s**t kingzが挑戦する“おもしろい”と“エンターテイナーとしての責任”を両立した新作舞台
2010年に初出場した米最大のダンスコンテストにて日本人初優勝。連覇も果たし、世界から注目を集める存在となった4人組パフォーマンスチーム・s**t kingz。名実共にダンスパフォーマンス界のトップランナーとして、2013年には4人だけの舞台をスタート、2021年には見るダンス映像アルバム『FLYING FIRST PENGUIN』を発表するなど、オリジナリティあふれる挑戦をつづけている。
そんな彼らが「新たな表現の可能性を追求した」と語る新作舞台「超踊る喜劇『HELLO ROOMIES!!!』」の制作過程を聞くと、彼らの“ダンス”への向き合い方が見えてきた。
s**t kingz
shoji、kazuki、NOPPO、Oguriの4人で構成されるダンスパフォーマンスグループ。アメリカ最大のダンスコンテスト『BODY ROCK』では、2010年、2011年と連続優勝。多数のアーティストのバックダンサーを務め、三浦大知やBIGBANGなどと共演。さらにそれぞれがAAA、SMAP、BE:FIRST、超特急など多数のアーティストの振り付けも手がけている。
インタビュー前編はコチラ
BE:FIRST、Snow Manなどの振り付けも手がけたs**t kingzが語る“踊れて当たり前“の時代「ダンサーはどう勝てばいいのか?」
自分たちがおもしろいと思えるものを
──約2年の延期を経ての新作舞台となりますが、準備はいかがでしょうか。
kazuki 今は制作と稽古の日々で、まだ通しでやれる段階にも辿り着いていないんです。音楽も衣装も振りも、すべて自分たちがプロデュースして作っていくので、全貌が見えてくるのはいつもギリギリなんですよ。
shoji 今回はA子が人形であるおかげで、予想していなかった場面でおもしろさが生まれることがあって。アイデアに詰まったときにも不思議と場が動き出すので、助かっています(笑)。
──延期を経ての上演にあたり、内容が大きく変わったんですよね。
shoji 今の自分たちがおもしろいと思えるものをやろうと、ゼロから作り直しました。結果、A子だけが設定として生き残ったんです。
NOPPO 「新・HELLO ROOMIES!!!」です。「HELLO ROOMIES!!!シーズン2」。
shoji 「旧」は誰も観てないんですけどね(笑)。
それぞれの個性が出る制作過程
──制作はどのように進めていくんですか?
shoji まずはホワイトボードにアイデアやキーワードをどんどん書いていって、それをもとにA4用紙5〜6枚のストーリーボードを作ります。そこから音楽を作って、スタジオに入って踊っていくんですけど、ここからまた大きく変わりますね。紙の上では成立していても、踊ってみておもしろくないものはどんどん変えます。僕たちの場合、パフォーマンスを観ておもしろいと思ってもらえなければ意味がないですから。
──おもしろいかおもしろくないかのジャッジも自分たちで、ということですよね。
Oguri そうです。だから本当におもしろいかどうかは、お客さんの反応を見るまでわからない。通しリハに入ると、いろんな方に観に来てもらってアドバイスをもらうんですけどね。
kazuki でも、通しリハに来る人の視点ってお客さんとはまた違うじゃないですか。「アドバイスをしてあげたい」という思いで観てくれているから、俺らがおもしろいと思ってワーっとふざけても、みんな……(うつむいて、何かを書くフリ)。だから、初日を迎えて、お客さんに観てもらったときにホッとすることのほうが多いです。
shoji お客さんにすごく喜んでもらえたときに「よかった、間違ってなかった」と思えますね。もちろん、その反応を実際に見て、変えていく部分もあります。
──制作において、おもしろいアイデアを出す人は?
NOPPO 的が外れてるのは俺ですね。
shoji 僕たちの会話は横につづいてたのに、NOPPOだけ縦に進んでたみたいなことが多々あるんです。出発地点は一緒だったはずなのに、どうしてそこに辿り着いた?みたいな(笑)。おかげでおもしろいアイデアが生まれたりもする。
kazuki Oguriは「(笑)」系が多いよね。
NOPPO 「これやっちゃう?(笑)」みたいな。
Oguri 「(笑)」では言ってないよ!
shoji 本人は真剣なんだよね。
kazuki 発言するハードルがめちゃくちゃ低いんですよ。思いついたら口から出ちゃう(笑)。
shoji アイデアの6割くらいはOguriなんじゃないかと思うくらい、アウトプットの量がすごいです。
Oguri 停滞するのが嫌なんですよ。だから、定期的に石を投げ込むんです。
kazuki でも「決まったらお前、本当にやるんだな?」と問いたいくらいの内容だよ?
