遅く起きた日曜日に、六甲のおいしい「がんばり水」で焼酎を割る(スズキナオ)

2020.11.7

スズキナオ「遅く起きた日曜日に」第9回

文・写真=スズキナオ 編集=森山裕之


著書『深夜高速バスに100回ぐらい乗ってわかったこと』が現在5刷のロングセラーとなり、 テレビ、雑誌、SNSなどでも話題の「チェアリング」の開祖としても知られるスズキナオさん。「なんでもない日々を少しぐらいは楽しいものにする」アイデアを提案する、誰にもできる遅く起きた日曜日の楽しみ方。

早く起きた日曜日に行くのが登山だが、遅く起きた日曜日にできる「登山」もある。あるモダン焼き屋さんがお店が休みの度に整備している六甲山系のひとつの山には、「これまで味わったことのないおいしい水」が湧き出ているという。

モダン焼き屋の店主が休みの日に整備する七兵衛山

野外でアクティブに過ごすこともほとんどなく、アウトドアなんて柄にもない私だが、たまに山に登ることがある。私が住む大阪から神戸方面へ向かう電車に乗れば、それほど時間もかからず六甲山系の山々にアクセスできるのだ。本格的な「登山」よりももう少し気軽な、「ハイキング」という言葉のニュアンスに近い感覚で登れるコースもたくさんある。もちろん山登りを軽く見たら痛い目を見ることは間違いない。せいぜい私ができるのは、自分の歩き慣れたコースを無理せず登り、気が済んだところで引き返して来るぐらいだ。

そんな六甲山系の山のひとつ、神戸市東灘区にある七兵衛山には何度か登ったことがある。この山を下りてしばらく歩いたところにある「すじモダンの店 えっちゃん」というテイクアウト専門のモダン焼き屋さんを取材したことが過去にあり、その店の店主が七兵衛山(しちべいやま)の登山道を長年に渡って整備しているというので興味を持ったのだ。

ボリュームたっぷり、柔らかいすじ肉が絶品のモダン焼きが食べられる

店主が「あなたぐらいの年の人の足ならそんなに大変じゃないと思うよ」とおっしゃるので、調子に乗った勢いで登ってみたが、日頃の運動不足のせいですぐにバテてしまい、帰りは足がガクガクと棒のようになった。

七兵衛山山頂からの眺望。この景色が広がる見晴らし台も「えっちゃん」店主が整備した

しかし、筋肉痛の日々さえ過ぎ去れば不思議とまた登りたくなってくるものである。秋晴れのある日、私は再び七兵衛山を目指すことにした。

JR摂津本山駅から「八幡谷入口」という登山道を目指す。登山道の入口までは住宅も立ち並んでいるが、なんせ勾配がきつい。ここまで来るだけでも息が上がる。登山道から山へ入り、2体の石仏に頭を下げて登っていく。

石仏の胸元には誰かの手によって真新しいバンダナが巻かれていた

済んだ空気を胸に吸い込みながら進んでいくと、木の形をそのまま活かして組み上げたベンチ群が目の前に現れる。このベンチも、前述の「えっちゃん」店主が自分ひとりの力で作り上げたもの。

周囲の自然と違和感なく調和しているところがいい
ベンチに座って記念写真を

「これまで味わったことのないおいしい水」を汲みに山へ登る


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