青色1号、ハマノとヘンミら注目芸人が続々『月笑』2024年開幕戦から傑作ネタ紹介【ネタ動画あり/写真25枚】

2024.2.13
月笑2024年2月サムネ

文・編集=鈴木 梢 撮影=晴知花


太田プロダクション所属芸人たちがしのぎを削るネタライブ『月笑』。来場者の投票によって順位と獲得ポイントが決まるため、毎月熾烈な争いが繰り広げられている。また、年末にはその年間チャンピオンを決める「クライマックスシリーズ」が開催される。

太田プロ所属芸人はG1〜G6のランクに分かれており、G3〜G6が『Jr.ライブ』、G1とG2が『月笑』でネタを披露することができる。ライブでの獲得ポイントによってランクの昇格や降格が決まるため、『Jr.ライブ』と『月笑』のメンバーは常に変動し続ける。

2023年は、『月笑』で一度も月間1位にならなかったものの安定的に高いポイントを獲得し続けてきたセンチネルがクライマックスシリーズにたどり着き、さすらいラビーや青色1号といった強者たちを打ち破って見事年間チャンピオンに輝いた。センチネルは『深夜のハチミツ』(フジテレビ)でも活躍を見せている期待の若手コンビでもあり、今後の活躍も期待される。

そして2月5日(月)、2024年の『月笑』が開幕。太田プロ芸人はもちろんのこと、ゲストにナイチンゲールダンスも迎え、都内が大雪に見舞われた日にもかかわらず大いに盛り上がりを見せた。

本記事では、『月笑』開幕戦を現地で見た筆者が、今回特に気になった芸人とネタを紹介する。

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ロックス(G2):捕えられたふたりが解放してほしい理由

ロックス(左:鎌田純、中央、千葉康介、渡辺奎星)
ロックス(左:鎌田純、中央:千葉康介、右:渡辺奎星)

鎌田純、千葉康介、渡辺奎星によるトリオ。昨年9月には『深夜のハチミツ』にも出演し、今後の注目が期待される。

今回のネタは、鎌田演じるテロリストらしき男に捕えられたふたりが、相棒のほうを解放してほしいと懇願するコント。しかし解放してほしい理由が「渡辺は明日、『SASUKE』に出場する」「千葉は明日、狙っているキャバ嬢の生誕祭」など、解放するには絶妙すぎる理由が続く。

相棒を解放するよう説得しているはずが、千葉と渡辺のプライベートの充実度の比較になっていくというずらし方が絶妙だった。なお、結果、2月ROUND(G2)では2位となった。

モシモシ(G2):浮世離れした文豪と愛人のようなかけ合いから…

モシモシ(左:まぐろ、中央:いけ、右:あきちゃん)
モシモシ(左:まぐろ、中央:いけ、右:あきちゃん)

まぐろ、いけ、あきちゃんによる男女混合トリオ。『有吉の壁』(日本テレビ)や『ザ・ベストワン』(TBSテレビ)などの出演経験を持ち、数々の賞レースでも着実に結果を伸ばしている注目のトリオだ。まぐろが女装をし、男1女2の構成のコントを披露することが多い。

今回のネタは、文豪風の男(いけ)と愛人風の女(あきちゃん)の会話で始まるコント。原稿が書けない文豪とその愛人の様子かと思いきや、やたら現代的なワンピースを着たまぐろが入ってくる。まぐろが「昭和の文豪テイストで読書感想文を書くのはやめて」と言い放ち、ふたりの関係性が母と息子だということが発覚。一気に見え方が変わり、くだらない状況だとわかる。しかもあきちゃんは愛人ではなく、兄の愚行に付き合わされている妹だった。

浮世離れした文豪と愛人のようなふたりのかけ合いが冒頭にあるからこそ、ひとりだけ現実的な視点でツッコミ続ける母親の存在が際立っておもしろかった。なお、結果、2月ROUND(G2)では3位となった。

猫怪獣(G2):立っているだけでおもしろいオーラが出すぎている

猫怪獣(左:きいち、中央:チュゴン、右:おやま)
猫怪獣(左:きいち、中央:チュゴン、右:おやま)

チュゴン、おやま、きいちによる男女混合トリオ。今年の『ぐるナイおもしろ荘』(日本テレビ)で知った人が多いかもしれないが、『ネタパレ』『千鳥のクセスゴ!』(いずれもフジテレビ)などにも出演し、ライブシーンでも人気のあるトリオだ。

今回のネタは、カップルの別れ話のコント。カップル役のチュゴンとおやまがカフェで別れ話をしていると、店内で同じような別れ話が聞こえてくる。あまりにドラマのような別れ話が聞こえてきたせいで、おやまは大笑い。一気に和やかな雰囲気になり、チュゴンとおやまは仲直りしてしまう。

するとそこに、別れ話の末にコーヒーをかけられてびしょ濡れになったきいちが登場。きいちはそもそも、立っているだけでおもしろいオーラが出すぎている。だから、きいちを見て大笑いするおやまに客席は感情移入しやすい。キレるきいち、笑うおやま、きいちに謝るチュゴンの構図があまりに忙しくておもしろかった。なお、結果、2月ROUND(G2)では4位となった。

それもまた一興(G2):台本と痴話ゲンカの妙なシンクロ

それもまた一興(左:松岡仁、右:五十嵐遊楽)
それもまた一興(左:松岡仁、右:五十嵐遊楽)

