お笑い芸人によるラジオが変わりつつある。その中心にいるのが、「お笑い第七世代」のブームも牽引している霜降り明星だ。
その霜降りを表紙にして、お笑い芸人によるラジオの話題のみに特化したムック本『芸人ラジオ』が2020年9月12日に発売された。
この本の編集人を務めた村上謙三久氏に、なぜ『芸人ラジオ』を作ったのか、その想いを綴ってもらった。
完全にあとづけだった「お笑い芸人ラジオに新時代到来!」
『芸人ラジオ』はお笑い芸人によるラジオの話題のみに特化したムック本である。ジャンル固定のラジオ本はほとんどなく、しかも今をときめく霜降り明星が表紙&巻頭とはいえ、取材した彼らの『オールナイトニッポン0(ZERO)』は深夜3時スタート。そう考えると、かなりニッチでマニアックな本と言えるかもしれない。
表紙のキャッチコピーに「お笑い芸人ラジオに新時代到来!」とあるように、この本では若い芸人たちのラジオでの活躍をフィーチャーしている。だが、実はこのコンセプトは完全なるあとづけだ。
「お笑い第七世代」の活躍がこの本を出すキッカケとなっているだけに、その第七世代の中心である霜降り明星を取材することは当初から絶対条件だと考えていたが、それ以外については「若い世代の番組をいくつか取材すればいいかなあ」程度しか頭にはなく、“とある過去番組の総力特集”と、“とある人気パーソナリティのロングインタビュー”の3本柱にしようと計画していた。
しかし、霜降り明星以外のふたつは残念ながら実現しなかった。そこで、急に針を振り切り、「よし、とりあえず今は新時代ということにして、それをコンセプトにしてしまおう」と半ば強引に方向性を決めたのだ。
読者からすると、「そんな適当なものなのか?」と驚くかもしれないが、あとづけやこじつけでコンセプトを生み出し、「最初から決まってましたよ」と素知らぬ顔で本作りを進行していくのが編集という仕事の醍醐味であり、おもしろさだ。ほかの編集者に確認したことはないから、私の勝手な思い込みかもしれないが、そこに言いようのない快感を覚えるのだ。
これは過去に別ジャンルの本を作ったときのことだが、直球の人選で特集を計画したらすべて断られたので、「直球じゃつまらないから、あえて変化球で攻めました」という体(てい)で仕上げた経験がある。
今回もオファーしたが実現しなかった取材はそれなりの数あって、裏側では冷や汗をかいたり、数十時間かけた事前準備の意味がなくなって呆然としたり、いろいろなことがあったのだが、それはそれでいつか実現しなければならない今後の宿題になるのでよしとしよう。
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