2020年にデビューしたグローバルボーイズグループ「JO1(ジェイオーワン)」。9月にスタートした彼らの初めてとなるアリーナツアー『2022 JO1 1ST ARENA LIVE TOUR ‘KIZUNA’』は、愛知・大阪・神奈川・福岡・東京の5都市で開催され、全13公演で約11万人を動員した。
ここでは10月23日に東京・有明アリーナで行われた同ツアーの最終公演を、JO1への取材経験も豊富なエンタメライターの新亜希子が、メンバーがこれまでメディアで明かしてきた“想い”と共にレポートする。
JO1が手にした、ハプニングを笑い合える“経験値”
11人組ボーイズグループ・JO1初のアリーナツアー『2022 JO1 1ST ARENA LIVE TOUR ‘KIZUNA’』が、10月23日の有明アリーナ公演にて千秋楽を迎えた。
おそらくJAM(JO1のファンネーム)は、何度か見聞きしたと思うのだが──JO1は2022年を「勝負の年」と位置づけていた。筆者自身、彼らへの取材を通し、その文言をメディアに載せたことがある。宣言どおり、多方面で活躍を見せ、2022年を駆け抜けてきたJO1。彼らの原点であるパフォーマンスに“勝負”への本気を見た。
本稿では、筆者が携わったものも含めメディア既出のエピソードに触れながら、彼らのステージを振り返ってみたい。
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ライブイベントやショーケース……これまで何度か、JO1のパフォーマンスをレポートする機会があった。誤解を恐れずに言えば「特筆すべき点なし」、それが正直な感想だった。「日本一シンクロ率の高いパフォーマンス」を目標に掲げてきただけあって、完成度は申し分ない。けれどボーイズグループ群雄割拠の今、飛び抜けて訴求性のある「彼らにしかない」魅力だとは言い難かった。JO1をより多くの人に知ってほしいと願ったとき、そこに至るまでの彼らの歩み、そのエモーショナルに頼らざるを得なかったのが本音だ。
しかしそんな筆者の考えは、初のアリーナツアーですべて覆された。「This is JO1!」大平祥生の煽りから「Move The Soul」で幕を開けた公演。瞳の強さはあれど、穏やかな彼らの表情に、自信とほどよい余裕を感じる。再現性の高い完璧なショーではなく、その一瞬にしか共有できない“ライブ”を楽しんでいた。表舞台に立つ機会に恵まれずとも、“いつか”のために磨きつづけてきた基礎とスキル。オープニングから5曲、立てつづけに歌い踊っても、彼らは息切れひとつしなかった。
デビューした年の冬、大型音楽番組で披露する機会を得た「Shine A Light」。木全翔也は歌詞の一部を「JAM」に変え、メンバーはあちこちでじゃれ合い、のびのびと歌い踊る。肩肘張らぬ彼らのパフォーマンスは実に新鮮だった。もしもMVを正解とするならば、時に完璧ではない。けれど、だからこそ美しいと思った。
というのも、川尻蓮が以前、QJWebのインタビューにて「表現の矢印をひとつの方向にそろえたほうが美しい瞬間はありますし、逆に、そろえないほうが美しい場合もある」と話してくれたことがある。そして、それを意図して表現できるグループになりたいと。まさに、そうした美しさがそこにあった。アンコールの「STAY」で、「JAM、覚えててねー!」と叫んだ川尻。その言葉どおり、二度とない瞬間、忘れたくない瞬間がいくつもあった。
三者三様の声質が溶け合った「Running」で、與那城奨の声が裏返る場面があった。彼の歌の実力はそこにいる誰もが知るところであるから、ライブならではの出来事。意外だったのは、のちのMCでメンバーがそれを話題にしたことだ。與那城も「いい思い出になったのではないでしょうか」と、ハプニングを笑った。トラブルも、取り方ひとつでプレミアに変わる。そこに至るまでには、経験と余裕が必要だ。ずっと欲しかった“経験値”を、彼らはようやく手にしたのだと思った。
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