Oguri そこは、みんながどうにかしてくれるかなって(笑)。
shoji とはいえ、みんなが何も浮かばなくなっちゃってるときにもOguriがどんどんボールを投げ込んでくれるから、何かが動き始めるんですよね。
──大事な役割ですね。
shoji 本当に! Oguriがいなかったら無言で終わる打ち合わせもあるんじゃないかな。
kazuki 楽しいですよ、打ち合わせ。
Oguri 配信してみる?
shoji 「この人たちは何を言ってるんだろう?」って思われるよ(笑)。あと、コメディ要素はkazukiのアイデアにかなり頼ってます。
kazuki スベりたくない思いが一番、強いんですよ。「おもしろくなるかも」と思わなければ気が進まないので、おもしろそうだと思えるまで意見を出しますね。
Oguri kazukiの言うことは的を射てるし、突拍子もある。
全員 (笑)。
──皆さんはとにかく「おもしろい」を大事に作ってらっしゃるんですね。
shoji はい。大好き!
kazuki 巧みだなぁというおもしろさも好きですし、シンプルにウケるのも好き。展開や構成、振り付け、いろんな点におもしろさを感じますし、おもしろくしたいですね。
shoji 「しょうもな!」っていうのも好きですね。
──新しいことへのチャレンジも「おもしろい」と捉える?
kazuki 怖さはあまり感じたことがないかもしれない。
shoji むしろ同じことをやりつづけることのほうが怖いですね。同じものを、よりおもしろくしながら何度もつづけていくって大変な作業じゃないですか。だったら新しいものをどんどん作っていくほうが楽しいと思うんですよね。
NOPPO ダンスは言葉がないからよけいにそう思うのかもしれないですね。
日々の考えや悩みが反映された作品
──皆さんの舞台をよく知っているファンの皆さんが、今作をより楽しめるポイントは?
shoji ストーリーの主軸がメンバーじゃないところがまず、今までとは違いますよね。人形が人間を演じて、人間が人間じゃないものを演じるチャレンジと、「物」の感情を表現するさまを楽しんでもらえたらうれしいです。
Oguri 僕らを知ってくれている人たちは、「今回は何を仕かけてくるんだろう?」みたいなワクワク感を持って来てくれているように思うんです。その期待に応えつつ、素敵に裏切りつつ、楽しい空間にしたい。観る人が共感できて、少し前向きになれるといいなと思います。「心のゴミ」って、けっしてネガティブなものではなく、それがあることで自分が自分らしくいられるところもあるかもしれない。そういうメッセージも感じてもらえたらいいなと。
──楽しませることとメッセージを伝えることとを、両立させた作品なんですね。
Oguri 以前は、楽しんでもらうことが何よりの目的だったんです。だけど最近は、観た人に何かを持って帰ってもらいたいと考えるようになりました。エンターテイナーとしての責任を考えるようになったというか。
NOPPO いろいろなエンタテインメントを観てきた人たちの助言やものの見方を受けて、「ちゃんと伝える」ことを大切に思うようになったんですよね。
shoji 「メッセージを発信するs**t kingzを見たい」と言われることも増えてきたんです。だからこそ、今回はs**t kingzの日々の考えや悩みが反映された内容になっていると思います。とはいえ、次の舞台はただただ「ダンス楽しい!」というものになるかもしれない。新しい舞台をやるたびに、何か自分たちなりのチャレンジをしたいと思っています。
『HELLO ROOMIES!!!』
◆東京
日程:2022年9月14日(水)~9月19日(月・祝)
会場:新国立劇場 中劇場
◆大阪
日程:2022年11月10日(木)~11月13日(日)
会場:森ノ宮ピロティホール
◆愛知
日程:2022年11月18日(金)~11月20日(日)
会場:日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
【STORY】
映画監督になることを夢見るA子は、チャンスに恵まれず悶々とする日々を過ごしていた。
思いどおりに行かない人生、何もできずに過ぎていく時間。
日々積み重なる複雑な思いが、A子の心に“ゴミ”として溜まっていく。
すると、彼女の部屋もまた、ゴミであふれていくのだった。
そんなある日、A子に映画監督としてデビューするチャンスが舞い込むが……
何を選び、心のゴミとどう向き合っていくのか。
A子とゴミたち、そして癖の強い仲間たちが繰り広げる、超踊る喜劇!!!
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『HELLO ROOMIES!!!』
◆東京
日程:2022年9月14日(水)~9月19日(月・祝)
会場:新国立劇場中劇場◆大阪
日程:2022年11月10日(木)~11月13日(日)
会場:森ノ宮ピロティホール◆愛知
日程:2022年11月18日(金)~11月20日(日)
会場:日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール【STORY】
映画監督になることを夢見るA子は、チャンスに恵まれず悶々とする日々を過ごしていた。
思いどおりに行かない人生、何もできずに過ぎていく時間。
日々積み重なる複雑な思いが、A子の心に“ゴミ”として溜まっていく。
すると、彼女の部屋もまた、ゴミであふれていくのだった。
そんなある日、A子に映画監督としてデビューするチャンスが舞い込むが……
何を選び、心のゴミとどう向き合っていくのか。
A子とゴミたち、そして癖の強い仲間たちが繰り広げる、超踊る喜劇!!!関連リンク
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