「最も誠実なインタビュアーとしてあらゆる人生の細部に光を投げかけてきた著者がとうとう語り始める、自らの人生。/在日韓国人三世として呼吸したこの国の、風と土の変遷。」これはシンガーソングライターの七尾旅人が、2020年6月に刊行された『異聞風土記 1975-2017』という本に寄せた帯文の一部である。 尹雄大(ユン・ウンデ)が「そうでないもの」とされた人たちの息遣いと、「私たち」のルールには当てはまらないものの中にある豊かさを綴った「極私的日本史」とは――。 記憶は土地の古層とつながり、読む人の記憶ともつなが
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