細野晴臣が登壇した『細野観光1969-2021』連動企画の舞台挨拶「僕にとって音楽は楽しいものなので、それを取り戻したい」
ところざわサクラタウン・角川武蔵野ミュージアム5階特設会場で開催されている細野晴臣デビュー50周年記念展『細野観光1969–2021』(4月2日〜6月26日)。その連動企画として細野晴臣ドキュメンタリー映画『NO SMOKING』『SAYONARA AMERICA』が上映され、5月21日の上映では細野晴臣が舞台挨拶に登壇した。
ここでは、舞台挨拶のオフィシャルレポートをお届けする。
細野晴臣「思い出深い場所に来られてうれしい」
日本音楽界の至宝、細野晴臣が2022年5月21日(土)、「ところざわサクラタウン」(埼玉県所沢市)で期間限定上映中の細野晴臣ドキュメンタリー映画『NO SMOKING』『SAYONARA AMERICA』の舞台挨拶を行った。
2019年に音楽活動50周年を迎えた細野。半世紀以上に及ぶ活動を記念して、六本木ヒルズ、大阪グランフロントでの開催につづき、ところざわサクラタウンで細野晴臣デビュー50周年記念展『細野観光1969-2021』が開催されている。ドキュメンタリー映画の上映と舞台挨拶は、『細野観光1969-2021』の連動企画として行われた。
映画『SAYONARA AMERICA』は、2019年に行われたソロとして初のアメリカツアーの模様、そして、コロナ禍に見舞われた2020年の活動を収めた作品。そして映画『NO SMOKING』は、はっぴいえんど、YMO、ソロアーティストとしての活動など、50年以上に及ぶ創作活動の軌跡を紹介した映画だ。
舞台挨拶に先駆けて行われた会見では、2019年に行われたアメリカツアーを振り返り「たまたま50周年のときにいいミュージシャンがまわりにいてくれたし、僕も脂が乗っていて、アメリカでツアーがやれたということですね。今だったらできないですから」とコメント。さらに映画『SAYONARA AMERICA』のタイトルに対し、「もともとは、はっぴいえんどの曲(「さよならアメリカ さよならニッポン」)がもとになってるんだけど、 “20世紀よ、さよなら”という気持ちもありますね」と語った。
世界中にファンを持ち、多くのアーティストに影響を与えている細野。今週リリースされたハリー・スタイルズの新作『ハリーズ・ハウス』のタイトルが細野のソロアルバム『HOSONO HOUSE』から取られたことについて聞かれ、「寝耳に水に近いですけど(笑)、マディソンスクエアガーデンでライブをやっているような、とても有名な方みたいですね」と驚いた様子だった。
さらに新作の準備に取りかかっていると明かした細野。「グローバリズムの波に乗った音はできないし、パーソナルな音楽を作るしかない。僕にとって音楽は楽しいものなので、それを取り戻したい気持ちもあります」と意気込みを語った。
舞台挨拶では、「(『NO SMOKING』『SAYONARA AMERICA』について)ずいぶん昔のことのように思えますね。それだけ時代が変わったということでしょう」と、しみじみとコメント。さらに、この先の活動について「(社会と)無関係なことをやりたいんだけど、どうしても社会に影響を受けてしまう。やってみないとわからないですね」と語った。
会場がある所沢市は、『HOSONO HOUSE』が制作された埼玉県狭山市まで車で30分。「思い出深い場所に来られてうれしい。森があって、環境が素晴らしいですよね。こんないいところに住んでいる方々がうらやましいです」と笑顔で話し、客席からは大きな拍手が送られた。
ところざわサクラタウン・角川武蔵野ミュージアム5Fで開催中の『細野観光1969-2021』(6月26日まで)は、50年の軌跡を追体験できる展覧会。ロック、テクノ、ワールドミュージックなど多岐にわたる音楽家としてのキャリはもちろん、細野が使用してきた楽器や機材、影響を受けた書籍、マンガ、アート作品なども展示され、まるで“観光”するように巡ることができる展覧会となっている。
またドキュメンタリー映画『NO SMOKING』『SAYONARA AMERICA』の上映も、5月22日(日)、6月4日(土)、5日(日)、11日(土)、12日(日)、25日(土)、26日(日)に行われる。
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