福井俊太郎(GAG)連載「指が輝いてる人はピザ食べた人」第7回【中野×ROAD×『キングオブコント』七不思議の一角】

文・撮影=福井俊太郎(GAG) 編集=福田 駿


昨年8月に始まった福井俊太郎(GAG)による新連載「指が輝いてる人はピザ食べた人」。総武線沿線の旨いグルメを、福井お得意の“決めつけ”を挟み込みながら紹介していく決めつけグルメ連載だ。今回降り立つのは、総武線の中心地、中野。お笑いライブがひしめく【お笑いの街】でもある中野で体験した、シソンヌじろうとの強烈な思い出をどうぞ。

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中野で登る大人の階段

どうもぉ総武線で新宿から高円寺に帰る時に、、「三鷹行き」と「中野行き」が交互にやってくるんですが、、三鷹行きだと乗り換えなしで住んでいる高円寺に着く、、中野行きだと一度、、終点の中野で降りて乗り換えるか三鷹行きを新宿で待つんですね、、だから私にとって毎日が、、2700さんの名作コント、、キリンスマッシュ、、の如く、、三鷹スマッシュor中野レシーブ状態で、、もちろん必ず三鷹スマッシュにBET、、ドキドキしながら、、電光時刻表を見上げると、、8割5分で、、、「中野レシーブゥゥ!!」が頭の中に流れます、、本来であれば5割のはずなのに、、あなたはギャンブル弱いんだからやるなよ、、との総武線からの忠告を心に留めて生きていきたいです、、

それでは、、恒例の、、OPV(オープニングVTR)の代わりとなるOGP(オープニンググルメピクチャー)をサンプラザ中野くんの「Runner」が流れているイメージでどうぞ!

♪雨を避けたロッカールームで 君は少し俯いて もう戻れはしないだろうと 言ったね♪

コーヒーお酒ジャズのお店rompercicciさん
クロックムッシュ

私のようなダサ中年野郎が生意気にもジャズが楽しめるお店をご紹介してすいません、、僕がもし怖い組織に「ただちににシュッとした劇団を立ち上げろ!さもないとお前の命は保証できない!」と命令されたら、、その場で「それなら、、ジャズ喫茶のクロックムッシュ、、という劇団を立ち上げますっ!だから命だけは助けてくださいっ!」と命乞いするくらいお洒落な響き、、もちろん激旨旨なんですよね、、毎回思うのは、、もうこれ何枚でも食べれるし何枚でも食べたいのに、、2枚目を頼んだ瞬間に「そんな幼稚な人間はうちの店出禁です」と言われるかもしれないくらい大人な雰囲気なのでグッと堪えてるのが現状です、、ただその反面、、我慢してるだけでなく大人の楽しい階段もロンパーチッチさんには上がらせてもらっています、、私が登らせてもらった大人の階段の一段は、、

ホットワインぅぅぅぅぅぅ(低くねっとりした声で)

この飲み物は完全に大人の階段の一段を担ってますよね、、無知なもので「ホットワイン」という単語を注文した日に初めて知り、、初めてそのワードを使いました、、私は口に出した事のないワードを発音する時とても緊張する性格なので(今までの経験では、、マックグリドル、、も初めて声に出した時は震えました)、、ホットワインを発音する前に色々とシミュレーションしてみると、、音程を関西弁の、、みっともない、、の言い方に乗せて放てばいけるのではないかと恐る恐る試してみたら成功しました、、標準語の、、みっともない、、では音程が合わないので気をつけてください、、ちなみに標準語の、、みっともない、、の音程は、、格闘家の、、朝倉海、、さんと同じになります、、

注:ロンパーチッチさんはジャズを楽しんでもらう事に力を入れてらっしゃるのでパソコンやおしゃべり、イヤホンヘッドホンは禁止となっております。気を引き締めてジャズを浴びに行ってください

♪ 走る走る俺たち 流れる汗もそのままに いつか辿り着いたら 君に打ち明けられるだろう♪

異端のチャンピオン・シソンヌじろう

中野は良い街ですよね、、個人的には芸能の街ってイメージがあります、、芸能にも色んな種類があって、、例えば三鷹であれば演劇のイメージがあったり高円寺であれば音楽のイメージがあったりしますが、、中野は【お笑い】のイメージが強いんですよね、、実際に中野ってお笑いライブをそこらかしこでやってるので、、言い過ぎかもですがスーパーマリオブラザーズやっててハンマーを投げてくる敵ハンマーブロスが出てくるくらいの体感で芸人が現れます、、我々も東京に出てきた当初は、、なかの芸能小劇場や中野Vスタジオ、、中野ブロードウェイ内の貸しスペース、、などで行われている、、ギャラは茶封筒取っ払い系のいわゆる地下ライブにガンガンお世話になっていまして、、今でもあれは夢かなと思うんですが、、一度楽屋(と言っても物置みたいな小部屋)が狭すぎて荷物も置けないし着替える場所もなかったので、、オロオロしていると、、そのライブを主催されている先輩芸人さんに「ごめん、もう着替える場所あそこしかないかも」と指を差された先が、、楽屋内に謎に置かれていたグランドピアノの上でした「いや無理ですよぉ」とツッコミを入れたものの、、実際にそこしか場所がなかったので、、鍵盤の蓋を閉めて、、その上に座り、、サラリーマン役の黒いスーツに着替え終わると、、その鍵盤の蓋の上に座る自分の姿は、、まるで孤高の天才ピアニストが情熱大陸に出た時のサムネイルみたいになっていたのを鮮明に覚えています、、そんなお笑いの街、、中野でライブに出演する前後に、、私を虜にしていたのが、、