五十嵐遊楽、松岡仁によるコンビ。ライオンロック(長峰悠也、小林メイロ)とのユニット・同期の休日はTikTokで約34万フォロワーを誇る人気ユニットとなっている。

今回のネタは、テーマパークのクルーズアトラクションを舞台としたコント。キャプテンとしてアトラクションを進行する男と、客席で明らかに浮かない顔をしている女。アトラクションが進むにつれて、そのふたりは別れたカップルだということがわかる。キャプテンは一貫してアトラクションの進行をしているはずなのに、台本と痴話ゲンカが妙に被ってしまう。その被り方が軽快なテンポで進むのが、見ていて気持ちよかった。なお、結果、2月ROUND(G2)では1位に輝いた。

ハマノとヘンミ(G1):懇親会になじめない地味なふたり、集合写真の時間に…

ハマノとヘンミ(左:へんみ亮介、右:濵野将大)
ハマノとヘンミ(左:へんみ亮介、右:濵野将大)

濵野将大、へんみ亮介によるコンビ。昨年の『UNDER5 AWARD』では決勝に進出、『キングオブコント』でも着実に戦績を伸ばし、へんみは『R-1グランプリ2024』で準決勝にも進出するなど、その安定的な実力に注目が集まっている。

ハマノとヘンミ 太田プロライブ月笑2024/2月ROUNDより

今回のネタは、ベンチャー企業の新卒懇親会の設定のコント。明るい雰囲気の懇親会になじめない、地味な印象のふたり。気が合うとお互いに感じていたはずが、集合写真を撮る時間になると最前列のセンターで寝そべる濱野。濱野の行動に戸惑うへんみ。濱野の大胆な行動と発言のちぐはぐさ、そして戸惑い続けるへんみとのかけ合いのギャップがおもしろかった。なお、結果、2月ROUND(G1)では2位となった。

サルベース(G1):バイトと部活、どちらが大事?

サルベース(左:ともやっぷ、中央:松山弘樹、右:折田智久)
サルベース(左:ともやっぷ、中央:松山弘樹、右:折田智久)

松山弘樹、折田智久、ともやっぷによるトリオ。主にライブシーンで注目を集めつつ、テレビやラジオ、賞レースでの活躍も目立ち始めている。

サルベース 太田プロライブ月笑2024/2月ROUNDより

今回のネタは、居酒屋店員コント。父親の治療費を稼ぐためにバスケ部を辞めて居酒屋で働く松山のもとに、部員の折田がバスケ部に戻ってくるよう説得しにやってくる。しかし店長のともやっぷは松山に頼りきりで、松山は長く続けたバスケ部では補欠なのに入ったばかりの居酒屋では異常なほど即戦力として活躍している。

店長のともやっぷとバスケ部の折田が松山をただ取り合うだけならまだしも、居酒屋で活躍できている自覚が薄く折田の説得に応じて部活に戻ろうとしてしまう松山に対して、松山ではなく折田が葛藤してしまう様子がおもしろい。なお、結果、2月ROUND(G1)では3位となった。

青色1号(G1):顔がひきつる男&笑顔を引き出したい男

青色1号(左:榎本淳、中央:仮屋想、右:上村典弘)
青色1号(左:榎本淳、中央:仮屋想、右:上村典弘)

上村典弘、榎本淳、仮屋想によるトリオ。昨年の「月笑」クライマックスシリーズではセンチネルに敗れたものの、その実力には安定感があり、『第43回ABCお笑いグランプリ』では決勝進出、『キングオブコント2022』では準決勝進出とかなりの実力を持つトリオである。

今回のネタは、マッチングアプリを始めた仮屋のアイコン写真を撮りたい榎本が、仮屋がうまく笑顔を作れないことで試行錯誤するところから始まる。仮屋はカメラを向けられるとどうしても顔がひきつってしまう。横にいた上村に話しかけられて一度は自然な笑顔を見せる仮屋だが、榎本はその意図に気づかず撮影タイミングを逃してしまう。

そこからは3人が悪戦苦闘。どうしても顔がひきつる仮屋、笑顔を引き出そうとする上村、いいタイミングで撮影しようとカメラを向け続ける榎本が慌てふためく様子がおもしろかった。なお、結果、2月ROUND(G1)では1位に輝いた。

月笑2024年2月集合

今回紹介するのは以上となるが、ほかにも今回の『月笑』G2はサノライブ、同期の休日、しらすのこうげき!、ライオンロック、G1はストレッチーズ、センチネル、ジョウダンアオナナテンパイ、群青団地といった、確かな実力を持つ芸人が多数出場している。

また「今月のオススメ芸人コーナー」ではピン芸人のカシ、テラシマニアック、ねろめ、井たくまがネタを披露し、自社ゲストに和賀勇介、さらに吉本興業からナイチンゲールダンスも出演しネタを披露した。

今回の『月笑』は、2月19日(月)21:00まで視聴可能なアーカイブ配信を販売しているので、気になる方はぜひご覧いただきたい。

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鈴木 梢

(すずき・こずえ)1989年、千葉県市川市生まれ。出版社や編集プロダクション勤務を経て2019年からフリーランスに。主に日本のエンタメ/カルチャー分野の企画・執筆・編集を行う。もちもちしたものが好き。

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