外出自粛の街を癒した「ポッポッポッ」、Juice=Juice『ポップミュージック』ヒットの必然
5月25日、緊急事態宣言が全面解除されることが発表された。約2カ月に及ぶ外出自粛の期間中、スーパーマーケットやコンビニ、ドラッグストアなどは何かと殺伐とした雰囲気になっていた。
店内の有線放送から不意に流れてくる鳩の鳴き声から始まるアイドルソングが、そんなピリついたムードを和ませ、聴く人を思わずほんわかさせていた。4月29日付の「週間 USEN HIT J-POPランキング」で1位を獲得した、ハロー!プロジェクトのアイドルグループJuice=Juiceの楽曲『ポップミュージック』だ。
新型コロナウイルスの感染拡大で疲弊する人々を癒すと評判の、この曲の魅力とは?
外出自粛の昨今、人々の心を癒やす『ポップミュージック』とは
2020年4月1日にリリースされたJuice=Juiceの両A面シングル『ポップミュージック/好きって言ってよ』の収録曲である『ポップミュージック』。同年2月26日に発売されたシンガーソングライター・KANの同名シングルのカバーバージョンだ。
曲の冒頭は、いきなり鳩の鳴き声から始まる。そこから、1979年に世界的ヒットとなったイギリスの音楽ユニット「M」によるシンセポップの名曲、『ポップ・ミューヂック』のイントロが引用される。つづけざまに、おなじみのヴィレッジ・ピープル『Y.M.C.A.』のフレーズが登場、さらにヴァン・マッコイ『ハッスル』、シック『おしゃれフリーク』といったディスコの定番曲まで飛び出してくる。Juice=Juiceの『ポップミュージック』は、過去の名曲に敬意を払いつつ、やりたい放題な姿勢を見せるディスコソングだ。
中年音楽ファンが思わずニヤリとしてしまうような引用の連続とともに、歌詞には「アナログレコード」「ラジカセ」といった懐かしのワードも登場。「ネット」や「スマホ」といった今の時代を象徴するワードと比較しながら、懐かしくも新しい世界を描き出す。
そして、Bメロで唐突に登場する「ちゅるちゅるぷにゅぷにゅ 君のタピオカミルクティ」というパンチライン。「ポッポッポッ」という一度聞いたら脳内を駆け巡りつづける印象的なサビ(正確な歌詞は「POP POP POP」)。間奏で再登場し、今度はループする「ちゅるちゅるぷにゅぷにゅ」というフレーズ。最後の大盛り上がりでは、メンバーの中でも特に歌唱力が高いと評される高木紗友希が「ちゅるちゅるぷにゅタピオカミルクティ」と気持ちよく歌い上げる!
と、全編にわたって、「なんだこれは!?」となってしまう要素がてんこ盛りとなっている。確かに、この曲がスーパーやコンビニの有線でかかっていれば、買い物客も、仕事中の店員さんも、思わず手を止め、耳を傾けてしまうことだろう。すでに最新の流行ではない「タピオカミルクティ」が何度も登場するあたりも、絶妙な違和感を与えている。
YouTubeで公開されているミュージックビデオのコメント欄を見ると、有線で聴いてこの曲を知ったという内容の投稿も多い。外出自粛の世の中で、確かに人々の心に残る1曲になっているのだ。
Juice=Juiceの新たな挑戦
そもそもJuice=Juiceはこの『ポップミュージック』のようなファニーな楽曲はこれまであまり歌ってこなかった。特に最近は、ひとつ前のシングル曲『「ひとりで生きられそう」って それってねえ、褒めているの?』のような、マイナー調の切ないメロディーで等身大の女性を心情を描いた楽曲が多い。『ポップミュージック』と両A面の『好きって言ってよ』も、その系譜の楽曲である。
さらに、Juice=Juiceといえば、ハロプロの中でも歌唱力やダンススキルが高いメンバーがそろっており、パフォーマンスでしっかりと魅せるグループだというイメージも強い。つまり、『ポップミュージック』は最近のJuice=Juiceにしては、かなり珍しい楽曲であり、この曲をシングルとしてリリースすることは、ひとつの挑戦だったはずだ。
しかし、Juice=Juiceらしくない楽曲だからこそ、『ポップミュージック』の魅力がより一層深まったという側面もある。
違和感たっぷりの「ちゅるちゅるぷにゅぷにゅ」から伝わる楽曲の魅力
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