乃木坂46『映像研には手を出すな!』実写版が「大成功」した当然の理由
『映像研には手を出すな!』は実写版もすごい、乃木坂46は優秀だ。ドラマ好きライター大山くまおが深夜ドラマを考察する連載第3回。『映像研には手を出すな!』は、深夜枠ならではの大成功なのだ。
オーケー、君の心を代弁しよう「マジで言ってんのか!!!!!!!!」
「実写化大成功と言って差し支えない。頭おかしい」
これは『映像研には手を出すな!』の作者、大童澄瞳のツイート。まさにそのとおりのことをやってのけたのが、乃木坂46の齋藤飛鳥、山下美月、梅澤美波が主演したドラマ版『映像研には手を出すな!』(MBS)だ。
何がどう「大成功」なのかを語る前に、まずはこのドラマの大枠を記しておきたい。
原作は『月刊!スピリッツ』連載中のコミック。アニメーション制作を志す3人の女子高生が「映像研」を結成、「最強の世界」を目指して奮闘する創作のときめきに満ちた異色の青春ストーリーだ。
2020年1月期に湯浅政明監督によるアニメ版が放映。動きと設定にこだわったアニメ制作に情熱を燃やす「電撃3人娘」のストーリーと、映画『クレヨンしんちゃん』シリーズや『マインド・ゲーム』(04年)、『夜明け告げるルーのうた』(17年)などでハチャメチャな動きと独創的なイメージを表現しつづけてきた湯浅監督がベストマッチ。放映されるや、熱狂的なファンを生み出した。
一方、実写化については、昨年10月に乃木坂46主演による映画化が発表されたが、、前評判はけっして芳しいものではなく、ネットには「実写化には手を出すな!」というありきたりなフレーズが乱れ飛んだ。ドラマ版は今年2月に発表され、MBS(TBS系)の「ドラマイズム」枠で放送される(全6話)。なお、映画版は5月に公開予定だったが延期が決定した。
映画版、ドラマ版とも、監督・脚本は『あさひなぐ』(17年)、『前田建設ファンタジー営業部』(20年)などの英勉。なお、ダブルピースに「おしまい」の文字が印象的すぎた香取慎吾主演のドラマ『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(09年)もこの人が監督だったりする(クレジットは「演出」)。
実写化が発表されたときの大童氏のコメントが奮っていた。「オーケー、君の心を代弁しよう。『マジで言ってんのか!!!!!!!!』」「関わる人間全員がこの実写化で一波乱起きるのは承知だ!!!」。やる側の腹は決まっていたのだ。