e-Sportsを世に広めたい情熱と芸人へのリスペクトにあふれたプロゲーマー、板橋ザンギエフ


ゲームとお笑いの両立を目指すために欠かせない存在

ところでこの「ゲーム番組なんだからちゃんとゲームやれよ」という批判は今に始まったことではない。ハリウッドザコシショウが出れば「半裸の男がずっと奇声を上げていてゲーム好きの息子が怖がってます」と言われるし、ななまがり森下扮するムーシー藤田が出れば「薄毛の男がずっと奇怪な動きをしていてゲーム好きの娘が泣いてます」と言われる。

こちらとしては「より多くの人にゲームに興味を持ってもらいたい」という願いから、普段ゲームをやらない人でもお笑い番組として楽しめる構成にしているつもりなのだが、純粋なゲーム番組を期待する視聴者にしてみればこのお笑い要素がノイズとなってしまう。お笑い番組としてのくだらなさを保ちつつ、ゲーム番組としての立ち位置を守るにはどうすればいいか、そんな悩みにぶち当たったときに僕は決まってこう言う。

「とりあえず板ザンをゲストに呼びましょうか」

板ザンこと板橋ザンギエフ。世界最大級の格闘ゲームイベント『EVO』でも上位入賞を果たす一流のプロゲーマーにして、『勇者ああああ』になぜか初期からずっと出演している常連ゲストでもある。

勇者ああああ_板ザン
アルコ&ピースと板橋ザンギエフ(筆者撮影)

世界が認めるプロゲーマーが出演者に混じっていれば、全メディアの中で『お笑いナタリー』しか注目していないこの番組だって立派な「ゲーム番組」と言って差し支えないだろう。そう、板橋ザンギエフはお笑いという波に飲まれそうな『勇者ああああ』を「ゲーム番組」の位置に引き止めてくれる防波堤みたいな存在なのだ。

板橋ザンギエフと僕らが初めて仕事をしたのは2017年6月に開催された「板橋ザンギエフVS川崎ザンギエフ(※)スペシャルマッチ」という公開収録イベントである。

※川崎ザンギエフ
アルコ&ピース酒井健太が格闘ゲームを遊ぶときに使用するプレイヤーネーム。本家板橋ザンギエフとの実力差は月とすっぽん。言うまでもないがすっぽんサイドが酒井である。

川崎ザンギエフと板橋ザンギエフ(筆者撮影)

人生で初めて会うプロゲーマー。気難しい人だったらどうしようとドキドキしながら僕は板ザンに企画を説明した。

森保さなさんというセクシー女優さんがいましてですね
『濡れてテカってピッタリ密着神スク水』っていう
作品が有名な方なんですけども……
この方が板ザンさんの横であの手この手で誘惑してきますので
それに耐えながら『ストリートファイターV』で酒井さんと
対戦してもらうっていう企画なんですがこういうのってやったことあります?

「あるわけねえだろ」と言いたげな表情で苦笑いを浮かべる板ザン。『ゴッドタン』でおなじみの「気をそらせ隊」システムをe-Sportsに流用したバカ企画の登場に打ち合わせは一瞬、変な空気になった。さすがに世界的プロゲーマーにテレ東深夜臭漂うお色気企画は厳しかったかと別企画を提案しようとすると、板ザンは柔らかい口調で語り始めた。

「おもしろそうだからいいんじゃないですかね。どんな形であれ
e-Sportsが世の中に注目してもらえるのはありがたいんで。
ただバラエティのことはよくわかんないのでそのへんのことは
プロの平子さんと酒井さんにお任せします。よろしくお願いします」

まさかのふたつ返事でOKだった。e-Sportsを世に広めたいという情熱と芸人へのリスペクトにあふれたその語り口。ゲームとお笑いの両立を目指すこの番組にとって板ザン以上の人材はいないのでは、と僕は思った。これが板ザンと『勇者ああああ』の初めての出会いである。

『勇者ああああ』が目指すべき姿

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板川侑右

(いたがわ・ゆうすけ)2008年テレビ東京入社。制作局で『所さんの学校では教えてくれないそこんトコロ』などのADを経て『ピラメキーノ』でディレクターデビュー。その後『ゴッドタン』『トーキョーライブ22時』などのディレクター業務を経て特番『ぽい図ん』で初演出を担当。過去に『モヤモヤさまぁ〜ず2』のディ..

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