RIIZEが呼ぶ“存在しない”青春の記憶。「最高の新人」が平成世代にブッ刺さる理由

2024.3.19

TOP画像=1ST SINGLE ALBUM『Get A Guitar』(Random Ver.)

文=紺野真利子 編集=菅原史稀


RIIZE(ライズ)の快進撃が止まらない。2023年9月にデビューしたばかりだが、わずか4カ月で新人賞4冠を達成、また2024年5月には初の日本公演が2日間にわたって行われることが決定しているなど、すでに国内外で大活躍を見せている。

新人グループが続々と誕生しているK-POP界だが、その中でも「2023年最高の新人」と称され、抜群の人気を誇るRIIZE。なぜ彼らは、我々をここまで夢中にさせるのだろうか? 今回はその独自の魅力と人気の理由について考察していきたい。

デビュー曲「Get A Guitar」の衝撃

RIIZEはショウタロウ、ソンチャン、ウンソク、ウォンビン、ソヒ、アントン、スンハン(無期限活動休止中)の7人組ボーイズグループ。SMエンターテインメントからNCT以来7年ぶりにデビューするボーイズグループとして、デビュー前から注目を集めていた。

最強のビジュアルを誇るSMエンタ所属なだけあり、“メンバー全員神ビジュアル”と称されているが、その圧倒的ビジュアルはもちろん、デビュー曲「Get A Guitar」で心をつかまれた方も多いのではないだろうか? まさに「エモい」という言葉がピッタリな、レトロで懐かしく親しみやすいメロディは逆に斬新で、令和のK-POP界に新しい風を巻き起こした。

サビ部分でギターを弾いているような振り付けは思わずTikTokなどでマネして踊りたくなるようなダンスだし、「君と合わせる踊り」「いっぱいに詰め込んだ夢」と、メンバーたちがデビューまでともに過ごした時間を綴った歌詞もエモい。MVではメンバーが若々しさたっぷりの輝く笑顔で楽しそうに踊ったり遊んだりしていて、「全員かわいい!」と思わず見入ってしまう。一度聴いたら頭から離れない、明るくて親しみやすいこの楽曲は、K-POPファンのみならず大衆ウケも抜群だ。

実際に韓国では、「RIIZEには詳しくないけど、『Get A Guitar』は知ってる!」という人も多いのだそう。筆者は個人的に「Get A Guitar」は、最高のデビュー曲なのではないかと思っている。ちなみに「Get A Guitar」は、わずか1週間で売上101万枚を突破し、ミリオンセラーを達成した。

一本の映画のような「Love 119」

そしてさらにRIIZEの人気を確固たるものにしたのが2024年の1月にリリースされたデジタルシングル「Love 119」だ。

日本で撮影されたというMVでは、学生に扮したメンバーの初恋模様がまるで一本の映画のように表現されていて、「Get A Guitar」とはまた違ったキラキラした青春感が、私たちの胸を苦しくさせる。

絶対に自分の学生時代、同じ学校や同級生にRIIZEはいなかったはずなのに、「あれ? 私の初恋相手ってもしかしてウォンビン……?」と、存在しない記憶が呼び起こされるのだ。

放課後、体育館でダンス練をしている6人を見かけたことがある気がするし、教室で勉強しているアントンや部活帰りに自転車をこいでいるウンソクとすれ違った気がしてくる。絶対そんな記憶は存在しないはずなのに……!

日本で撮影しているからよけいにそう思えるのかもしれない。特に筆者のように平成時代に高校生だった世代は、このMVはドンピシャでブッ刺さっているのではないだろうか。当時夢中になっていた月9ドラマの再放送を観ているような気持ちになる。

RIIZEの「青春」で表現されるリアリティと懐かしさ

「青春」をコンセプトにした楽曲はこれまでにも数多く存在しているし定番だが、RIIZEの表現する「青春」にはなぜかリアリティと懐かしさが感じられる。制服姿で踊るアイドルグループのMVやパフォーマンスは数えきれないほど見てきたはずなのに、なぜか彼らには「存在しない記憶」を呼び起こさせる不思議な力があるのだ。

それは生配信やVlogなどを通して、等身大の笑顔やメンバー同士の仲のよさ、年相応な会話など、“普通っぽさ”を垣間見ることができているからなのだろうか。いや、それだけじゃない気がする。彼らは普段の姿だけじゃなく、ステージ上でも、その不思議な力を発揮している。

狙ってやっているのかはわからないが、新人とは思えない確かな実力と“神ビジュアル”でありながら、リアリティや親近感も表現できるなんて……その表現力はどのようにして身につけたのだろうか。絶対に現実ではこんな完璧な男の子たちに出会えるわけがないのに、「でももし出会ってしまったら……?」そんなふうに思わせる彼らのコンセプトを体現する力が末恐ろしい。それこそが、RIIZEの唯一無二の魅力であり、人気の理由なのかもしれない。

「Love 119」の日本語バージョンもリリースされ、今後ますます日本でも人気になりそうなRIIZE。冒頭に触れたとおり、5月には東京・国立代々木競技場第一体育館でファンコンツアー『2024 RIIZE FAN-CON ‘RIIZING DAY’ in TOKYO』を開催予定だ。次はどんな楽曲でカムバしてくれるのだろうか。今から楽しみで仕方がない。

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紺野真利子

エンタメ系ライター。俳優、アイドル、声優などのインタビュー記事やK-POP関連のコラムなどを執筆中。

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