この世に現存する映像の中で最も熱いVTRのひとつ、それが「M-1グランプリのオープニング」。冒頭に流れる芸人たちの舞台前の葛藤や覚悟の様子を収めたいわゆる「煽りVTR」は、毎年観たあとに全身の血が沸騰するほど煮えたぎって興奮のあまり意識が飛びそうになる。
特にラストの、
「ただ証明したい……!俺たちが……!一番……!おもしろい……!」
という文言とともに次々と芸人が抜かれる瞬間は、芸人という人種の「人生そのもの」が切り取られていると言っても過言ではない。
そこで今回は、16年に及ぶM-1グランプリの歴史において煽りVTRはどのように変化し現在の「俺たちが一番おもしろい」になったのか。また歴代「俺たちが一番おもしろい芸人」は誰なのか。M-1グランプリの歴史とともに振り返っていきたい。
初「俺たちが一番おもしろい」は2004年
初めて「俺たちが一番おもしろい」という文言が使われたのが『M-1グランプリ2004』。2003年までは「煽りVTR」すらほぼなく、去年の優勝者と今年の決勝進出者、出場芸人数と最低限の情報だけだった。
2004年も今のようにVTR最後のシメではなく、「彼らは皆、心の中で叫んでいる……!俺たちが一番おもしろい、と……!」というナレーションが中盤にサラッと言われていた。ちなみにそのとき映っているのは笑い飯・西田。
その後1年空き、再び「俺たちが一番おもしろい」が使われたのが『M-1グランプリ2006』。ここでおなじみの「ただ証明したい……!」という文言が追加された。だが、ここでもまだ「自分たちが一番おもしろいことを……!」となっており、現在のVTRに比べてタメも少なくアッサリとした印象に。
現在の「俺たちが一番おもしろい」になったのは2007年
『M-1グランプリ2007』からは「何よりも……!証明したい……!俺たちが……!一番……!おもしろい……!」と締める限りなく現在の形に近いVTRになっている。「おもしろい……!」枠で抜かれたのは、2004年につづき2度目となる笑い飯・西田幸治。
「何よりも……!」東京ダイナマイト
「証明したい……!」ハリセンボン
「俺たちが……!」オリエンタルラジオ(中田敦彦のみ)
「一番……!」髭男爵(山田ルイ53世のみ)
「おもしろい……!」笑い飯(西田のみ)
『M-1グランプリ2008』での「おもしろい……!」枠はスピードワゴン井戸田潤だったのだが、決勝進出していない芸人が選ばれたのはあとにも先にもこの年のみ。
「ただ証明したい……!」笑い飯(西田のみ)
「俺たちが……!」東京ダイナマイト
「一番……!」南海キャンディーズ
「おもしろい……!」スピードワゴン(井戸田のみ)
ラストイヤーと銘打たれた『M-1グランプリ2010』。最後の「おもしろい……!」枠を飾ったのは、実に3度目となる笑い飯・西田。笑い飯は見事この大会で優勝し、自身がラストイヤーということもあり、ふたつの意味で有終の美を飾った。
「ただ証明したい……!」ジャルジャル(福徳秀介のみ)
「俺たちが……!」ハイキングウォーキング
「一番……!」平成ノブシコブシ
「おもしろい……!」笑い飯(西田のみ)
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