大学お笑い『NOROSHI』優勝は「ゴールデン冠番組の獲得」と同じ? 元学生芸人のテレビ局員が、テレビ界とお笑いサークルを比較してみた


売れる過程(2)プライム番組常連=外部ライブの常連になる(認知)

テレビでは、一度深夜番組に出ただけで名前を覚えてもらうことは正直難しい。それが初見だったら、「なんかおもしろい人いたなぁ」程度になることがほとんどだ。次のステップは、「なんかよく観るなぁ」という存在になることだと思う。『ネタパレ』(フジテレビ)や『アメトーーク!』(テレビ朝日)といったプライム帯の番組に何度か出ることで、世間からなんとなく覚えてもらえる。それくらいの立ち位置を大学お笑いに当てはめると、外部が主宰するライブの常連になることだと思う。

所属するサークル内での評価は外に見えづらいが、こういった外部のライブは順位が公開されるため、他大学の学生芸人に「このコンビよく観るなぁ」と覚えられることにつながる。

『レジスタリーグ!』

外部が主宰するライブは『ガクコメ!』や『ネタラボ!』、『HIKIGANE』などさまざまあるのだが、中でもK-PROが月に一度行っている『レジスタリーグ!』の影響力は大きい。このライブは、オーディション組のBリーグと、そのオーディションを勝ち上がったAリーグの2部構成になっており、Aリーグ常連コンビは知名度がかなり高くなると言っていいだろう。過去には、今年の『NHK新人お笑い大賞』で優勝した令和ロマン(当時は魔人無骨)や現在テレビでも引っ張りだこのラランドもAリーグで活躍していた。

売れる過程(3)地方局レギュラー=他大学の学園祭に呼ばれる(招致)

名前が売れてくると、今までは「その枠」に当てはまる人として呼ばれていたところから、「その人たち」を求めて呼ばれる段階に入る。テレビだと、「バカ枠」「高学歴枠」「天然枠」など枠にはまる出演者としてではなく、「その人たち」が求められ、「交通費を払ってでも観たい」と地方でレギュラーを持つレベル。

それを大学お笑いに置き換えると、他大学の学園祭やサークルのライブにゲストとして呼ばれることになる。特に秋の学園祭シーズンは、大学お笑いで売れている人はいろんな大学に呼ばれる。明治大学の「木曜会Z」や帝京大学の「お笑いサークルア☆テンション」、「日本大学経商法落語研究会」は他大学からゲストを呼ぶことが多いイメージがあるのだが、普段は外部ゲストを呼ばない「ICUお笑い研究会」からゲストとして呼ばれたら、その年活躍した学生芸人として認められた証ともいえる。

売れる過程(4)ゴールデン番組レギュラー=『大学芸会』決勝(信頼)

大学お笑いの個人戦と団体戦

このレベルまで来ると、「この人で」というところから「この人がいれば安心」という信頼の段階に入る。ゴールデン番組でレギュラーになるということは、大衆に向けて安心して出せるタレントの証であり、この人ならどんな層が観ても大丈夫だと信頼されていると言える。大学お笑いに当てはめると『大学芸会』という大会の決勝に出ることが、大衆に向けて「おもしろい」と言える証になるのだ。

『大学芸会』というのは大学お笑いの個人戦で、毎年夏に行われるいわば大学お笑い夏の甲子園的な大会なのだが、その大会の決勝に出るということは「絶対にネタがおもしろい」のだ。絶対に。

『大学芸会』決勝進出者のネタは、大学お笑いを知らない一般の人にも「おもしろいですよ」と自信を持って言える。深夜番組でよくある「内輪ノリ」にコアなファンがつくようなかたちで、大学お笑いも内輪だからこそ盛り上がってここまで発展してきた。ライブに行くと実際内輪ボケを多々目にするのだが、『大学芸会』の決勝進出者に関しては「この人たちなら誰が見てもおもしろい」と安心しておすすめできる。

売れる過程(5)ゴールデン冠番組=『NOROSHI』優勝(憧れ)

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1996年生まれ。青山学院大学のお笑いサークル「ナショグル」に所属し、『M-1』などにもエントリー。卒業論文は『ゴッドタン』(テレビ東京)などを題材にした「お笑い番組から考えるテレビ番組のデザイン」で、佐久間宣行がツイッターで「嬉しかったし、何より面白かったです!」とコメントするなど話題となった。現..

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