「無観客無配信」ライブを成功させた山本精一、4年ぶりのソロアルバム『CAFÉ BRAIN』が持つ意味

2020.8.7

文=imdkm 編集=森田真規


ボアダムス、ROVO、羅針盤、想い出波止場、PARA、MOSTなど、30年以上のキャリアで10は軽く超える数のバンドを手がけ、日本のオルタナティブな音楽シーンの最重要人物のひとりとして知られる山本精一。

大阪の老舗ライブハウス「難波ベアーズ」では店長も務め、3月には同所で「無観客無配信」という謎めいたライブを開催し話題を集めた彼が、7月16日に4年ぶりのソロアルバム『CAFÉ BRAIN/カフェ・ブレイン』をリリースした。

『リズムから考えるJ-POP史』の著者で気鋭の批評家であるimdkm氏が、このアルバムが持つ意味を紐解く――。

山本精一が提示した、堂々たる「そもそも論」

山本精一が4年ぶりのソロアルバム『CAFÉ BRAIN』を佐藤薫(EP-4)監修のレーベル「φonon(フォノン)」よりリリースした。本作は山本が録り溜めていた素材を編集・再構築したもので、エレクトロニクスとギターを主軸とした全編インストのアルバムだ。

山本はボアダムス、ROVO、羅針盤、想い出波止場をはじめとして、30年以上にわたるキャリアで数々のバンドに参加(もしくは自ら結成)してきた。ギタリストとして、コンポーザーとして、プロデューサーとして、そしてひとりのソロアーティストとしても活動歴は膨大であり、ノイズや即興といったアバンギャルドから、自身がボーカルを取る「歌もの」に至るまで、その音楽性の多彩さは類を見ない。また、ライブハウス「難波ベアーズ」の店長として、関西のアンダーグラウンドなシーンに貢献してきたその役割も大きい。2019年には京都・木屋町に山本プロデュースによるベニュー「ミングル」がオープンしたところだった。

山本精一(やまもと・せいいち)1958年生まれ、兵庫県出身(写真:2020年7月19日、京都アバンギルドでのソロライブより)

しかし、2020年初頭から広がり出したCOVID-19禍が、山本のこうした活動、取り分けライブパフォーマンスとライブベニューの運営に大きな影響を与え出した。ベアーズの存続を目指すドネーション・コンピやグッズの販売が多くのミュージシャンのサポートのもと行われたのは記憶に新しい。

また、「無観客配信」がにわかに注目され始めた矢先の3月5日、「コロナ調伏撲滅祈念、山本精一絶叫無観客ライブ」と題した「無観客無配信」イベントを開催(開催、と言っていいのかわからないが)。アイロニーのようでも、祈りのようでもあるこの催しは、どうにかこの苦境をサバイブしようというもっともな潮流に対して、堂々たる「そもそも論」――そもそも、ライブとはなんなのか。そもそも、表現とはなんなのか――を臆することなく問うた。それは音楽に対するこれまでの山本の姿勢をストレートに反映した、ユニークで重要な行為だったように思う。

活動期を迎えた2020年。『CAFÉ BRAIN』は端緒に過ぎない


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