを主軸にしていきたいって感覚をずっと持っているので、最初のころはそういうのに気づいてくれる先輩がたまにいて、褒めてくださったりするんですけど、だんだん自分のやってることが主軸になってくるにつれ、なんか普通……なんか『星野源って当たり前にポップな人だよね』って思われてて、違うんだよなぁって思ってて、それがだんだん褒められなくなってくる、当たり前になってるって感じはありますね」

サラッと言っていたが、言葉どおり星野源が「自分の音楽を主軸にした」ことのすごさに改めて身震いした。おそらくほとんどの人は星野源の音楽を聴いて「マニアックだな~」とは思わない。それほど自然に星野源はポップの中にマニアックを両立させている。

大衆が「わかりやすい! ポップだ!」と思って摂取している星野源の音楽の中には数滴、アンダーグラウンドでマニアックなドロドロの汁が混ざっている。毎晩食べている夕食に少量の薬物が混ざっていて、少しずつ中毒になっていくような恐怖と気持ちよさ。そうなってしまうともう、星野源からは逃げられない。心境の変化はあれど、星野源の作る音楽の「根」の部分はいい意味で変わっていない。そのなかで時代が星野源に追いついた、いや星野源が時代を動かしたと言えるのではないだろうか。

そんな星野源が『あちこちオードリー』という番組に出るのは、今となっては必然のようにも思える。2012年にリリースした楽曲「フィルム」の中に「笑顔のようで 色々あるなこの世は」という歌詞があるが、『あちこちオードリー』の番組に恐ろしいほど当てはまるフレーズなのではないだろうか。

普通ならゴミ箱に捨てるしかない、犬も食わない愚痴や苦労話を最高におもしろいコンテンツへと昇華していくこの番組と、「愛」と「糞」を同時に曲に込める星野源はまさに親和性の塊、今回が初めてなのが不思議でしょうがない。そしてそんなふたつがついに出会ってしまった。文字どおり奇跡の回だった。

星野源と「エロ」

そしてもうひとつ、本編とは別の奇跡が起こっていたのにお気づきだろうか。星野源には忘れてはならない最大の武器がある。そう「エロ」である。

『あちこちオードリー』のニューヨーク、小島瑠璃子ゲスト回で、兄弟番組『かちこちオードリー』が爆誕し、SNS上では星野源回との内容の差に「落差が激し過ぎる」「先週のかちこちオードリーはなんだったんだ」といった声が挙がっていたが、勘違いしないでいただきたい。番組の流れ上、ああいった真剣ガチトークになってはいたが、星野源は紛れもなく『かちこちオードリー』側の男であると。どれだけ売れようが、誰と一緒になろうが、TENGA愛を語り、FANZA愛を叫ぶ、星野源のエロと性に対する探究心は常軌を逸している。いや、むしろ星野源こそが「真のかちこちオードリー」と言っても過言ではない。

今回は売れるまでの葛藤や創作をする上での苦悩を語っていたが、もしまた番組ゲストで出演することがあるのなら、ぜひ『かちこちオードリー星野源SP』を放送してほしい。ニューヨークも交えて5人で「自分磨きトーク」をしてほしい。そう強く思った。

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