3月で解散「こぶしファクトリー」が歩んだ歴史、“生々しい”成長の日々

2020.2.11
こぶしファクトリー グッズ

文=相羽 真 編集=田島太陽


ハロー!プロジェクトの5人組アイドルグループ「こぶしファクトリー」が、2020年3月30日にTOKYO DOME CITY HALLで行われるコンサート「こぶしファクトリー ライブ2020 ~The Final Ring!~」をもって解散する。ハロプロの中でも、特に歌唱力に定評があった彼女たちの5年間の活動を振り返る。

レコ大新人賞で華々しいデビュー

こぶしファクトリーの結成が発表されたのは、2015年1月2日のこと。当初のメンバーは、ハロプロ研修生に所属していた広瀬彩海、藤井梨央、野村みな美、小川麗奈、浜浦彩乃、田口夏実、和田桜子、井上玲音の8人。ユニット名の「こぶし」には、「辛夷(こぶし)」の花の優美さと「拳」の強さを兼ね備えてほしいとの思いが込められている。また、「ファクトリー」は、ハロプロの先輩であるBerryz工房の「工房」の英訳。こぶしファクトリーの結成と入れ違うタイミングで活動停止となったBerryz工房の精神を継承するという意味合いも込められている。

結成直後から順調に活動していくこぶしファクトリー。2015年3月には舞台『Week End Survivor』で初主演を務めると、同月にインディーズシングル『念には念/サバイバー』を発表。9月にはトリプルA面シングル『ドスコイ!ケンキョにダイタン/ラーメン大好き小泉さんの唄/念には念(念入りVer.)』でメジャーデビューを果たし、10月からは初のライブハウスツアーも行った。そして、年末には第57回日本レコード大賞最優秀新人賞を獲得した。

2016年の活動も順調だ。シングル2枚とファーストアルバム『辛夷其ノ壱』をリリース。2度にわたるライブハウスツアーも成功させた。

こぶしファクトリー「チョット愚直に!猪突猛進」

ニルヴァーナや尾崎豊などの名曲オマージュが満載だったが…

2015年から2016年までのこぶしファクトリーの楽曲の特徴といえば、過去の名曲に対するオマージュが多分に含まれていることだろう。

初のオリジナル曲となった「念には念」はイントロから、いきなりT・レックス「20th Century Boy」の引用で、Aメロではザ・フー「My Generation」を思い出させるフレーズが登場する。

ファーストシングル収録のシャ乱Qのカバー曲「ラーメン大好き小泉さんの唄」はレニー・クラヴィッツ「自由への疾走」のフォーマットを踏襲するアレンジ。セカンドシングル収録「チョット愚直に!猪突猛進」は、チェイス「黒い炎」を見事に引用するブラス・ロックで、同シングル収録「押忍!こぶし魂」はアース・ウインド&ファイアー「ブギー・ワンダーランド」という大ネタを使っている。

そして、ファーストアルバム『辛夷其ノ壱』もオマージュが満載だ。1曲目の「急がば回れ」のイントロは、ニルヴァーナ「Smells Like Teen Spirit」という超大ネタ。ほかにも、レッド・ツェッペリンを彷彿させる「懸命ブルース」、尾崎豊「卒業」ネタの「残心」、チャゲ&飛鳥や長渕剛あたりの影響色濃い「辛夷の花」など、とにかく過去の名曲のエッセンスを惜しげもなく投入している。

こぶしファクトリーファーストアルバム『辛夷の花』
ファーストアルバム『辛夷其ノ壱』(左)、セカンドアルバム『辛夷第二幕』(右)

楽曲にたくさんのオマージュを盛り込むのはハロー!プロジェクトでは古くから行っている手法で、その部分を期待するファンも少なくない。しかし、元ネタとなるものは基本的に1980年代以前の楽曲が多く、歌っている若いメンバーたちにしてみれば“世代ではない”ということになる。つまり、メンバーたちにとってこれらのオマージュは必ずしも思い入れが強い要素ではないと推察できるのだ。そういう意味では、表現するメンバーたちと楽曲との間に、少なからずギャップがあったのかもしれない。

波乱の年、“与えられた曲”から“自分たちの気持ち”へ

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相羽 真

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相羽 真

(あいば・まこと)ライター。1975年生まれ。神奈川県出身。近年の主な執筆分野は芸能・エンタメ全般。WEBメディアの編集も担当。

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