ドラマ『ホタルノヒカリ』から考える、自宅の中に「がんばらなくていい場所」を作ることの必要性

2020.4.27

自宅の中にも「がんばらなくていい場所」が必要だ

蛍が暮らすのは、酒場で出会い仲よくなった人物から借りた一軒家。鍵を受け取り、部屋の中を見た蛍はこのように言う。

「私ね、インテリア事業部っていう部署に異動になったんです。なんかみんなバリバリ働いてる部署で。まあ私なんて資料集めたりお弁当配ったり雑用ばっかで、毎日いっぱいいっぱいで。だから欲しかったんです。自分の居場所。ここで、この場所で、思う存分のんびりまったりすれば、きっとがんばれます。また明日もがんばるぞーって私がんばれます。すっごく気に入りました。ありがとうございました」

この家にある縁側は蛍が一番気に入っている場所であり、ドラマの中でとても象徴的な場所でもある。仕事を何事もなく終えたときも、クライアントから理不尽なことを言われたときも、デートに失敗したときも、蛍の定位置はいつも縁側だった。

「ここで、1日の終わりに缶ビールを飲むと、すっごいうまいんです!」

時に笑いながら、時に泣きながら、時に怠けながらも、蛍はいつも縁側でビールを飲む。それは蛍にとって縁側は元気を取り戻す場所であり、ありのままでいられる場所であり、がんばらなくていい場所だからだ。この場所があるからこそ、蛍は外でがんばることができた。

「がんばらなくていい場所を作る」ことは、『ホタルノヒカリ』から得た家の中での過ごし方のヒントだ。きっと、「がんばらなくていい場所」は誰にとっても必要なのだと思う。

自分にとっての縁側はどこだろう

今は慣れないリモートワークのために、多くの人が自宅に小さいオフィスを作っている最中だろう。リモートワークが当たり前になると、今まで以上に仕事と生活のオンオフをしっかり切り替えることが重要になってくる。切り替えがうまくいかないと、効率は低下し仕事が生活を侵食していく。

仕事用のデスクを導入したり、ワークスペースを空間的に区切ったりするなど、仕事のための環境を充実させるのは大切なことだ。しかし、それなら自分にとっての「がんばらなくていい場所」をきちんと部屋に残す・作ることも同じくらい大事なのではないだろうか。その視点を忘れないようにしたい。

「がんばらなくていい」のは仕事に限らない。家事や人とのコミュニケーションなど、ちょっと気を使うようなシチュエーションも含めて、すべての「がんばる」から解放される場所。誰しも、自分にとっての“縁側”が必要なのだ。

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早川大輝

(はやかわ・だいき)92年生まれ。WEB系編集プロダクションを経て、フリーの編集者/ライターとして独立。生粋のテレビドラマっ子であり、メモ魔。インタビュー記事の企画と編集、たまに執筆をしています。

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