テレビ埼玉で放送中のパチスロ・パチンコ番組『王庭伝説』の公式YouTubeチャンネルで、とんでもない企画がスタートしてしまった。お笑いコンビ空気階段・鈴木もぐらとピン芸人・岡野陽一によるパチンコ・パチスロ実戦バラエティ番組『もぐら×岡野のくずパチ』だ。
「ふたりの生涯収支を合わせると地方自治体の予算くらいはある」(言わずもがなマイナス)と豪語するほどのギャンブル狂い(ギャン狂)の彼ら、自他共に認める銀河系最強くず芸人そして借金王でもある岡野ともぐら。本人曰く「これは仕事じゃない」らしい。それもそうだ、仲のいい友達ふたりで一緒にパチンコを打ちギャラをもらえる、こんなことが仕事であっていいはずがない。パチンカーの誰もが夢に見た光景がそこにはあった。
このチャンネルは、そんなふたりにとって「天命」とも言える仕事なのだが、特にもぐらは結婚しプライベートではほとんど打てていない状況のなか、
岡野「(もぐらが)合法的にパチンコを打てる唯一の番組」、もぐら「この番組が僕のオアシス」(TBSラジオ『空気階段の踊り場』3月27日放送回)と言わしめ、さらに「毎収録ふたりで4万円まで番組の予算で打てる」+「シーズン収支がよければ賞金も出る」という神のような待遇で迎えてくれている。
パチスロ・パチンコを通して「人生」を教えてくれる
そんな『くずパチ』の記念すべき第1回に選ばれた機種は、パチスロ「スーパーリノMAX」。数ある現行機の中でも圧倒的な「荒れる台(出るときは壊れたように出るが、出ないときは壊れたように出ない)」として有名なスーリノMAX。岡野が「我々が一番好きな台」と語っていたが、このひと言でふたりがどれだけギャン狂であるかというのがヒシヒシと伝わってくる。
しかし、派手な演出は一切ないが「チャンス役である『トマト』図柄をそろえれば激熱」という至極シンプルなゲーム性のスーリノは、パチスロ・パチンコ初心者でもおもしろさがわかりやすい。この機種を選ぶあたり、さすがプロの芸人であり、プロのクズ、本当に「魅せ方」がうまいと思った。1万円札の記番号を高らかに読み上げサンドに投入。伝説の番組が今、スタートした。
おっさんふたりがトマトがそろうだのそろわないだので大はしゃぎ、観ているだけで心がポカポカと温かくなりほっこりとする。こんなにも楽しそうにギャンブルをする人たちを私はほかに知らない。愛すべき、守るべきクズ。それが鈴木もぐらと岡野陽一なのだ。無数にあるYouTube動画のなかで最も愛おしい映像がここにはあった。猫・子供・パチスロかパチンコを打ってるおっさん。これがこの世界の3大ハートフル生物なのかもしれない。
それだけじゃない。パチスロ・パチンコの実践動画は当たりどきは誰が打っててもそれなりにおもしろいのだが、外れているとき、つまり通常時の退屈な時間でもいかに視聴者を楽しませるかというのがとても重要になってくる。このふたりは、軽快かつ真に迫ったトークで1秒も飽きさせない。ただおもしろいだけでなく、ふたりはパチスロ・パチンコを通して「人生」を教えてくれる。
「ボーナス終了後1G目はどんな機種でも1G連するつもりで打て。そうしないと勝てない」(もぐら)
「人生にもトマトみたいなものがあればやっていける。自分で見つけるものですからね、各々のトマトを」(岡野)
「リノは人生。トマトなんてめったに来ないけど、来たときにモノにできるか。横ではモノにしたやつがいて、ここでは2回モノにしなかったやつがいて。でもここで諦めたらダメなんですよ。ここで突っ込みつづける、これが大事なのよ」(岡野)
一見、単なるヤメどきを見失った中毒者のセリフにしか聞こえないかもしれないが、それは違う。どんなときでも「できる」という気持ちを忘れるな。「夢」を持て。どんなにズタボロになろうが諦めたら終わり。ふたりはそう言っている。それはスポーツでも、勉強でも、仕事でも、あらゆることにおいて言える真理だ。パチスロ、パチンコには人生の真理がある。
そして、何万円も突っ込んで一度も当たらない人間の横で、たった1000円で何千枚の当たりを出してる人間がいる、それでもただただ無心でひた走る。そして結果として狂うほど勝とうが、ゲボほど負けようが、そこには汚くも美しい本当の「人間」が立っている。それがパチスロ・パチンコのおもしろさであり、恐ろしさだ。
この番組はパチスロ・パチンコのおもしろさと怖さ、人間の醜さと美しさ、そのすべてを感じ取れる「教材」となるべき素晴らしいチャンネルだと思った。
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