NOAが見せた『君花』8LOOM“たくみ”の面影と、デビュー直後の葛藤「毎日が不安だった」
5月6日、NOAが初のワンマンライブ『NOA 1st LIVE “NO.A” TOUR IN TOKYO』を開催。今年の2月にリリースしたアルバム『NO.A』を提げて行われた待望のワンマンライブは、ひと言で表すとすれば、“圧巻”。
NOAの歌声もダンスも、ダンサーたちと作り上げた世界観も、そして会場の熱量も、すべてに圧倒された90分だった。
目次
ドラマ『君の花になる』8LOOMで大ブレイクしたNOA
NOAは、2022年に人気を博したドラマ『君の花になる』(TBS)で7人組ボーイズグループ“8LOOM”のメンバー・久留島巧(通称:たくみ)を演じ、大きな注目を集めた。
8LOOMはドラマの世界を飛び越えて、実際に数々の音楽番組にも出演。さらにライブツアーも行い、大成功を収めた。
ドラマの最終回から約5カ月近くが経とうとしている現在でも、再結成を望む声が多いほど8LOOMの人気は根強い。実際にNOAのファンになったきっかけが、このドラマだった方も多いのではないだろうか。
そんななか、満を持して行われたNOAのワンマンライブ。アイドルグループ・8LOOMのたくみとしてではない、アーティストとしてのNOAはいったいどんな姿を見せてくれるのだろう?
「最後まで一瞬も僕を見逃さずに見てほしい」
ライブ開始前から筆者もすごく楽しみだったのだが、1曲目「It Ain’t Over」から、本当に圧倒された。会場に響くビート音とNOAの歌声の融合がとても心地よく、思わず頭を揺らしてしまったほど。
マスコミ席は2階席だったので客席を見下ろすと、一面がNOAカラーの紫色のペンライトで埋め尽くされ、音楽に合わせて揺れていてすごくきれいだった。“掴み取る未来を 何があっても 誰が来ても”と力強く歌うNOAに、1曲目からすでに心を鷲掴みにされた。
曲が終わると、会場は大歓声に包まれる。「最後まで一瞬も僕を見逃さずに見てほしい」とNOAが会場を煽ると、NOANA(ファンネーム)たちが大きな歓声で応えた。
さらに「Just Feel It」では、フィーチャリングしているAyumu Imazuがサプライズでステージに登場! ふたりの歌声の相性がバッチリで、いつまでも聴いていたかった。
しなやかで余裕のあるNOAのダンススタイル
NOAの魅力のひとつは、ダンススタイルだと思う。どんなに難しい振り付けでも、ラフに“こなれ感”を出して踊ってみせる。ダンスナンバーである「Step Back」では激しいダンスを披露したが、いい意味で難しそうに見せず、なんならちょっと余裕すら感じさせた。
どんな楽曲でもしなやかにラフに踊り、自分のものにしてしまう。手足が長いからシルエットも美しい。たったひとりで90分間、15曲以上の楽曲をパフォーマンスするのは絶対にきついはずなのに、“きつさ”も“大変さ”もまったく感じさせないダンスパフォーマンスは、さすがとしか言いようがない。
そんなNOAと会場で一緒にダンスを楽しめたのが、「Paradise」だ。この曲は、一度聴いたら忘れられないキャッチーなサウンドと、甘くロマンチックな歌詞が魅力的な一曲。
『君の花になる』の撮影と並行して制作していたため、役と自身との切り替えがうまくいかず作詞にも苦労したそうだが、8LOOMメンバーからアドバイスをもらいながら完成させたのだそう。
NOAが「『Paradise』の振り、もう知ってるよーって方?」と聞くと、会場にいるほとんどのNOANAが「はーい!」と元気よく手を挙げ、NOAも思わず「さすが!」とニッコリ。サビでは全員で振り付けを一緒に踊り、会場の一体感はさらに増した。
こんなふうにNOAとNOANAが直接コミュニケーションを取れるのも、ライブの醍醐味だ。
曲の合間にはひっきりなしにNOAへの声援がつづいていて、NOANAたちの熱量に圧倒された。NOAも「声枯れるよ?」と心配するも声援が鳴りやむことはなく、「お昼、何食べたー?」の声には「生姜焼き弁当!」とお茶目に答える場面も見られた。
ライブで見せた「神ファンサ」8LOOM“たくみ”の面影
当たり前だが、8LOOMのかわいらしいたくみと、クールなパフォーマンスで魅せるNOAはやっぱり違う。でも違うようでいて、どこか懐かしさも感じる。
この懐かしさはどこから来るものなのだろう……?と不思議に思っていたのだが、ライブを観ながら「表情かもしれないな」と感じた。
客席のNOANAたちをうれしそうに見つめているときの表情だったり、「ライブが楽しくて仕方ない!」と言わんばかりの生き生きとした表情でパフォーマンスをしているときのNOAに、既視感を覚えたのだ。
“たくみ”として8LOOMのライブで見せていた笑顔や、ファンたちから「神ファンサ」と言われていたほど多くのファンサービスをしていた当時の彼は、演技でもなんでもなかったのかもしれない。
もちろん役としてステージには立っていたのだろうけど、NOA自身の想いも確実にそこにあったのだと思う。たくみにもNOAにも共通して言えるのは、ステージや音楽、ファンへの愛情なのかもしれない。
「デビュー後の不安」を吹き飛ばしてくれたファンへの感謝
ライブ後半では新曲「BURN」を初披露。
「この曲は今の自分だから伝えたいこと、思うことを存分に書いた曲。新たなNOAを全面に見せられるんじゃないかな」と説明していたが、“I’m burning my heart for you Nobody can stop me”と感情を込めて歌う姿に、思わず目が離せなくなった。
先述したように、もはや余裕すら感じさせるダンスはもちろん、こんなライブ終盤に来て、ここまで激しく力強い歌声を出せる歌唱力にも驚いた。
終盤のMCでは「僕はデビューしたのが2020年で、デビューする前っていろんなことを想像してて、とにかくやりたいことだらけだったんですよ。でもデビューしてみたら、本当に予想外のことで、何も叶わず……。このまま自分はアーティストとしてライブができるんだろうか、ファンの皆さんに会えるんだろうかって、正直毎日が不安でした。だから今日こうやってファンの皆さんを前にして、ファンの皆さんの声を聞きながら、アーティストとしてライブができるというのは本当に幸せなことです。本当に今日はありがとうございました!」と挨拶をすると、会場からは大きな拍手が贈られた。
アンコールは「Highway」と、NOAにとっても、NOANAにとっても特別な楽曲「Purple Sky」を。まさに“染まってゆくPurple Sky”のように、ペンライトで紫色に染まった会場を見渡し、歌詞のフレーズ一つひとつを大切に、包み込むように歌い上げた。
9月9日と10日には自身初のアリーナライブとなる、有明アリーナでの公演が決定。新曲「BURN」の“乗り越えられない壁を Burn it down”というフレーズは、まさに今のNOAにピッタリだ。
今の彼なら、どんな壁も試練も焼き払って、どこまでも行けるのではないだろうか。そんなふうに思わせてくれる最高のライブは、あっという間に幕を閉じた。
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