テレビっ子のライター“てれびのスキマ”が、昨日観た番組を記録する連載「きのうのテレビ」。2020年から毎日欠かさず更新中。
『笑いの正体』
漫才ブーム、ダウンタウンの登場、『M-1』と、漫才の進化を芸人たちの証言で“解剖”。
漫才ブーム直後にデビューしたダウンタウン。デビューしたばかりのころ「一生忘れられない日」があると松本は述懐。
正月の超満員のなんばグランド花月で、紳助・竜介→ダウンタウン→やすきよという普段はあり得ない香盤があったそう。客からは「早くやすきよ出せ」という視線。それに燃えた松本はドカーンと爆笑をかっさらう。次のやすきよはそこまでウケておらず「勝った」と思ったという。
その松本は漫才について、あまり練習したこともない、台本も作らないと語り、「カモシカのような足」ではなく「カモシカの足のような足」というワードでないとおかしい、といった「日本語遊び」が原点にあるという。
そんな松本について濱家は、松本が「すー……スタジオの」のように最初に言いよどむときがあるが、それは「時間を置いて、その間にこっちが頭の中を整理して聞きやすいように仕向けているのではないか」と分析する。
スタジオの劇団ひとりは、ビートたけしと松本人志は「特別」で、「これがおもしろいことなんだよって客に押しつける。こっちがついていきたいと思わせる」とその特異性を語り、また浜田のツッコミに対して「浜田さんが発明したのは、ボケられると腹が立つという感情が(ツッコミに)乗っかるってこと」だと解説する。
『M-1』での漫才について、濱家は「あるころから、『M-1』ってひとつのハードができればソフト2本あればいい。おもしろい漫才の雛形ができてしまえば、それにはめ込んで2本(考える)っていうのが主流になっていったんで、かたちを見つける時代に突入した。“おもしろい”より、かたちを優先するときがあった」「山内の人間味がおもしろいのに、大喜利漫才みたいになっていてもったいないと思った」と変化を語る。
山内は「誰がやってもええやんみたいなネタになっちゃってたんで、そういうのをやめてしゃべくりの漫才に変えて、ホンマに自分が思ってる題材でやるようになった」と明かす。
フットボールアワー後藤も、紳助から「ネタ云々より、漫才をやるその人たちがおもしろくなきゃいけない」と言われたそう。
『M-1』で観た漫才が最初の漫才だという世代の粗品は、3つほど新しいことを取り入れたと語る。それは「上手・下手どこでボケても真ん中でツッコむ」、「単語でツッコむ」、ツッコむまでなんのボケをしているかわからない「クイズ形式」にすること。「お客さんの脳みそをいかにハックするか」だと。
「漫才論争」を巻き起こしたマヂカルラブリー野田は、論争が起こったことは「めっちゃ文化があるってこと」だと。「ルールがあるように見える」から「それを壊せばいい」「未開の地が多い」「そういう意味でワクワクします」と語る。一方でスタジオの松嶋尚美は、やはりマヂカルラブリーの漫才には未だに否定的なのが味わい深かった。
まさに、もはや漫才は「文化」。いくらでも語りどころがあることがよくわかる。笑いの裏側を語るのは野暮という風潮もあるけれど、劇団ひとりも隠し味がわかるとよけい料理がおいしく感じると言っていたとおりで、おもしろさは増すはず。
『真夜中のデパート自由に使えたら』
閉店後の真夜中のデパートを自由に使えたら、3人の芸能人がどのような行動をするかをバナナマンがモニタリング。
ザ・マミィ酒井の独特な歩き方に「完全に変質者」「通報したほうがいい」と設楽。この手のロケでは、ひとりでもカメラを意識して自分の行動や心情を説明するリポート的なしゃべりを入れるのが普通だが、おそらくそれは不要だという演出があったのだろう。みんな黙々と行動しているから、本当に忍び込んでいるかのような背徳感があってとてもいい。
酒井は食品売場に行き、焼き鳥、うなぎなど気の赴くまま食らう。さらにクッションなどを持ってきて拠点を作り、また食べる。
野田クリスタルは楽な格好になり、衣服コーナーの試着室に拠点を作っていく。狭いところで寝ようとしているのが実に野田らしい。
松村沙友理はフロアマップを確認し、家電売場へ。すぐに食品売場に移動すると、米や味噌汁などを手にし、再び家電売場へ。炊飯器を使って米を炊き始める、と三者三様でおもしろい。
酒井も家電売場に移動すると、米を炊いている炊飯器を発見。そんなニアミスもスリリング。大きなテレビの前に机を置き、酒を飲みながら、自身が出演している『キングオブコント』を笑いながら観る。
シンプルながら、自分はどうするだろうなどと想像できたりして、奥深くていい企画だった。
明日観たい番組:『霜降り明星の校内放送ジャック』『オールスター感謝祭』ほか
『霜降り明星の校内放送ジャック』(テレ東)霜降り明星が「3月で閉校する中学校」をサプライズ訪問。
『オールスター感謝祭』(TBS)二宮和也、高橋一生、上野樹里、藤原竜也ら。
『オールスター後夜祭』(TBS)。
『さんまのお笑い向上委員会』(フジ)「チャンス&岡野がオダウエダに地下芸人の生き方を伝授」。
『NEWニューヨーク』(テレ朝)1時間SP「江頭2:50がフル参戦!1週間エガちゃん生活」「水うまグルメ」。
『千鳥かまいたちアワー』(日テレ)「赤坂さん企画再び」。
『ゴッドタン』(テレ東)「ネタギリッシュNIGHT」。
『霜降りバラエティX』(テレ朝)中島健人vs粗品。
『ももクロちゃんと!』(テレ朝)東京ホテイソン。
『SWITCHインタビュー 達人達』(Eテレ)甲斐よしひろ×中井貴一。
『ダマせない男』(日テレ)主演・堺雅人。
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【連載】きのうのテレビ(てれびのスキマ)
毎夜ライフワークとしてテレビを観つづけ、テレビに関する著書やコラムを多数執筆する、てれびのスキマによる連載。昨日観た番組とそこで得た気づき、今日観たい番組などを毎日更新で綴る、2020年のテレビ鑑賞記録。
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