「ツッコまないぞ!」と思っていてもツッコんでしまう魔力だ。ドラマ大好きライター大山くまおが、『M 愛すべき人がいて』に白旗を上げた連載第4回。眼帯の田中みな実の謎にも迫る。
想像を軽く超える「怪作」
すごいものを見た。土曜ナイトドラマ『M 愛すべき人がいて』(テレビ朝日)のことである。
原作は小松成美による同名小説。浜崎あゆみとエイベックス代表取締役会長CEO「max matsuura」こと松浦勝人(当時は専務)との出会いと恋、歌姫誕生までの経緯が描かれたもの。著者の小松によると、浜崎、松浦の両氏は完全に合意の上で交際前から別れまでの過去をすべて話したという。
で、それをドラマ化したものが『M 愛すべき人がいて』なのだが……。ある意味、想像どおりと言いたいのだが、想像を軽く超える「怪作」だったのだ。ネットでも話題が沸騰し、第1話の視聴率は5.6%と好スタートを切った。

「神様」を連呼するマックス・マサ
主人公のアユ(もちろん浜崎あゆみがモデル)を演じるのは、これが演技初挑戦のシンガー、安斉かれん。「あの日も海を見ていたな……」と呟くファーストシーンから、「あ、浜崎あゆみだ!」と思える絶妙な鼻にかかった声色を披露していたが、彼女が出演したバラエティー番組を観ると、これは演技ではなく地声のよう。
もうひとりの主人公、レコード会社「a victory」のプロデューサー、マックス・マサ(もちろん松浦勝人がモデル)を演じるのは三浦翔平。「ちょっと美化し過ぎなんじゃ……」と視聴者が戸惑うほど、いつ何時でもカッコよくて、セリフもすべてキメキメ。「俺は神様なんかじゃない。でもな、神様からのメッセージは届く!」「俺がお前を選んだんじゃない! 神様がお前を選んだんだ!」などと、ところどころスピっているのがのが気がかりといえば気がかり。
余談だが、松浦氏が「マックス」を名乗るようになったのは、海外で名前の「マサト」が言いにくいため、呼びやすい「マックス」を使うようになったのがきっかけだとか(ニッポン放送『max matsuura 仕事が遊びで遊びが仕事』より)。だから、「マックス・マサ」じゃあまり意味がないと思う。
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