即興ネタの中で再発見されたボケの価値
そうしたルールであぶり出されるのは、特技や趣味、会話のパス回しに代表されるトーク力といった“ひな壇”寄りの芸ではなく、お題に対する瞬発力やワードセンス、異次元の発想といった「ボケ」の能力であり、『座王』はこのボケの価値を再発見した番組といえる。事実として、FUJIWARA原西やサバンナ八木、関西の若手コンビ、パーティーパーティーきむきむといったギャガー(ギャグを得意とする芸人)に対し、これほどまでにスポットが当たる番組も珍しい。
また、演者側のみならず、司会進行と審査員の人選も実に的確。大喜利愛の深さでは他の追随を許さない千原ジュニアが、さまざまな角度から回答にツッコミつつ参加者を引き立てているほか、ほんこん、星田英利(元ほっしゃん。)、お〜い!久馬(ザ・プラン9)といったベテラン芸人が審査を務め、ルール上認められているドローの判断も含めて場の緊張と緩和をコントロールしている。白を基調としたシンプルなセットも功を奏しており、そのバトルへの没入感・臨場感はほかの番組では味わえないライブ感覚にあふれているのだ。
『座王』発のニュースターが登場間近
全国区での大喜利番組としては『笑点』(日本テレビ)、『IPPONグランプリ』(フジテレビ)があるが、『笑点』はレギュラー陣が固定、『IPPON~』の出演者も大半が実績を残している芸人である。比べて『座王』は、関西拠点の中堅芸人、もしくは「よしもと漫才劇場」を拠点とする若手が中心であり(かつてはレジェンド枠としてジミー大西やトミーズ健、ちゃらんぽらん冨好らが登場)、彼らの魅力の再発見やニュースター発掘の趣きがある。その意味では、年末恒例、深夜から早朝にかけて行われる長時間特番『オールザッツ漫才』(毎日放送)とも近しい、芸人それぞれの根本にあるセンスが剥き出しにされ、それを視聴者が堪能できる番組でもあるのだ。
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