大学お笑い『NOROSHI』優勝は「ゴールデン冠番組の獲得」と同じ? 元学生芸人のテレビ局員が、テレビ界とお笑いサークルを比較してみた

2020.12.6

文・図版=ふたつぎ 編集=鈴木 梢


大学のお笑いサークルに所属して学生芸人として活動する「大学お笑い」。近年はそんな大学お笑いの世界から芸能界でプロとして活動しているお笑い芸人も珍しくなくなった。たとえば、にゃんこスター・アンゴラ村長やハナコ岡部大、水溜りボンド(トミー、カンタ)、ラランド(サーヤ、ニシダ)などが挙げられる。

そんな大学お笑いの世界にも、テレビの世界で知名度を上げていくことによく似たピラミッドが存在する。大学お笑いとテレビの世界の類似点を、元学生芸人であり現在はテレビ局員兼社会人漫才師のふたつぎが解説する。

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大学お笑いをテレビに当てはめてみた

大学お笑いは、小さな小さなテレビの世界のようだ。タレントがいて、スタッフがいて、事務所があって、ブームがある。規模で比較すれば大きく違うものの、同じ要素が詰まっている。テレビにおけるタレントは学生芸人、所属する事務所の代わりにあるのがサークル、そして映像や音響、広報などを支えてくれるスタッフがいる。

また、大学お笑いには、テレビと同じように「売れる」という概念が存在する。本来、「売れる」ということには金銭的なモチベーションがあり、テレビタレントは売れることで自分にギャラが入って、芸能事務所はタレントを番組に出すことでテレビ局からお金をもらっている。しかし、大学お笑いは名前が売れても金銭的な利益は一切発生しない。むしろ、ライブ会場を借りたり、音響や照明設備にお金を払ったりで、金銭的にはマイナスになることがほとんどだ。

それなのになぜ、学生芸人は大学お笑いで売れようとがんばったり、大会やライブに参加したりするのだろうか。それはきっと、大きい舞台に立つ学生芸人を観て、感動して、憧れて、あの人みたいになりたいと思ったからである。もしかしたらそれは、現在活躍するタレントが幼いころゴールデンの番組でキラキラ輝いているテレビスターを観て、ああなりたいと思った感情と同じなのかもしれない。

そこで今回は、憧れをベースにした大学お笑いでの「売れる」過程をテレビに当てはめて考える。

テレビ界と大学お笑いの比較

売れる過程(1)深夜番組で紹介される=対決ライブに出る(発見)

無名のタレントが世間に見つかる最初のきっかけとして、深夜番組で紹介されることは大きい。『ゴッドタン』(テレビ東京)の人気企画「この若手知ってんのか?」や年末の『おもしろ荘』(日本テレビ)といった深夜のお笑い番組でおもしろい若手芸人を見つけた経験がある人も多いのではないだろうか。そんな最初の“見つかるきっかけ”にあたるのが、大学お笑いでは「対決ライブに出ること」。

「大学お笑い」の主な対決ライブ

お笑いサークルに入ると、まずは学内のライブに出るところから始まる。最初から大学お笑いを知っている人は少なく、ほとんどは大学内のいちサークルとして入り、サークル員の半数程度は、卒業までそのサークル内で活動することを基本としている。

その内輪から飛び出し、大学お笑いの世界で知られるきっかけが、「他大学との対決ライブに出る」ことだ。対決ライブに出ることで、他大学の学生芸人に知られる。大学お笑いでは、青山学院大学と慶應義塾大学の対決ライブ『慶青逆転』や早稲田大学、慶應義塾大学、明治大学の三つ巴対決ライブ『WAKEME』をはじめ、毎年行われるサークル対抗の対決ライブがあり、そのライブには、サークル内である程度おもしろいと認められていなければ出ることはできない。

特に、1年生で対決ライブに出て、他大の上級生に勝つような結果を残すと、コンビ名が知られ「○○って知ってる? おもしろいらしいよ」と上級生の間で話題になることも多い。狭い世界ではあるものの学生芸人の数は多く、1年生からコンビ名が他大学の上級生に知られることは少ない。そんななかで最初に名前が広まるきっかけが、対決ライブに出ることなのだ。

売れる過程(2)プライム番組常連=外部ライブの常連になる(認知)


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