梅屋さん

梅屋さんの白玉クリームあんみつぅぅなんですねぇぇ(低くねっとりした声で)

この手のスウィーツって上品な甘さと評されがちですけど梅屋さんのは甘味が強くて意外にもパンチ力あるから侮れないですよぉぉぉ(低くねっとりした声で)

後ぉ甘味処を60年以上続けていらっしゃるってぇ全く権威のない指輝グルメ文化遺産に登録させていただきますぅ(低くねっとりした声で)

僕は、、白玉クリームあんみつ、、に憧れを抱いてまして、、というのも、、思い返せば、、私がゆるっと生きてきた人生の中で、、世の中のスウィーツブームは何度か経験しており、、ティラミス、、ナタデココ、、タピオカミルクティー、、マリトッツォと、、なんとなく時代の雰囲気に流された私の上を彼らは通り過ぎていきました、、それなりに社会的な地位のある彼らと逢瀬を重ねた事、、私はもちろん後悔してる訳じゃないし(すいません、、急に気だるそうなOLさんがそこまで興味のない男となりゆきで一夜を共にした事を独白してる雰囲気で書いてしまって、、何故か気に入ったので飽きるまで続けます)、、そんな中でも、、白玉クリームあんみつ君って子がいて、、私の初恋の人(照)、、まぁ一方的に私が好意を抱いてただけなんだけど(笑)、、今でも年に2、3度、、地元に帰ったら友達が開いてくれる飲み会に白玉君がいて、、もちろんめまぐるしい東京の日々の中で彼の事を思い出す時間なんてないんだけど、、会うとやっぱり少し気になる同級生って存在で(すいません飽きました、、戻ります)

要は、、白玉クリームあんみつのどこに憧れているかというと【時代に左右される事なく常に温かい好意を抱かれている存在】だからなんですね、、それを初恋の良い思い出がずっと残ってるお相手と重ねて読者の方にお伝えしたかっただけなんです、、まわりくどくてすいません、、でも本当に、、白玉クリームあんみつって、、目の前にすると、、ちょっと照れ臭くて、、はにかんじゃうんですよね、、おっさんをはにかませたら大したもんですよ、、だっておっさんってお笑いの賞レースの決勝を観ててもあぐらをかきながら睨んでますからね、、そしてそんな、、気難しいおっさんを、、ありのまま受け入れてくれる中野の喫茶店をご紹介させてください、、

CAFFEE ROADさん

COFFEE ROADさんですぅぅぅ(低くねっとりした声で)

店先に自転車がしっかり止まってる喫茶店は間違いないですからねぇ(低くねっとりした声で)

あと、看板のアルファベットの文字を浮かせて付けてるから日中は文字の後ろに影文字が出てる自然のプロジェクトマッピングも激渋ですよねぇ(低くねっとりした声で)


私はこのお店が本当に好きなんですよ、、落ち着くし、、ご飯も旨いし、、何より、、10年前に東京へ出てきた頃、、仕事が全くなく、、ダラダラしてたら、、シソンヌのじろうちゃんが「親父!中野に良い店あんだよ!」とROADさん横のジパングってスロット専門店に教えてくれて、、朝イチの抽選から一緒に並んで整理番号もらって、、開店時間までROADさんでモーニングを食べて待つって夢のような日常を送っていた時期があるからなんですよね、、これは嘘をついてると思われても仕方のない話ですが、、シソンヌがKOC優勝した翌日も私がパチンコ屋にいたら普通に朝から彼が打ちにきて店員さんに「え?昨日観てました!優勝おめでとうございます!」と言われてましたからね、、それを横で聞いていた私は心の中で「このシチュエーションかっけぇぇぇ」と叫びました、、だって普通のチャンピオンなら絶対この時間はテレビ局にいて局員さんに「優勝おめでとうございます!」と祝われてるはずなのに、、彼はパチンコ屋の店員さんに優勝翌日一発目の「優勝おめでとうございます!」を頂いてたんですよ、、この瞬間自分に問いました、、俺がこの世界に入ったのは、、人と違う人生を歩みたかったからだよな、、だからこの世界に入った時点で十分、、人とは違うはずのに、、このお方は、、人と違う人生を歩みたかった人間が集まったお笑いの世界でチャンピオンになって、、さらにチャンピオンの中でも人とは違う異端のチャンピオンになってる、、

じゃあもう人ではないやんぅぅ(低くねっとりした声で)

と、、もし彼が人ではないのなら何なんですか?と質問されていたら私はこう答えていたと思います、、

ボーダーを着てる有機物と無機物の混合、、じゃないですか?と、、

ちなみに人間の成分は有機物と無機物の混合らしいので、、成分は人間と同じだけど人とは呼べないって答えですね、、ずっとボーダーの服を着てたし、、

しかし、、あの非現実的な状況は、、『キングオブコント』七不思議の一角、、を任されても誰も文句は言わないでしょうね、、そんな逸話が生まれるくらいお笑いの街、、中野、、そで私が最も愛する、、ROADさんの焼肉弁当を最後に載せておきますね、、

今度「中野行き」が来たら中野で降りて食べに行こうぅ(低くねっとりした声で)

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福井俊太郎(GAG)

(ふくい・しゅんたろう)お笑いトリオ・GAGのネタ作り担当。『キングオブコント』では過去4度決勝進出を果たす。2023年から「福井俊太郎(GAG)プロジェクト」始動。GAG活動は「GAG福井」、個人としての脚本・執筆活動などは「福井俊太郎(GAG)」として活動する。低くねっとりとしたボイスが持ち味。

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