アルコ&ピースのネタを「おもしろい」と同時に「怖い」と感じる理由



「初見の感じ」を100回できる男、酒井健太

そしてもう一人、アルコ&ピースになくてはならない男がいる。悪童・酒井健太。キャラを全面に押し出す平子に対し、そのフラットでナチュラルな酒井の演技は決して平子の作品を邪魔せず、ただただ100%その魅力を引き出す。前述した「忍者」のネタも酒井が説教中ひたすら「平子を見つめながら黙る」ことができたからこそ、一見メチャクチャな設定にリアリティが生まれる。これは誰もができそうでなかなかできることではない。

通常、ネタや芝居をする上では絶対に「台本」があり、それを反復練習で覚え、発表する。それゆえに回数を重ねるごとにどうしても「演じている感」が出てしまうのだが、酒井の演技にはそれがまったく感じられない。そう、表現者の誰もが苦戦する「初見の感じ」を100回の舞台で100回できるのが酒井という男の凄さだ。

その才能は徐々にではあるが色々な場面で認められつつあり、映画『銀魂』『スマホを落としただけなのに』などで俳優としても活躍している。この演技力はこれからもっと世に知れ渡っていくことになるだろう。

平子が頭のキャンバスに絵を描く「アーティスト」なのだとすれば、酒井はそれを実際に具現化する「クリエイター」だ。平子祐希と酒井健太、どちらが欠けてもアルコ&ピースの世界観は成立しない。

二人のネタを見ていると「常識」という狭いワクに囚われがんじがらめになっていた自分を恥ずかしいとさえ思う。青い空は本当に青なのか、丸いボールは本当に丸なのか、誰もが口をそろえて言う「アタリマエ」にクエスチョンマークをつけるような疑問と驚きをいつもくれる、それがアルコ&ピース。


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