はぁ?美術探偵『半沢直樹』爆誕?最新作『半沢直樹 アルルカンと道化師』ドラマ化を妄想してみた
どうした半沢? 書店に平積みされた新刊の帯にびっくりした。最新作『半沢直樹 アルルカンと道化師』は、ドラマ版第1シーズン(2013年)の前日譚、これまでで一番若い半沢が主人公だ。毎回視聴率20%を軽く超えてくる大人気ドラマの第2シーズンは、日曜日(27日)に最終回を迎える。『半沢直樹』大好きライター・さわだが、このタイミングで現れた「探偵半沢」を読み解き、ドラマ続編を夢見る。
絵画の謎に迫っていく半沢だから「探偵」
「探偵半沢、絵画の謎に挑む。」
9月17日に発売された『半沢直樹 アルルカンと道化師』のコピーだ。ドラマも大人気『半沢直樹』シリーズ最新刊だ、興味は引くものの、同時に不安にさせる文言でもある。タイトルもなんだか『名探偵コナン』っぽい。
とある雑居ビルの2階に構える半沢直樹探偵事務所、ソファに深く座った半沢は食パンを齧りつつ新聞を眺めていた……みたいな導入だったらどうしよう。心配になりながら読み進めたが、結論からいうと“大丈夫”だった。「探偵」という言葉は一度も出てこなかった。
今作は、2013年に放送されたドラマ『半沢直樹』(TBS)。この第1シーズンの原作『半沢直樹1 オレたちバブル入行組』、『半沢直樹2 オレたち花のバブル組』の前日譚である。半沢が東京中央銀行の大阪西支店に赴任したばかりのころのお話だ。では、銀行員にもかかわらず、なぜ「探偵半沢」になったのだろうか。
ちなみに、新シリーズは無料配信サービス『TVer』で配信開始。ちょっとのぞいてみると、たった2カ月前に放送されたはずの第1話が、本当に懐かしい。
ネット上の巨大ショッピングモールで大成功を収めた企業・ジャッカルの田沼時矢社長が、美術出版社・仙波工藝社の買収を目論む。田沼は、コンテンポラリー・アートのコレクターとして有名で、特に、亡くなった仁科譲のコレクションに力を入れている。近々田沼美術館のオープンを予定しており、それで老舗の仙波工藝社の看板を手に入れたい……そう見える、だが真相は……。半沢は田沼の本当の狙いに気づく。
田沼の買収に加担する本部の業務統括部長・宝田信介vs仙波工藝社を守る支店の融資課長・半沢直樹。構図としては、『半沢直樹3 ロスジェネの逆襲』(今期『スパイラル編』原作)の東京スパイラルvs電脳雑伎集団と似ている。コピーこそ「探偵半沢」だが、融資、担保、焦げ付くなどの単語を操るバキバキの銀行員だ。
考えれば、これまでも半沢は、裏金の動きを推理し、その証拠を押さえるなど、やってることは探偵そのものだった。『半沢直樹4 銀翼のイカロス』(今期『帝国航空編』の原作)では人の死にだって食い込んでいる。そして、美術界といえば、大ヒット作『ダ・ヴィンチ・コード』(ダン・ブラウン)など、ミステリではおなじみの世界だ。あくまで「金の動きを探るため」ではあるが、『アルルカンと道化師』では、亡くなった芸術家の生涯を辿り、資料をあたり、残された絵画の謎に迫っていく。コピーに「探偵半沢」とつけたくなるのもわかる。
やっていることはいつもの半沢、しかし、読み味は少し違う。初めは孤高の天才画家というイメージだった仁科譲が、半沢によって少しずつ人間味を帯びてくる。銀行の闇を暴く爽快さに、色っぽくて泥臭い美術の世界がアクセントを加える。現実的で無機質な金に、芸術家の感情が生々しくリンクする。この配分が絶妙で、間違っても「いつもの半沢直樹を期待したのに」などの文句は出ないだろう。
原作者の池井戸潤といえば、元銀行員で、ミステリ作家の登竜門である江戸川乱歩賞でデビュー。受賞作『果つる底なき』の舞台も銀行である。
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